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05

「アル、まだ行けるぞ!」

今日も『鬼教官』マルティナの声が響く。


マルティナの家庭の都合もあり、指導して貰える時間は限られる。マルティナには体術、剣術、盾の基本操作を中心に教えて貰って、メニューを教えて貰って基礎体力の向上、体幹トレ、筋トレ、食トレは自主練の範疇で実施する。


開始日より町の外周を走り、岩を持上げて翌日は筋肉痛、それを続けて翌々日には重ねて筋肉痛…徐々に筋肉痛が何かわからなくなり、それでも徐々に早く走れるようになり、重い岩を持上げられるようになり、早1月。


「良し、カミロも来たし、実戦訓練をするぞ。」

俺は石で出来ている素振り用の剣を振るのを止めて今度は木製の剣と中盾を構える。時々顔を出してくれるカミロのお陰で、往なすコツは何となく掴めては来ている。マルティナが槍を持って、カミロは俺の背後で観察をする。


穂先を向けて間合を測る。マルティナの槍の構えはいつ見ても綺麗である。そして初動がわかりにくく一瞬で目の前まで来るように見える一突、それでもマルティナ曰く手加減しているそうだが見切れるはずも無く、往なすつもりが盾の正面で受けてしまって腕が痺れる。


「…痛ぇ。」

「大盾を『剛』に例えれば、中盾、小盾でのパリィは『柔』に当たる。真っ直ぐ受けるのでは無く受け流せ!」

マルティナは檄を飛ばす。俺は再度盾を構える。


「マルティナ教官、少しお時間を。」

カミロはマルティナを止めると、俺の木の中盾の表裏に各2箇所、墨で印を付ける。


「アルは元々射士だった影響か目が良くて、『見えてしまう』ので、思わず受けてしまうのかも知れないけれど、それが出来るのであれば、受け流せる位置に当てて相手の勢いを往なす事を覚えれば、一気に上達するよ。」

カミロは助言を送る。俺はカミロの付けてくれた印の先にマルティナの槍を当てる事を意識する。


マルティナは間合を測って来る。対人では下がる事も出来るが、『囮』の影響もあり、モンスター戦で下がって距離を取り直す事は難しい。俺は、牽制状態のままマルティナの一突を見極める。


…来る。

俺はパリィする。衝撃はあまり感じず、穂先はそのまま俺の左側へ外れて行く。一瞬懐の空くマルティナ、それでもすぐ立て直す。


「おぉ、今の良いよ!」

カミロが拍手を送る。マルティナも一歩下がり笑顔を見せて一度槍を収めた。


「お前、戦士ビルドの教官の仕事、紹介するぞ。」

「今回は特殊ですよ。それにアルもすぐ上達しますし、教え甲斐があります。」

カミロが謙遜する。


「実は俺のホンモノの盾にも跡付けてあってね。…誰にも言わないでよ?」

その後で俺にコッソリ秘密を教えてくれた。


「俺もそうします。」

「是非是非!」

「一発で満足するなよ。続けるぞ、アル。」

マルティナが槍を構える。俺はマルティナに向直って、槍の穂先だけでは無く盾の印に集中する。墨の印は既に汗で滲始めていた。

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