04
「マルティナ教官。」
俺は翌日、再度マルティナの元へ出向く。
「おぉ、アル。」
「お願いがあって…重装備では無く、中盾か小盾で、往なしを主体とする戦士ビルドの人が居れば紹介して欲しくて。」
「…お前等仲良しだな。」
マルティナは笑顔を見せる。
「…お前等?」
「ウーゴも昨日同じ事を言って帰ったよ。ウーゴに今日紹介する予定で準備もしてある。お前も一緒に来いよ。」
俺はマルティナに連れられて訓練場へ行く。
「マルティナ教官、御無沙汰してます。」
「感謝するよ、カミロ。」
「マルティナ教官に呼ばれればすぐ馳せ参じますよ。相変わらずこの町が拠点ですし。」
訓練場へ行くとウーゴと、ウーゴのチームの剣士であるポロ、そしてカミロ。カミロと呼ばれた男性は歯を見せる。同年代で身長は俺、ウーゴと同程度。あまり戦士には見えぬ雰囲気である。
「カミロはお前等の養成学校の2個先輩に当たる。元々は剣士だったがチーム事情で戦士に鞍替えしてチームを支えている。」
「カミロです。よろしく。」
「アルブレヒトです。」
「…あぁ、君が『囮』の…今、丁度ウーゴ君と話していて。」
「アル、何で?」
「…別に偶々。」
驚くウーゴの質問に対して言葉を詰まらせていると、マルティナが背中をバシバシと叩く。
「カミロ、訓練を付けてくれ。」
「勿論です。ポロ君よろしく。」
カミロは木で出来ている訓練用の中盾と剣を装備する。ポロも剣を装備する。
「ポロ君、打って来て良いよ。俺は防御はするけれど、剣で攻撃には出ないので安心して。」
「…舐めるなよ。叩割ってやる。」
ポロは不穏な空気を出し、訓練場へ入る。
「始め!」
マルティナの合図でポロは特攻を始める。正面より間合を詰めて剣を振り下ろす。カミロは冷静にポロを見て、盾で剣を往なした。
「…何?」
剣は空振りのようになり、ポロは体勢を崩す。カミロは剣で体勢を崩したポロの首を刈る素振りだけして距離を取る。
「糞!」
ポロは体勢を戻して再度特攻をする。ウーゴは俺の横で溜息を吐いて短く整っている栗色の髪をクシャクシャっと掻く。
「ポロ君、先程の威勢は何処へ?それと何度も首、サヨナラしているよ?」
「煩せぇよ!」
結果は何度しても同じ、カミロはポロの振り下ろしも横薙も、盾で往なす。
「往なし、格好良く言えば『パリィ』と呼ばれる。正面で受けるのでは無く受け流す。体勢を崩して隙を見せればそのまま倒せるし、倒せなくても戦士としての役目は果たせる。…にしてもポロは相変わらず単細胞だな。止め!」
マルティナは最後、汗を流して息を切らているポロを見て訓練を止める。
「マルティナ教官、俺はまだ行けるっすよ!」
「結果は見えている。それにウーゴとアルに見せたい事は見せられたので終わりだ。」
ポロは舌打ちをして木の剣を放り投げる。カミロも少し汗はあるものの表情は涼しく、マルティナと俺等の元へ歩いて来た。
「感謝します。カミロ先輩。」
「先輩は勘弁してくれ。この程度で良ければお安い御用だよ。」
ウーゴは頭を下げて、カミロは謙遜する。
「腕を上げたな、カミロ。」
「冒険者としての経験を積む中であの頃よりも精度は向上しています。マルティナ教官にも少し成長した姿を見せる事が出来て良かったです。ウーゴ君、アルブレヒト君、応援しているよ。何かあれば気軽に言ってくれ。夕食は大抵西地区のアントニオの定食屋で食べているので。」
カミロはマルティナに一礼して笑顔で手を振り、去って行く。弓とは異なる得物…それでも俺の視線は、木の中盾を離れる事は無かった。




