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「腕の調子は?」

「取り敢えず、大丈夫そうだ。」

朝、トレーニングをしている俺に声を掛けるウーゴ、俺はそれに答える。


俺等は湯治を終えてパメラを送り、現在はシエラへ戻って来ている。理由は1個、仕事復帰出来るまでの出費を抑えるべく、新人冒険者向けの安宿を狙っての事である。


「ザルラバへ戻る…。」

「ウーゴ、アル!」

俺の言葉を遮り、遠くで聞こえて来るのはマルティナの声、隣にはカミロも居る。マルティナは珍しく、武装しており、槍が見える。


「マルティナ教官、カミロ先輩。」

「4日振りだね。」

カミロは笑顔を見せる。カミロとは先日、アントニオの定食屋で食事をしたのである。


「ウーゴ、手伝って欲しくて。」

「俺等も良く知るシエラ近郊の森にホブゴブリンが出て新人冒険者が被害に遭っている。取り敢えず、昨日マルティナ教官と俺等で出て、雑魚はある程度討伐したけれど、ホブはゴブリンの統率を取るし、ホブ自体を討伐する必要がある。」

「…カミロ先輩、マルティナ教官。1点だけ。」

「ディアナには先に承諾を取ってある。」

ウーゴに対してマルティナが答える。ディアナは例の1件以降、ゴブリン狩りは敢えて避けている。それは履歴書上は明白であった。


「私も前に進むって。」

「…であれば、準備します。」

ウーゴは頷く。


「合同チームではあるが即席で組めば連携のミスを生じる。原則各チームで動くぞ。ホブはウーゴチームに任せる。その他の雑魚は私とカミロチームで狩る。ディアナ、全体の支援を頼むぞ。肝は我々。雑魚をアルに辿り着かせず、ウーゴチームの負担を極力減らす事が今回の作戦の鍵になる。」

マルティナは全員を集めて作戦を説明する。


「…ホブを僕等で。」

「ホブは本来、己では前に出ず、配下のゴブリンを利用し、奇策を使って狡猾に戦闘を支配するモンスターだ。その奇策を封じて前線に連れ出せるアルの囮ギフテッドは相性が良い。」

クラウスの声にディアナが答える。


「行くぞ。」

俺等は久々のシエラ近郊の森に入る。

入ってすぐ、マルティナが合図する。

身を屈めて覗くとホブゴブリンを中心として、木と枝で即席の要塞を建築しているのが見えた。潰れ鼻、尖耳、麴塵色の肌は変わらずとも、童程の身長のゴブリンに比べてホブはクラウス程の身長で筋骨隆々としている。


「…オークかよ。」

ポロが呟く。


「行くぞ、アル。」

マルティナが槍を構える。

俺は頷くと、ホブの前に身を晒した。


ホブは俺を見て咆哮し、棍棒を持って走って来る。ゴブリンも同様、俺へ突撃して来る。マルティナの言う通り、ゴブリンの数はホブが居る割に多くは無く、多くを狩ったようであった。


「我々も行くぞ!血祭りだぁ!」

マルティナの声が響く。そしてカミロチームを置いて特攻した。マルティナは俺に注意の向くゴブリンを容易く飼って行く。


「…マルティナ教官…ヤバ。」

「俺等も来るぞ。」

ウーゴの声、俺は盾を構え、真上より棍棒を振り下ろして来るホブの攻撃をパリィした。ホブはバランスを崩し、ウーゴとポロが呼応してホブを斬る。


「クラウス、踏張れよ!」

「行けるぞ!」

「ディアナ、サンキュー!」

俺等は声を掛け合って戦闘を進めて行く。雑魚はクラウスが壁となり、ディアナが矢で仕留めてくれている。ホブ自体難敵ではあるが、ウーゴとポロの剣自体は通る。


「ディアナ!」

俺はディアナが移動しているのを視界に捉えて合図を送る。そして迫って来るホブをディアナの射線側へパリィした。ディアナは矢を射り、矢はホブの頭に風穴を開け、ホブは倒れた。


「最後まで削るぞ!」

マルティナの声が響く。


その後は消耗戦、森の中が静まる頃には、地面はゴブリンの異臭と血で溢れた。


「お疲れ。」

「変な気遣わなくても…でも、サンキュー。」

俺はディアナと握手を交わすのであった。

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