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「…アル、目を覚ましたか?」
目を覚ますと宿の天井、そしてディアナ。俺はボンヤリする頭を掻いて息をゆっくり吐く。鼻を刺激する薬草の香り、負傷した左腕には厚くエリシア特製の軟膏が塗ってある。
「まだ寝ておけ、熱もある。」
「…ディアナ、ここは?」
「女子部屋、特別だぞ?」
「…エリシアは?」
「今は寝ている。少し前まで昼夜問わずアルの看病をしていたが、流石にエリシアも寝るように言って交代した所。」
外は暗く夜である事がわかる。
「…何日寝ていた?」
「1日半。エリシアの軟膏の効能は絶大だ。」
「…ウーゴは?」
「人の心配している場合では無いぞ。」
ディアナはそうは言っても息を吐く。
「伏せっているよ。反省している。」
「…反省するのは俺等だ。兄貴に会った後、様子のおかしいウーゴに寄り添っておけば。」
ディアナは額に乗せてある水布を冷えたものに交換してくれる。俺は息を吐く。
「前に言った通り、俺は…俺等はウーゴの事を良く知らなくて、俺は囮ギフテッドで射士の夢を絶たれて燻っている所をウーゴに拾って貰って…他のメンバーも、ポロは素行面、他の3人は素質面で他のチームに誘って貰えなくて困っている所をウーゴに拾われて、このチームは出来た。それなのに俺等はウーゴに甘えてばかりで…。」
「…アル?」
エリシアが目を覚ます。寝巻のディアナも少し幼く見えるが、寝巻のエリシアはより一層幼く見える。エリシアは体をすぐ起こすと俺の所へ走って来る。
「アル、大丈夫?」
「エリシア、また救って貰って…感謝している。」
エリシアは涙目で首を横に振る。首を振る度に光るピアスは昨年の大晦日の時以来同じである。
「新しい水を貰って来る。」
ディアナは部屋を出て行く。俺はエリシアを見た。
「…アル、心配したよ。」
「腕の具合は?」
「お医者様にも診て貰って、傷口が化膿して、熱も出たけれど、腕自体は治るって。暫く仕事は出来ないけれど。」
「…であれば、まぁ。」
俺は左腕を見る。
「泣くなって。心配掛けて悪かったよ。」
「…アル。」
俺は右手でエリシアの手に触れる。
調香師、そして薬師として数々の調合をしておりエリシアの指と掌にはマメが沢山出来ている。俺は震えているエリシアの手を握る。
「ウーゴを…俺等のリーダーを助けるぞ。」
エリシアは涙目のまま強く何度も頷いた。
「あれ?今頃接吻でもしているかと思って静かに戻って来たのに…意外と甲斐性無いぞ、アル。」
ディアナが水を持って戻って来る。
「アホか。」
「エリシアも最後は勢いだぞ?経験豊富な年上のお姉様の金言として受け取っておけ。」
「べ、別にアルとは何も…。」
「何処が経験豊富…。」
ディアナは余裕の表情でエリシアの肩を叩く。エリシアは頬を赤くして首を横に振った。
「何か言ったか、アル?余裕出て来たのであれば、男子部屋に戻すぞ。」
「今夜は勘弁してくれ。ポロの歯軋りで傷口が開く。俺はもう少し寝るぞ。2人も寝てくれ。」
俺は水を1杯飲干すとそう言って目を閉じた。




