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「ウーゴ!」
あの日、ウーゴの兄レオに遭遇した日より、ウーゴの歯車が狂い始めた。傍目には普段通りに見えるウーゴではあったが、事務面での些細なミスに始まり、帰るタイミングの判断を見誤りクラウスが熱中症気味になる事もあった。
「…ウーゴ、大丈夫かよ?」
「何か流れが…今度、教会行って来るよ。」
ポロの声にウーゴは頭を掻いて苦笑する。
今日も俺等は灰狼狩り出た。
作戦はこれまで通り、灰狼を見つけて、俺が灰狼を囮ギフテッドで誘導してディアナの矢で灰狼を倒し、近接戦の場合は俺を起点にしてクラウスで抑えてウーゴとポロで狩る。
群れは12体、俺等は戦闘に入る。
ディアナは今日も調子が良く、早速複数匹の灰狼を倒した。ポロも慣れて来て、ディアナの射線を意識して戦闘出来ている。俺は複数匹迫って来る灰狼に対して、連続でパリィをして前衛にトドメを任せる事にして構えた。
「…ウーゴ!」
1匹目の灰狼をパリィし、次の灰狼のパリィへ備えて視線を移した時、ポロの声が響く。本来俺のパリィの後の2次攻撃に入るはずのウーゴのタイミングが遅れている。パリィに専念して次の灰狼へ正対していた俺の左側は空いており、パリィより体を起こした灰色は隙のある俺の左腕に対して、激しく爪を立てた。
「アル!」
「…あぁ!」
服が裂けて、左腕の肉が削がれる。俺は反射で灰狼を斬り付けた後で、声を上げて倒れた。
「ウーゴ!クラウス、カバー。」
ポロが慌ててクラウスに指示を出す。クラウスは俺を覆うようにして盾を構えた。
痛いより熱い。
俺は削がれた左腕を見る。
砂が混じってしまった傷口、出血もしており地面を赤黒く染めている。そして目の前には狩り損ねた灰狼が、血の臭いも重なり目を血走らせて俺を見ている。
「アル、大丈夫?」
「アル!」
クラウスが灰狼を堰止めて俺を振り返る。ポロは俺とクラウスに集まる灰狼に対して無茶苦茶に剣を振り回した。
「アル、止まったら終わるぞ。体を起こして射線斜めに走れるだけ走れ!」
「…無茶を言うなよ?」
思ったより近くで聞こえるディアナの声、俺はクラウスの背中を借りて立つと近付いて来ているディアナとエリシアを視認した後で走った。
目の前が歪む。
走る振動で激痛が入り、そのまま嘔吐した。
それでもクラウスを振り切り俺を容赦無く追って来る灰狼に対してディアナは素早く矢を射り、連続で残りの灰狼を倒した。
「…ル、アル!」
俺はディアナが全ての灰狼を倒した事を確認して走るのを辞めて倒れる。寒気がして来て更に視界が狭くなった。青冷めた表情のエリシアが俺の名を連呼しているのが聞こえる、その記憶を最後に俺の視界は暗転した。




