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テルアでの最期のボア狩りを終え、パメラとも再開した翌々日、俺等はテルアの南にある礫砂漠の入口にある町ザルラバへ来ている。
聖ラティア王国の中で、王都のある南側と大穀倉地帯である東側は平地も多く、1年を通して気候の安定した地域ではあるが、北西部は山岳と森林、南西部は礫砂漠があり、各々冬夏は極寒、灼熱に襲われる。ザルラバは南東側と、礫砂漠の中のオアシスにある砂漠都市ハーデヴァナティスを繋ぐ中継点であり宿場町である。
「暑くね?」
「涼しい訳…。」
「言われると余計に暑く感じる。黙れ、ポロ。」
「ディアナ…。」
今回狙っているモンスターは『灰狼』。グラディウルフ、別名灰狼は、礫砂漠に棲息するモンスターで、体躯は固有種の狼同様ではあるが、薄明薄暮性では無く完全な昼行性で、知性が高く10体前後の集団で行動し、行商人を襲撃する。
「行くぞ。」
ウーゴは灰狼の群れを視認してディアナに合図を送る。ディアナとエリシアは少し離れ、灰狼も俺等に気付くと俺に向けて一直線に走って来る。
狡猾で知性のある灰狼も俺の前では通常の獣と化す。ディアナは俺に向けて走って来る灰狼の側面より矢を射て、灰狼を倒した。それでも数匹特攻して来る灰狼を俺はパリィする。テルアボアより勿論衝撃は軽く、俺は咬まれないように気を付けて連続でパリィして、一度クラウスを挟めて距離を取る。ディアナを視認し、ディアナの矢の射線を意識して位置取り、そして再度クラウスを避けて迫って来る灰狼をパリィして行く。
「ウーゴ!」
「ポロ、射線に入るな!射抜くぞ!」
途中、ディアナの声が響く。ディアナの腕はウーゴチームに余る程で、灰狼の群れの半数はディアナの矢で倒れた。逆に本来主軸であるはずのウーゴ、ポロはボアより素早く動く灰狼に苦戦している。最後は俺がパリィしてそのまま剣を振り群れは全滅した。ウーゴは汗を拭って息を整えて何度か頷くと、俺とディアナに合図を送る。ウーゴ、ポロ、クラウスが素材と討伐の証明になる耳を削ぐ間、俺はディアナの元へ後退する。
「お疲れ。」
「お疲れ、アル。」
ディアナは驚く様子と呆れる様子を見せる。
「ウーゴの言う通り、良くも悪くもアルの囮ギフテッドあっての戦術で…。」
「まぁ、元々ウーゴチームはそれで成立している。」
「ディアナも凄いよ!何匹倒したの?」
「否、私は凄く無くて…。光栄としてはアルと戦闘すると鈍るのでは、と心配になるよ。」
「…何で?」
エリシアが首を傾げる。
「エリシア、お前はモンスターがどう動くか、想定して調香ビンを投げた事があるか?」
「無いよ…あぁ!」
エリシアは首を横に振り、そして気付く。
「その通り。止まるのか、動くのか、動くにしても誰に向かって行くのか、本来後衛は技術以外にも戦況を見る、モンスターの行動を見定める能力が必要になるが…ウーゴチームでの戦闘では必ずモンスターはアルへ向かって行く。加えてアルはポロと違って射線まで管理してくれる。」
「…元射士なのでね。」
「優れた射士、であった事は見ればわかる。」
「気遣いは無用だよ。」
「アル、ディアナ、エリシア、お疲れ様。」
ウーゴが回収を終えて合流して来る。
「ディアナ、流石だよ。アル、意見は?」
「俺は行けると思うぞ。」
俺は頷く。
「俺も同意見だ。ディアナも活かせるし、アルのパリィも有効に決められる。俺とポロの所は少し課題ではあるけれど、そこはポロとも相談して調整するよ。灰狼自体も夏は少しバテていて巣穴を出て来る群れも多くは無い。ディアナ含めた戦術を試して行くには丁度良いね。」
「一旦戻るか?」
「そうだね。ポロとクラウスの水も減っている。」
ウーゴはポロとクラウスに声を掛けに行く。
「アル、エリシア。1個教えてくれ。ウーゴは、何故あそこまで大人なのだ?」
「…俺もウーゴの事は良く知らなくて。」
初期メンバーであるエリシアも首を横に振る。俺も呟くディアナを見て答えた。




