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「…何日来ても同じだぞ。」
「安心して。取り敢えず菓子折りを購入する資金はまだある。破産するまでは来るよ。」
その後数日間、ウーゴは連日足繁くディアナの元へ通った。ディアナは菓子折りには満足した様子で差し入れた菓子折りを食べている間は座ったままで居てくれるようにはなったが、相変わらず脈無しの日々が続いている。
「破産する前に帰れ。」
「それは断る。俺とアルと俺の仲間が餓死するのを避けたければ仲間になってくれ。」
「断るって!」
「まぁまぁ…お、今日は丁度用事があって、先に失礼するよ。ディアナ、明日もまた来るよ。アル、後の事はよろしく。」
ウーゴは慌てて1人で出て行く。俺とディアナは困惑してウーゴの出た扉を眺めた。
「お前のリーダー、あれは何だ?」
「…俺の時も同じような感じで。ディアナ、ウーゴはマジで破産するまで来るぞ。」
「…アルだったか。お前も後でチームに?」
「あぁ…まぁ色々あって。そもそもウーゴチーム自体訳有りのメンバーの集まりではあるが。」
「メンバー構成は?」
「…ウーゴに聞けよ。」
「奴に聞くと、チームへの加入に興味があるように映る。それは癪に障る。」
「まぁ…。」
俺とディアナを2人にしたのもウーゴの策略である事に俺は気付く。俺は出て行った後でニタニタしているはずのウーゴを連想して溜息を吐く。
「戦士2人、剣士2人、調香師1人。今回、チームを離れた射士で元々6人のチーム。」
「普段は何の仕事をしている?戦績は?」
「普段はテルアでテルアボア狩りをしている。戦績はシエラ近郊でのゴブリン狩りと、ボア狩りだけ。そもそも俺が入る前はゴブリンも倒せねぇチームで、白等級に限りなく近い銅等級チームだ。」
「…テルアボア狩りの理由は?」
「俺のギフテッドとチームの相性を加味して。俺は無駄にモンスターを惹寄せる…。」
「アル…あぁお前、この間のルシオクランのアースドラゴン狩りで貢献した『囮のアルブレヒト』か?」
「…何、そのダサ異名。」
「ティーロックでは『囮のアルブレヒト』は有名だぞ。」
ディアナの表情が柔らかくなる。
「成程。で、ウーゴは何故私をチームへ勧誘する?」
「…ウーゴの趣味?」
俺は首を傾げ、ディアナは苦笑する。その時、ウーゴの出て行った扉を叩く音が聞こえた。
「何で俺無しで…外で待っていたのに。」
「…マルティナ教官。」
「…マルティナ教官。」
ウーゴである。そしてその横にはマルティナ教官と、マルティナ教官の愛娘。ウーゴは拗ねている。
「久し振りディアナ、それと『囮のアルブレヒト』。お前の異名はシエラにも届いているぞ。」
「…不服です。」
「御無沙汰してますマルティナ教官。…何故?」
「ウーゴに手紙を貰ってね。私と娘の旅費も出すのでティーロックまで来て、ディアナを勧誘するのを手伝ってくれって。丁度、今回の養成学校の卒業生も出して追試も終わったし、教え子の金で旅行も悪く無いと思って。」
マルティナは完全に私服で、マルティナと娘の手にはティーロック名産のミルクシェイクがある。マルティナは笑顔でウーゴの座っていた椅子に座った。俺はマルティナの娘に椅子を譲り、最後尾へ下がる。
「ディアナ、ウーゴチームに入れ。ウーゴチームは発展途上のチームでアスハンのチームには見劣りするが皆、良い奴等の集まりだ。それにアスハンも皆も、お前がこのまま1人で腐ったり、フリーランスの冒険者として危険を冒し続けたりするのは望まないぞ。それはお前も前々より理解しているはずだぞ。」
「ウーゴ、お前善くも…。」
「まぁ怒るなよ、ディアナ。」
「狡いぞ。」
「…外堀を埋めるのはウーゴの得意技だよ。」
俺はディアナに対して同情する。
「…また明日来てくれ。」
「勿論、菓子折り持って行くよ。」
ディアナは項垂れてそう告げ、ウーゴは笑顔でマルティナと出て行く。俺はディアナを見た後でウーゴとマルティナの後を追った。




