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「初めまして、ウーゴとアルです。」
「…ディアナです。」
黒髪短髪に長めのピアスが特徴のディアナは、面談に入って来る時点で不機嫌で、俺等を一瞥した後で溜息をし、音を立てて椅子に座る。
「チームに加入してくれる射士を探してまして…。」
「お断りします。今はフリーランスの仕事以外受けてませんので。」
「存じ上げています。」
「であれば…。」
「それはトラウマの影響ですか?」
ディアナは話すのを辞めてウーゴを睨付ける。
「茶化しに来たのであれば、帰れ。」
「真面目です。その上で是非、我々のチームに加入して欲しい。」
「…帰れ。」
「また明日も面談を申し入れますので!」
ディアナは怒って出て行く。ウーゴは背中に声を掛けてディアナを見送ると笑顔を見せた。
「お前って奴は…。」
「この程度、アルを勧誘した時と同じ位でしょ。」
呆れる俺に対してウーゴは涼しげである。
「アル、ルシオ様かハラシュ様のツテで、以前のディアナのチームの事件、探って貰っても良い?」
「ウーゴは?」
「俺は明日持って行く菓子折りを探しに。」
ウーゴは大通りへ消えて行く。俺は頭を掻いてウーゴを見送ると、ルシオのツテを頼るべくルシオクランの事務所へと向かった。
「あぁ覚えているよ。そもそも、その後処理を担当したのは我々のクランだし。」
暫く待った後、ルシオクランで俺の対応をしてくれたのは、ルシオの粗雑な面を完璧に補填する人格者であり、副長であるバルトルト。俺は安心してバルトルトの話を聞く。
「良くある事故、と言ってしまえばそれまでではあるのだけれど…彼女等はその日、ティーロック北側にある森に巣食っているゴブリンの群れの討伐に出たが、群れの中に複数体のホブゴブリンが混じっていて…。」
バルトルトは1度言葉を切る。
ゴブリンには複数の亜種が存在する。知性のあるホブゴブリン、妖術を操るゴブリンシャーマン、そしてゴブリン界の帝王であるゴブリンロード。奴等は先天性では無く後天性に成長、進化した結果であり、ゴブリン討伐に出て、上位種に殺られる事は良くある事故なのである。
「彼女等のチームは善戦したが、戦士が倒れた事で総崩れになり、最期リーダーの剣士は身を挺して後衛の彼女だけを逃がした。彼女はその戦闘の唯一の生存者だよ。」
「…成程。」
「アルブレヒト君、選択肢があるのであれば、敢えて彼女をリクルートしなくても…。」
「でも、冒険者は辞めなかった訳ですよね?」
「…まぁ、それは。」
「感謝します、バルトルト様。」
俺はバルトルトに頭を下げて事務所を出る。事務所を出た先には、既に菓子折りと、俺等の夕食まで買っているウーゴが待っていた。
「収穫は?」
「取り敢えず、ウーゴの欲する情報は得たぞ。」
「サンキュー、では、安宿を探しに…。」
「…俺の時は菓子折り無かったぞ?」
「…アル、菓子折り程度で靡くか?」
「ディアナも靡く感じではねぇぞ?」
「否、女の子はお菓子で靡くよ。」
「…お前って奴は。」
俺は楽しげな様子のウーゴを見て溜息を吐く。ウーゴは涼しい顔で安宿を探し、大通りとは逆側へ歩くのであった。




