29
「明日はティーロックへ行くぞ。」
パメラを孤児院へ送り届けて1泊過ごし、テルアの家へ戻った日の夕、ウーゴは告げる。
「…何で?」
「新しく後衛のメンバーを探しに行く。」
「…何で?別にパメラが実家に帰った後も俺等で普通にボア狩りして…。」
「ポロ…それで良く座学の試験合格出来たな。」
ウーゴが呆れる。
「チーム結成の要件だよ。チームは最低限、戦士等の最前衛1人、剣士等の前衛1人、射士等の後衛1人を入れる事。その要件に反している場合、チーム向けの依頼を受ける事は出来なくなる。」
「…エリシアは?」
「調香師は厳密には特殊枠で…。」
エリシアは少し恐縮する。
「エリシアが特殊枠で…あ!」
「要するにウーゴチームは今、チームでは無いって事。勿論、個人向けの依頼は受ける事が出来るけれど、正式に書類上パメラが抜けた以上、俺等でテルアボア狩りに出る事は現状不可能だ。」
「マジかよ!」
俺とクラウス、パメラは漸く事態を把握したポロを見て呆れる。
「アルがアースドラゴンを倒した報酬をチームに入れてくれたお陰で資金に余裕はあるが、ティーロックへ仕事もせず皆で長期滞在するには宿代も掛かるし、この家の留守番も必要になる。今回のリクルートは俺とアルで行く。クラウス、留守番を頼めるか?仕事は基本受けなくて良いけれど、町の中で出来る土木作業等の依頼は熟しておいてくれ。」
「了解。」
「アル、よろしく。」
「…俺は別に留守番でも。」
「行くぞ!」
俺は苦笑して頷く。
冒険者組合では、マッチングシステムがある。
新チームを作ったり、新メンバーを募るのに際して使われる人材交流で、チームの結成、既存のチームへの加入以外にも、特定の依頼を熟す為の1回限りのチーム結成、既存のチームへのフリーランスでの参加等幅広く斡旋している。
マッチングシステムを有している支部は大都市に限られる。俺とウーゴは翌日、ティーロックの冒険者組合支部のマッチングシステム窓口へ赴く。
「後衛職を1名募集したいのですが。」
「畏まりました。どのような人をお探しで?」
「出来れば同世代の銅等級冒険者で。我々自身白等級に近い銅等級ですので、戦績等に拘りは無いです。」
「少々お待ちを。」
受付の女性は履歴書を漁る。
「今、登録している射士で、ウーゴ様の御意向に一致しているのはこの方々になります。」
履歴書は10枚程、俺等は履歴書に目を通す。
「…彼女は?」
「ディアナです。射士としての実力は今回御紹介している銅等級冒険者の中でも上位ですが、この1年フリーランスの仕事以外請負ってませんので、チーム加入の勧誘は困難と思われます。」
「…チームは壊滅したのですね?」
「ディアナ以外のメンバーも実力のある若手有望チームでしたが運悪く…。」
ウーゴは俺を見る。
「お前に任せるよ。」
「では、ディアナとの面談をお願いします。」
「畏まりました。」
俺とウーゴは冒険者組合支部を出る。
「アル、意見は?」
「…特には。」
俺は笑顔で帰路を歩くウーゴを見て、未だ見ぬディアナへ少し同情したのであった。




