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「ウーゴ、お疲れ。少し良い?」
春になり、冒険者稼業としてのテルアボア狩りを再開した俺等は今日もテルアボアを狩り、夕刻町へ戻って来て納品を終えた所で、冒険者組合の支部長に呼止められた。
「何です?」
「実は、ウーゴ等に山の反対側にある村の孤児院へボア肉を届けて欲しくて。」
「ボア肉を…孤児院へ?」
「慈善事業で廃棄する削肉、骨周りの肉を時々孤児院の子供等に提供していて。特にこの秋はウーゴ等のお陰でお裾分け出来る回数も増えて子供等にも喜ばれたよ。その子供等が是非、『ボア屋』に会って御礼をしたいって。勿論、組合で報酬は出すよ。」
「それは勿論。山の反対側のモンスターは…?」
「ゴブリン少々、後は二角兎かな?」
「…であれば、受けます。」
「サンキュー。明日の朝、支部に寄ってくれ。地図と届けるボア肉を渡す。」
「了解です。」
俺等は支部長と別れる。
「って事で、明日は山向こうの村へ行くよ。」
「俺等、有名人かよ!」
ポロが浮かれる。
「子供等に喜ばれているのは嬉しいよね。」
「冒険者組合も粋な事しているよね。」
エリシアとパメラも笑顔である。
「久し振りのゴブリンに苦戦するなよ?」
「そうだぞ。それで村に辿り着く頃にはボロボロでは笑えないぞ。」
俺は苦笑し、ウーゴも真面目に返した。
翌日、俺等はポロが山登りに不平を垂れたり、パメラが遅れを取ったり等々あったが、会敵はせず俺等は地図通り村へ到着した。
ある程度の都市、町であればモンスター対策として都市、町を守る壁を築くが、田舎村は野晒し状態である。俺は、村の至る所にあるモンスターの痕跡を横目に孤児院まで歩く。
孤児院は元々教会のようで、白壁に屋根には十字架が掲げられている。壁にはゴブリンの痕跡、入口を掃除しているシスター姿の老婆は俺等に気付いて深々と頭を下げた。
「冒険者組合の依頼でボア肉を持って来ました銅等級冒険者のウーゴです。」
「お待ち申し上げておりました。孤児院を運営しておりますシスターマリーです。御案内します。」
シスターマリーは中へ案内してくれる。
中には年季の入った木製のベンチ、ステンドグラス越しに差す光だけで中は薄暗く、その中で20人程の子供等と私服姿の中年女性が居る。
「テルアボアを討伐し、そのボア肉の一部を御恵贈頂いております冒険者の皆様ですよ。」
「あ、ボア屋の冒険者!」
「凄い、ホンモノ?」
子供等は俺等の元へ走って来る。服はボロボロで痩せている者も多いが、活気には溢れている様子である。
「失礼な事はしないように。ルトラ、あれを。」
シスターマリーはルトラと呼ばれた少年を見る。ルトラは紙を取り出して先頭のウーゴへ差し出した。
「冒険者の皆様、美味しいボア肉を届けてくれてありがとう御座います。僕も大人になった時は冒険者になって、教会にボア肉を届けられるようになりたいです。」
「是非、受け取って頂れば。」
受け取った紙は手紙とボア肉を食べている子供等の絵。ウーゴは頭を下げて受け取る。
「こちらこそ、光栄です。」
「硬いぞ、ウーゴ。」
ポロが茶化す。
「良ければ、少しの間子供等の相手をして頂く事は可能ですか?」
「勿論です。」
「チャンバラしようよ!」
「良し、チーム最強の剣士が相手になるぞ。」
ポロがノリノリで子供等に囲まれる。女の子は控えめにエリシアとパメラの元へ集った。俺はベンチに座り様子を眺めるのであった。




