24
「お疲れ様でした、アルブレヒト君。」
俺は討伐報告に行くルシオと共に、一足先にティーロックへ戻った。理由は外部の人間である事以上にアースドラゴンの素材回収の際、無闇に敵襲を受ける事を避ける為のルシオの采配である。
俺はハラシュの元で射士装備を返却し、そのまま宿へ戻る予定ではあったが、ハラシュが面会を希望したのでルシオと入れ違いで俺は応接室へ入る。
「お世話になりました。」
「お世話になったのは我々です。ルシオ君もアルブレヒト君のお陰だと言ってましたよ。」
「俺は撒餌以上の事は何も。それはルシオ様が1番理解していると思います。」
「…アルブレヒト君は御自身の事を良く客観視出来ている。素晴らしいです。時に残酷ですが。」
ハラシュは表情を緩める。
「先程の発言は世辞です。謝罪します。ルシオ君はアルブレヒト君は上手く使えば化ける、と報告を。これは本当です。」
「それはルシオ様にも直接言われました。その通りです。私のギフテッドは私の技量以上に指揮官、戦闘環境の影響を受けます。」
俺は答える。
今回のクラン戦を見れば一目瞭然である。俺1人の存在で敵を釘付けに出来る利点もあれば、無駄な戦闘のリスクが増えたり普段使用しているフォーメーションが崩れたりする欠点もある。
大規模に行われるモンスターの巣窟での高難易度戦は、俺の囮ギフテッドと相性が最悪なのである。
「是非また。テルアボアもよろしくお願いします。」
「失礼します。」
俺はハラシュの元を去る。
「…お前等、何を?」
「アル!」
大通りを通って宿へ戻る帰路、俺は不審な人影を発見して声を掛ける。
「アル、お帰り。」
「見つかるぞ。」
「…何を…あぁ、成程。」
俺も物陰に身を潜める。不審な人影はウーゴ、クラウス、エリシア、パメラ。その視線の先にはポロ。隣にはポロに似ている弟が居る。
「…偶々見つけて。」
「折角見つけたし、尾行して家まで行って御両親に挨拶を、と思って。」
少し申し訳無くしているクラウスの横で、ウーゴはノリノリである。
「それでアル、成果は?」
「ルシオクランはアースドラゴンを倒したよ。」
「…アル、凄いよ。」
俺は感嘆するクラウスと言葉を失っているエリシア、パメラを見る。
「俺はアースドラゴンの餌で、ルシオ様の背後で戦闘を見ていただけだよ。クラン戦を間近で見る事が出来たのは良い経験になったけれど。」
「アル、憧れる?アルは元々…。」
そこまで話してクラウスはハッとして口を閉じる。
「今更気にしてねぇよ、クラウス。言えよ。」
「…元々僕のような銅止まりの並の冒険者とは違って、銀等級以上の冒険者を目指せたり、クランに入ったり作ったり…。」
クラウスの語尾は徐々に窄まって行く。
統計上、冒険者の大半は白→銅へ昇格した後はそのまま銅等級で終わる。銀等級冒険者は冒険者全体の2割、金等級冒険者以上は冒険者全体の1割程度。故に銀等級以上の冒険者は尊敬を集める存在なのである。
「まぁ、憧れはある。でも俺は、餌役で昇格するより銅等級でも冒険者をしたいよ。それにお前等、俺が抜けるとゴブ屋も出来ねぇぞ?」
「まぁ…それは…。」
「それより…動くぞ、見失うなよ。」
俺はクラウスの言葉を遮り、ウーゴの横まで出てポロを監視する。ポロは弟に菓子を購入すると店を出た。そして家へ、俺とウーゴは先陣を切ってポロの家の扉を叩くのであった。




