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「ウーゴ様、御無沙汰しております。突然、失礼致します。ハラシュ商会でハラシュ様の執事をしておりますベルントで御座います。」
年明け以降も俺等は雪の中で依頼を熟し続け、銅等級冒険者チームへ昇格した。俺等の腕には白色では無く橙色の腕章。そして雪解けの候、俺等は家でベルントを迎えている。
「御無沙汰しております、ベルント様。本日は如何しまして?」
ウーゴは頭を下げる。
「ハラシュ様より、ティーロックへの招待状をお預かりして参りました。テルアボアの冬眠明けまでまだ幾許あります。その前に是非、との事です。突然の招待で恐縮ですが、是非ティーロックへ。」
「…え!ティーロックへ行けるの?」
背後でエリシアとパメラが目を輝かせる。
「勿論です。御招待ですので、牛車もティーロックでの宿もハラシュ商会で手配し、代金も負担致しますのでお気軽に御検討を。」
「マジで!流石ハラシュ商会。」
「お前等、端無いぞ!」
ウーゴは背後の面々を注意し、頭を掻く。
「失礼しました。是非、馳せ参じます。」
「では、明日の朝、御迎えにあがります。」
ベルントはウーゴへ招待状を渡し、深々と礼をして出て行く。ウーゴは冴えない表情を見せ、黙って見ている俺に対して苦笑した。
「ウーゴ、喜べよ。」
「ポロ、アホか。テルアボアを討伐してハラシュ商会に結果として貢献しているとは言っても、銅等級へ昇格したばかりの一介の冒険者を商会のお金を使って招待してくれる訳…大抵、美味い話には裏がある。今回、何かあるぞ。」
「まぁ大商人が金を動かすって事は、それ以上の利益を見込めるって事だ。」
俺も同調する。
「…アルまで。」
「とは言っても、招待を断る理由も無ぇし。」
「まぁ、牛車も手配して頂いているし。」
「それに商会で確保した恐らく高級宿に泊まれるなんて今後暫く無ぇぞ。元々ティーロックへの貧乏旅を予定していた訳で、取り敢えず…。」
「おぉ、流石アル!」
ポロは俺と珍しく意見が一致した事で、満面の笑顔を見せる。
「明日ティーロックへ行くぞ。荷を纏めておけよ。」
「良し!」
ポロと女性陣2人は歓喜した。
そして翌日、牛車に揺られて夕刻、俺等はティーロックへ到着し、ハラシュ商会の本部兼ハラシュの家へ。豪邸を通り越して宮殿の様相の家の応接室で、俺等は触り心地も良くフカフカの椅子に座り、紅茶を頂戴してハラシュを待機する。
「お待たせしました。ウーゴ君、アルブレヒト君、久し振り。そしてチームの皆様、初めまして。ハラシュ商会のハラシュです。」
暫く待った後、小走りでハラシュが入って来る。俺等は起立してハラシュを迎える。流石のポロも起立して緊張の表情である。
「ハラシュ様、御招待頂いて感謝致します。」
「堅苦しくしなくて結構、突然招待して逆に申し訳無かったよ。」
「そんな事は無いです。」
「座って、座って。」
ハラシュは座り、俺等にも着座を促す。
「テルアボア狩り、今年もよろしく頼むよ。」
「勿論です。精進致します。」
「今日はまず、その激励って事で。後で宿にも案内するよ。ティーロックでも有名な宿でね。ゆっくり疲れを癒して英気を養ってくれ。」
「感謝致します。末端の銅等級冒険者には身に余る施しです。」
「…ウーゴ君もアルブレヒト君も気付いている様子だし正直に話そう。実はアルブレヒト君に1個、我々に協力して欲しい事があって…。」
ハラシュは柔らかな表情のまま軽く笑顔を見せる。応接室の扉をノックする音が聞こえた。
「入って。」
ハラシュは誰かを確認せず迎え入れる。
扉が開く。
すぐ目に入ったのは、金等級冒険者である事を示す黄色の腕章。
「…ル、ルシオォ!」
ポロは仰天して起立し、声を上げた。
俺もすぐに気付く。
銀髪に耳と唇に光るピアス。
そして装備しているレイピア。
悠々と入って来たのは、西側最大のクランであるルシオクランのリーダーにして、若くして金等級冒険者に登り詰めたルシオであった。




