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大晦日、ウーゴチームも今日明日は休暇である。
部屋で寝ている予定であったが、クラウスが恒例の習慣と言って家の大掃除を始めたので俺は外へ出た。ウーゴとポロは、大通りの祝祭に出掛けたが人が多く俺は早々に断念し、暫く良く行くバーで酒を飲んだり町を歩いたりして、夕刻に家へ戻って来た。
「お帰り。」
家に帰ると共同フロアでエリシアが居る。クラウスは大掃除を終えたようで、家は綺麗だ。
「…エリシア。クラウスは?」
「掃除終わって、ウーゴとポロと合流するって。」
「パメラは?」
「2人で昼酒して、今は寝ているよ。」
エリシアは答える。
「アルは祝祭行かなくて良いの?」
「普段より麦酒の代金も高いし、無駄に人も多いし、行かなくて良いよ。手紙?」
俺は机にある手紙を見る。
「あぁ、親。時々文通しているの。今回のは大晦日と御正月の挨拶。」
「…にしては、表情が晴れないぞ?」
「…わかる?アル、意外と鋭いね。」
エリシアは困り顔をする。
「前に、私が薬屋の娘で、将来は薬師を目指していて、冒険者を目指した理由も、見聞を広めて、近場の薬草であれば自分でそのまま取りに行けるように…って話したの覚えている?」
「勿論。」
「冬を越せば冒険者になって1年経つし、段々戻って来て薬師に専念して…って言われて。」
「…あぁ。」
俺はエリシアの告白に、何を答えて良いかわからず曖昧な返事をする。
「…正直、迷っていて。冒険者としてこのまま順調に行けば来春には1年で、今の状態を維持出来れば銅等級へ昇格出来て丁度良い一区切りにはなる。でも…パメラと居るのも皆と冒険するのも楽しくて、調香師としても、まだ半人前の薬師としてもこのチームで過ごせて幸せで…。」
「最後に決めるのはエリシアだよ。でも…。」
俺は続ける。
「俺はエリシアに居て欲しい。調香師としても薬師としても助けられているし、信頼している。皆も同じ事言うよ。」
「…アル。」
「あ…後これ、良ければ。」
俺は先程購入した小箱をエリシアに渡す。
「…何?」
「…ピアス、無くしたって聞いて。その…大晦日だし、色々お世話になっているし贈り物を、と思って。良ければ。」
「え!買ってくれたの?開けても良い?」
俺は頷く。エリシアは小箱を開けると、装飾具店の店主に相談して購入した、ティーロック産のピアスを取り出して光に翳して見た。
「可愛い。本当に貰って良いの?」
「勿論。」
「ありがとう、大事にするね!」
エリシアは眩しい程の笑顔で俺を見た。俺は逆に恐縮して頭を掻く。
「良いお年を。」
「アルも良いお年を。明日はクラウスがお雑煮作ってくれるって。」
「それは楽しみだ。」
俺は、無人の男子部屋へ戻る。
1年が終わる。
俺は布団に横になって壁側を見る。
布団の横には剣と盾。
去年の今頃は、養成学校で結果を出し、ツェーザルのチームにも誘われて、射士として順風満帆なスタートを切っていた。
俺は盾を撫でる。
射士の装備はシエラで質屋に出した。
俺は…今は、戦士である。
外では、大晦日を楽しむ人々の声が聞こえる。
俺は布団に潜り、明日の雑煮に期待し、早めに寝た。




