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「ウーゴ、疲れたぞ!」
「口では無く手を動かせよ。」
冬、南側の温暖な気候とは異なり、北西部のテルアは雪に覆われる。俺等の今日の依頼は町の除雪作業、大通りを中心に俺等は雪を掻く。
「大した報酬でもねぇのに。」
「それでも報酬はあるし、アルとクラウスが足腰のトレーニングにも最適だって。」
「クラウス、テメェ余計な事を!」
「まぁまぁ。」
「鍛えられて金も貰えて、一挙両得だぞ?」
「町の皆にも喜ばれるし。」
ポロは何も言えず雪を蹴る。
「クラウス、ポロ、手伝って。」
「今、行くよ。」
クラウスとポロはエリシア、パメラに呼ばれて行く。俺は腰を入れて除雪作業を続ける。
「もうすぐ年越し。卒業して半年か。」
「そうだな。」
「大晦日はどうする?」
「仕事が無ければ寝ているよ。」
「…そう言えばエリシアがピアスを無くしたって。」
「…何でそれを俺に?」
「贈り物でも、良ければ?」
「…まぁ、世話にはなっているが。」
聖ラティア王国には大晦日に、お世話になった人へ物を贈る風習がある。
「俺にピアス貰っても…。」
「喜ばれると思うぞ?」
俺はウーゴの魂胆を理解出来ず首を傾げる。
「ウーゴ、お客様が見えているぞ。」
「…お客様?」
声の主は冒険者組合のテルア支部長、その奥には黒の外套を羽織っている白髪の男性が居る。
「ハラシュ様、彼等がボア屋です。リーダーのウーゴと戦士のアルブレヒトです。ウーゴ、この御人はティーロック随一のハラシュ商会のハラシュ様。君等のボアも仕入れて頂いている。」
「初めまして、ハラシュです。」
「御噂予々。お会い出来て光栄です。リーダーをしておりますウーゴです。」
「…アルブレヒトです。」
「支部長、若くてビックリしたよ。」
俺は貴人、紳士の雰囲気を醸し出すハラシュに握手を求められて握手をする。
「ウーゴ君のチームのお陰でティーロックでもテルアボアを仕入れられるようになって喜ばれているよ。」
「…仕事ですので。」
「もし良ければお話しでも。」
ウーゴは俺を見る。俺は頷く。
「光栄です。」
ウーゴはハラシュと支部長と支部へ。
俺は日没まで除雪作業を続ける。
「お帰り。」
ウーゴが帰って来たのは、俺等が除雪作業を終えて報酬を受け取り、家に帰った更に後の事。ウーゴは疲れた様子で家に入って来る。
「お疲れ。」
「凄く良い人ではあるんだけど、話が長くて。」
「ハラシュ商会長に会えるだけで凄ぇよ。」
ティーロック出身のポロは素直に感嘆する。
「疲れたよ。クラウス、御飯ある?」
「取っておいてあるよ。今、温める。」
チーム1の料理人であるクラウスが頷く。
「何話していた?」
「5割はティーロックとハラシュ商会の話で、後は俺等のチームの話とか。このままティーロックに戻る護衛の仕事に誘われて大金を積まれたけれど、それは丁重にお断りしたよ。」
俺は頷く。護衛の仕事は、俺の囮ギフテッドがある以上、最悪の相性の仕事である。更に今、テルアとティーロックの間にある平原では、群れで棲息するグレイスウルフが出没する。
「ティーロックには興味あるけれど。」
「え!ティーロックに行くの?」
丁度沐浴を終えたエリシアとパメラが出て来て、目を輝かせる。
「…春に行くか。観光で。ポロの家にも行って、世話している御礼に飯でも奢って貰って。」
「奢る訳…それに家も紹介しねぇよ!」
ポロが焦る。俺は苦笑してメンバーを見た。




