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秋になり、俺等はシエラを離れ、光輝都市ティーロックより北西に1日程の所にある、山間部の町テルアへ拠点を移した。
山にある木材の違いによりアルタベルクの木造の家より茶色が濃く、ティーロック産の硝子のランタンが町の灯りに使われている事もあり全体としてシックな印象の町である。
町自体は田舎町ではあるが、大通りにはティーロックにある店の支店もあり、エリシアとパメラは良く2人で大通りへ出掛けている様子。初めての共同の家も得て、俺等は半年掛けて漸く、冒険者としての確実な一歩を踏出している。
「ポロ、準備しておけよ。」
ウーゴの指示。俺は目の前で突進して来る、テルアに移住した最大の理由であるテルアボアを良く見てパリィする。テルアボアと呼ばれる町の名前入りのボアは、テルアの山間部だけに棲息する固有の中型モンスターである。肉質が良く、ボア肉としてテルアの名産品でもあるが山での狩りになる事、縄張り意識が強く基本1匹で棲息しているので大量討伐が難しい事、討伐後の町への輸送が不便である事、その割にあまり高額では無い事等々を理由に冒険者には人気が無く、本当に必要な時は町の住民が狩りに出る程である。
但し、俺等は別である。
俺はテルアボアをパリィし、クラウスがバランスを崩したテルアボアを抑えてウーゴとポロが斬る。テルアボアは呻声を出して倒れた。
テルアボアの棲息するこの山間部はテルアボア以外のモンスターはおらず、各個撃破出来る点も俺等には利点である。気性は荒いが攻撃は単調でパリィも出来、ウーゴとポロでもトドメを刺せる。正にテルアの山間部とテルアボアは、俺等の追求めた環境、モンスターである。
「良し、降りるぞ。」
ウーゴが声を掛ける。
テルアボアの町への運搬は地道である。俺が他のテルアボアが来てもチームが襲われないように先頭を1人で歩いて残りの5人で適宜交代して神輿式に担いで降りる。1日2往復、それでもゴブリン数体を倒すより収入は多く、確実にミス無く倒せるので安定して稼げている。
「おぉウーゴ、お帰り。」
「ボア屋、今日もお疲れっす。」
町に来て半月、冒険者組合の支部とボアの解体と卸売りをする業者の人々に中で、俺等は既に有名人である。渾名は『ボア屋』、昇格である。
「今日もお願いします。」
「ウーゴ等のお陰でティーロックの店からの肉の依頼も戻って来て、俺等も助かっているよ。」
「冬備えに干し肉を作るのにも必要だし、本当に助かるよ。また頼むぞ。」
「また明日来ます。」
俺等はテルアボアの肉を卸して家へ帰る。
家はテルアの大通りを離れた場所にあり、バンガローをそのまま借りて共同生活をしている。
「ポロ、足洗って入って。」
エリシアの声、ポロは入居してすぐエリシアの怒りに触れて共同フロア出禁になった事もあり、素直に従って足を洗って入る。共同フロアがあって男部屋と女部屋に別れる簡素な作りではあるが、初めての根城である、2階まで吹抜けの開放感のあるバンガローに心は踊る。
「資金は?」
「順調、このペースであれば冬も越せる。」
ウーゴは答える。冬はモンスターの生態系が変わる上に狩り自体も難しくなる季節、冒険者はそれまでに、冬の蓄えをしておく必要がある。
「幸いテルアボア狩りは需要がある。取り敢えず雪が降るまではテルアボア狩りを続けるよ。」
「了解。鍛冶屋へ行って来る。」
「あぁ、盾を新調するって?」
「今日色々見せて貰える事になっていて。」
「気を付けて。」
俺は家を出る。晩秋の夕は空気も冷える。俺はランタン照るテルアの町へ歩いた。




