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「ウーゴもアルも、お疲れ。」
その日、俺等は村に宿泊はせず牛車で戻り、クラウスを病院に連れて行く組と、山での事を報告する組に別れた。クラウスは脱水症状があり、更には両腕の筋肉を痛めており、数日安静の指示を受けて戻って来た。
そして夜、他の皆は宿舎で爆睡している中、俺とウーゴはカミロの元へ。カミロは食後であったが、快く俺等を迎え、麦酒を奢ると言ってくれて、アントニオの定食屋へ来た。
「取り敢えず乾杯で。」
俺は乾杯し、麦酒を胃に流した。
空腹と疲れに滲みる。ウーゴも横でほぼ一気に杯を空けた。
「軽く噂は聞いているよ。」
「…ワームが地下に居たのは偶然として、ゴブリンの報告は明らかに過小でした。」
俺はカミロに報告する。
「まぁ…時々ある事ではあるのよ。依頼は冒険者組合で精査するけれど、実際大規模な依頼以外は組合で見に行く訳では無いし、情報自体曖昧な事も多々ある。本当に村の人は群れの一部、数体のゴブリンを見た可能性はあるよ。但し…。」
カミロは話を止めて酒を煽る。
「敢えて過小に報告をして報酬額をケチったり、冒険者に受けて貰えるようにしたりする奴は居る。勿論故意に虚偽報告をすればペナルティもあるけれど、故意と偶然を見分けるのは難しいよ。」
「…カミロ先輩も、経験あります?」
「あるある。特に数の過小報告は結構。」
カミロは軽く言ってウーゴの肩を撫でる。
「あまり自分を責めるなよ。今回の事は冒険者をしていれば何れ経験する事もある。でもウーゴチームは無事に皆で生還した。成長したよ。」
カミロは、乾杯以来、黙って俯くウーゴを慰める。ウーゴは顔を上げてカミロを見た。
「…俺の軽率な判断で仲間を危険に晒して…本当に今回はクラウスが体を張ってくれなければ仲間を亡くした可能性も…。」
ウーゴは言葉を詰まらせて涙を流す。
俺は唖然とした。カミロも横で動揺している。
「ウーゴ、泣くなって。大丈夫、大丈夫。」
カミロはウーゴの肩を撫でる。
「アルのギフテッドは元来トリッキーだ。それを上手く利用してアルは勿論、ウーゴのチームは頑張って成長して、良く冒険者をしているよ。それに俺も、この3年間、何度も失敗しているし、仲間も危険に晒した事もある。」
カミロは軽く笑顔を見せる。
「で、次は少しだけ慎重になる。臆病では無く慎重。それで良いんだよ。」
カミロはウーゴの肩をそのまま撫で続け語る。俺はカミロに言葉を掛かる事は出来なかった。カミロは俺を見る。
「それに今回、討伐証明になるゴブリンの鼻も持って帰れたお陰で報酬額も上乗せになるよ。後はワームを倒したって事は…。」
「嫌でしたが背に腹は変えられませんので。何も言わずポロに持たせて換金しました。」
「流石アル、抜け目無く。」
カミロは苦笑する。ワームの排泄物は生薬として有名で、探して見つかるモンスターでは無く希少性も高いので、回収すれば高値で売れる。
「初めて見る額でしたよ。お陰でマルティナ教官に怒られる前に宿舎を出る事は出来そうです。」
「素晴らしい。ウーゴ、これぞ冒険者だよ!飲め飲め。アントニオ、麦酒3個追加で。」
カミロはウーゴを諭してジョッキを空ける。ウーゴも顔を上げて目を擦り、酒を煽る。更に1杯飲干した所でウーゴが寝て、会は解散になった。




