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「…サンドワームではねぇよ。」
「森の中にサンドワームは棲息していないし、サンドワームはこの何倍もあるよ。あれは普通のワーム。」
俺とウーゴは即座にポロの発言を否定する。
「ウーゴ、俺が囮になる。早く倒すぞ。」
俺はワームを誘導する。ワームは目が無いにも関わらず俺を認識して追って来た。そして突進して来る。俺はパリィをするイメージが湧かず、取り敢えず避ける。
ワームは敢えて人を襲う事も、そもそも地表に出て来る事も無く、遭遇する事自体レアなモンスターである。基本攻撃は一辺倒で動作も緩慢。
「ウーゴ、ポロ!」
「何だこの体、斬れねぇぞ!」
「皮膚を伸ばして鋸のように引け。」
それでも厄介なのは皮膚の性状と粘性の体液、俺はウーゴとポロが斬り終わるまで逃げ続ける。遂に胴体を分断するとワームは地面に伏した。
「俺が行く。」
避ける必要も無くなり、俺は剣でワームの頭を刺した。ワームは動かなくなる。
「戻るぞ!」
想定以上に切れず、時間は要した。ウーゴが焦りの表情で告げる。周囲にはワームの巣穴らしく複数の穴がある。俺等はそのままよじ登るのを早々に断念して、上に繋がる穴を探した。
「木の根があるぞ。」
行っては戻り、また断念して戻り…更に焦りも募る中、漸く俺等は上まで繋がる穴と垂れ下がる木の根を見つける。
「俺が行く。」
ポロは根を綱にして猿のように登る。無事に地上へ戻り、俺とウーゴも回収してくれた。
「デカイ声出しても文句言うなよ。クラウス!」
「クラウス!」
ポロとウーゴが声を上げる。
「クラウス!」
「…待て。」
俺は鼻を嗅ぐ。微かに鼻に届くのは、鼻を刺激する独特の薬草の香り。そしてゴブリンの腐臭。
「居るぞ、エリシア!」
「クラウス!」
「…ゴ、ウーゴ。アル!」
「聞こえた。」
森の中で聞こえる声、俺等は森の中へ急行する。木の根の隙間に見えるのはクラウスの盾、ゴブリン4体はその盾の前に集まっている。
「ゴブリン、この野郎!」
ポロが剣を投げる。剣は最後尾のゴブリンを掠めて地面に落下した。ゴブリンが俺等、そして俺に気付く。次の瞬間、ゴブリンはクラウスを無視して俺に向けて突進して来た。
「ポロ、拾って来い!」
「そのままゴブリンの背後を取れよ。」
俺はゴブリンをパリィすると素早く1体目を倒し、2体目以降は盾で受ける。ウーゴが横を、剣を回収したポロが背後を取った。
「クラウス!」
素早く残りの3体を倒した俺等は盾の元へ。盾を避けると中には汗だく土塗れのクラウスと、その背後に同じく土塗れのエリシアとパメラも見えた。
「皆、無事か?」
「…まぁ、何とか。」
「私等は大丈夫。クラウスが守ってくれて。」
ウーゴは安堵の表情を見せ、クラウスを引上げる。
「漢見せたなぁ、クラウス!」
クラウスは立つ元気も無く、倒れた。ポロがクラウスの肩を叩く。ウーゴはエリシアとパメラも回収した。
「無事で何より。」
「アルも皆も無事で良かったよ。」
俺が声を掛けるとクラウスは弱々しく歯を見せた。クラウスの両腕にはゴテゴテに軟膏塗ってある。俺は遅れて出て来たエリシアとパメラも見た後で、目線をウーゴへ戻した。
「ウーゴ、撤収の準備を。俺は下に降りて、ワームとゴブリンの戦利品を回収して来る。」
「…あぁ、任せる。気を付けて。」
一瞬、ウーゴは俺を止めようとするが、翻意して同意する。俺は1人で地下へ降りて戦利品の回収へ向かった。




