↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/44

14

その後の俺等は、シエラでゴブリンを討伐して資金を貯める日、最適なモンスターを探して近場で旅をする日、休息日、を上手く回して日々を送った。今日は休息日、俺は養成学校のトレーニング設備を借りに来ている。養成学校は秋入校で春卒業の半年性、後2月もすれば新入生が来て、宿舎もこのトレーニング設備も使えなくなる。


「パメラ、アヒム教官…。」

トレーニングの帰り際、俺は射撃場でパメラと射士ビルドのアヒム教官を見つける。アヒムは指導しているよりは、日陰で茶を啜ってパメラの射姿を眺めるだけのようである。


「パメラ、アヒム教官。」

「アル、久し振りよのぉ。」

仙人のような風貌のアヒムは俺の挨拶で立って白髭を撫でた。眉が長く目は大凡隠れている。パメラは俺の声で慌てて構えるのを辞め、アヒムの背後で少し気不味そうにしている。


「御無沙汰してます。」

「お前も見て、何かアドバイスして行け。」

「…パメラの術にアドバイスは無いですよ。」

そうは言っても俺はアヒムの横に座る。


「パメラ。」

アヒムが諭すとパメラは奥のターゲットを見た。

パメラの雰囲気が変わる。


足を開く。

右足を僅かに引いて爪先を揃える。

背を真っ直ぐに伸ばし、重心を定める。


一度、息を整えて矢を番える。

肩を上げず、胸も張らず自然体のまま、背筋を適度に使用して自然と腕を伸ばして行く。


矢は頬の横を通り、視線は真っ直ぐターゲットへ。


…静止、静寂。

パメラは目を細める。


そして、射る。

パンッと響く音、矢はターゲットへ吸込まれた。


パメラは射終わった後も姿勢を保持して、ターゲットを見つめる。

暫くして漸く構えを解いて俺を見た。

俺はパメラに対して拍手をする。


「アヒム教官、教える事は無いです。」

俺はターゲットを見た。矢は若干外れているものの大凡中心を射ている。


「アル、お前も射て行くか?」

「…え?」

「気晴らしに射て行け。モンスターもおらんぞ。」

アヒムは俺を見て、備品の弓矢を渡して来る。

思えば、射士を諦めて以降、射るのは初めてである。俺は少し緊張して装備を受け取る。


「…では。」

俺はパメラの位置、ターゲットの正面には立たず、装備を貰った場所より矢を構えて、素早くターゲットを狙って射る。矢は俺の想定の軌道を少し逸れてターゲットの上部に命中した。


「お?…あぁ。」

俺は戦士として訓練をする中で、上腕の筋力と背筋が強くなり、以前のイメージとのバランスが崩れた事を悟る。角度を微調整して2射目、今度は想定通りの軌道でターゲットの中心を捉えた。


「流石!アル、衰えてはおらんのぉ。」

「ありがとう御座います。」

パメラも奥で目を丸くして拍手をしている。俺は謙遜して装備を返す。


「パメラ…次は頼むぞ。」

俺はパメラを見て、その後アヒムに一礼して射撃場を離れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。