13
「…エリシア?」
「…アル。」
食事を終えて、沐浴をし、就寝。
俺は暫く横になるが、想定以上に左腕が痛くて寝付けず、寝室を出る。そこにはランタンを付けて調合をしているエリシア、エリシアは調合の手を止めて俺と目を合わせる。
「眠れないの?」
「…腕が思ったより痛くて。」
「待って、軟膏出すよ。腕出して。」
エリシアは手際良く鎮痛剤入りの軟膏を出してくれる。俺は服を脱ぐ。
「…すまねぇ。」
「気にしないで。」
俺はエリシアに腕を預け、エリシアは手慣れた様子で丁寧に塗ってくれる。徐々にスースーして来て左腕が楽になるのを感じた。
「乾くまで少し待っていて。」
「…エリシア、凄ぇよな。」
「そんな事無いよ。前にも話したけれど、実家が薬屋で父に教えて貰って。」
「…エリシア…お前それで何で冒険者を?」
エリシアは調合には戻らず、俺の質問に対して目を細めて苦笑する。
「聞いても面白く無いよ?冒険者を目指したのは本当に些細な理由で…勿論、私も父の影響で薬師が夢で…でも、父の店は兄が継ぐ、私が薬師になるには独立する必要があって…であれば、体力にも自信あるし、冒険者の資格も取って見聞を広めて、近場の薬草であれば自分でそのまま取りに行けるように出来れば…って。今思えば冒険者舐めているし、覚悟甘々だよね。」
エリシアはまた苦笑する。
「案の定、マルティナ教官に私の覚悟を見破られて…そしてあの日、アルに救って貰った。お陰で私は逃げずに冒険者として今、仕事が出来ている。」
「別に…エリシアはある意味、あの時はウーゴとマルティナ教官の思惑に巻込まれただけで…。」
「でも、本当に感謝しているの。」
エリシアは今度は笑顔になる。
「…エリシア、何時かは辞めるのか?」
「ウーゴにはチームに入れて貰う前に、その事は話してある。でも、暫くは辞めないよ。それに今辞めると、チームの怪我を治す人が居なくなって困るでしょ?」
「頼りにしているよ。」
「…アルは何で冒険者に?」
「射士の件は気遣わなくて良いよ。」
俺は遠慮して聞くエリシアに告げる。
「子どもの頃、普段あまり村の外には出ないのに、村の仲間に誘われて偶々村を出た時にモンスターに襲われて…俺の目の前までモンスターが来て…死ぬって思ったよ。でも次の瞬間、偶然居合わせた冒険者の射士が俺に迫るモンスターを射抜いてくれて、俺は救われた。その射士の冒険者に憧れて、俺は冒険者を目指した。」
「素敵なお話し。成長して、何時かその射士の冒険者に会えると良いね。」
「あぁ。でもまぁ何せ子供の頃の事で、射士の矢羽が綺麗な藍紫って事しか覚えてなくて…。」
「…会えるよ。」
「…あぁ。」
軟膏は乾燥した。眠れそうである。
「戻るよ。あまり夜更かしするなよ。サンキュー。」
「また明日。」
俺はエリシアと別れて眠った。




