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『転移したけど70歳のままだった件〜エルフの村で知識チート(※ただの家庭菜園)を始めます〜』  作者: 凪塩 未来


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第8話:二人の頑固おやじと、魔法の肥料

第8話をお読みいただきありがとうございます!


ついに帰ってきた頑固な老薬師ヘルメス。

地球の家庭菜園知識(70年)VS 異世界の伝統薬学のバトル(?)が幕を開けます!

「信じらん……いや、認めん! 認めんぞ!」


村の薬調合室に、ヘルメスの怒号が響き渡っていた。

机の上にズラリと並べられたのは、俺とリリアが収穫した極上のポックリ草だ。ヘルメスは拡大鏡のような魔導具を覗き込みながら、何度も頭を抱えている。


「土に落ち葉を混ぜて寝かせただけだと!? そんな雑多なもので、これほどの魔力濃度が得られるはずがなかろう! 薬草栽培とは、精霊への祈りと清浄な聖水によって行われる高尚な儀式なのだぞ!」


「ヘルメス師匠、でも本当にそうなの! 健一師匠の言った通りにしたら、根っこがこんなに太くなったんだよ!」


「黙りなさいリリア! 騙されているのだ! この老いぼれは何か怪しい禁術でも使って……」


「まあまあ、ヘルメスさん。お茶でも飲みなされ」


俺はヘルメスの前に、湯気の立つ香草茶を静かに置いた。

興奮して血圧を上げている老エルフの姿は、地球で「昔ながらのやり方」に固執していた農業組合の頑固な先輩たちを思い出させて、どこか懐かしい。


「……ふん、毒でも入っておるのか」


ヘルメスは忌々しそうに毒づきながらも、一口お茶を啜った。

そして、ハッと目を見開く。


「な……なんだこの深みは……!? 香草の苦味が消え、甘みが引き立っておる……! 一体どんな調合法を……」


「ただの出し殻(がら)の再利用ですよ」


俺は温かい器を両手で包み込みながら、穏やかに微笑んだ。


「一度煎じた後の香草の葉を軽く炒って、乾燥させてからお湯を注ぐ。それだけで香りが引き立ち、胃にもやさしくなる。知識や技術というのは、大層な儀式ではなく『いかに工夫して無駄をなくすか』だと、わしは70年の人生で学びましてね」


「む……むぐぐ……」


ぐうの音も出ないヘルメス。

見た目は俺もヘルメスも似たような「じいさん」だが、地球の70年で培った「生活の工夫」は、伝統に縛られた異世界の薬師にも十分に響くらしい。


「それに……ヘルメスさん。そのポックリ草の根を使って、隣町の流行り病の薬を作るのだろう? 儀式がどうあれ、目の前にある薬草が本物なら、それで救える命が増えるんじゃないかね」


「……っ!」


ヘルメスはハッとしたように目を見開いた。

そして、机の上の太いポックリ草と、俺の皺だらけの顔を交互に見比べると、深く、深ーく溜め息をついた。


「……負けたよ。あんたの言う通りだ」


ヘルメスは肩の力を抜き、頭を下げた。


「知ったような口を利いてすまなかった、健一殿。わしは薬師として大切なことを見失っていたようだ。……もしよければ、その『腐葉土』とやらの作り方を、わしにも教えてはくれんか?」


「ええ、喜んで。なーに、難しいことじゃありませんよ」


こうして、頑固な老薬師ヘルメスもまた、俺の「知恵袋」の理解者となったのだった。


(やれやれ……70歳になって、異世界で同世代(?)の飲み友達ができるとは思いもしなかったな)

第8話をお読みいただきありがとうございました!


頑固な老薬師ヘルメスとも打ち解け、ますます村での地位(?)を固めていく健一おじいちゃん。

70年の人生経験と生活の知恵は、異世界でも最強のコミュニケーションツールです!

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