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『転移したけど70歳のままだった件〜エルフの村で知識チート(※ただの家庭菜園)を始めます〜』  作者: 凪塩 未来


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第6話:おじいちゃんの知恵袋と、自家製撃退スプレー

第6話をお読みいただきありがとうございます!


村の食料庫を脅かすツノネズミ被害。

魔法が使えなくても、地球の知恵と身近な材料で「おじいちゃんの害獣撃退作戦」が始まります!

「健一おじいさん、これくらいで足りる?」


リリアがカゴいっぱいに抱えてきたのは、真っ赤な小指ほどの大きさの実だった。

一粒つまんで鼻に近づけると、それだけでツンと刺激的な香りが鼻腔を突く。地球の鷹の爪やハバネロにそっくりだ。


「よしよし、上出来だ。トールさん、村に『木酢液(もくさくえき)』……いや、炭を焼いたときに出る酸っぱい匂いのする液体や、強い酢はあるかね?」


「酢なら醸造用の強いやつが木樽にあるが……じいさん、まさかそれを混ぜるのか?」


トールが怪訝そうな顔をする。無理もない。

魔術のスクロールも使わず、ただの野菜と調味料を並べ直しているのだから。


「そうだ。ツノネズミは匂いに敏感なのだろう? ならば、奴らにとって『絶対に近づきたくない地獄の激辛臭』を作ればいい」


俺はリリアに指示を出し、カラカラの実をすり鉢で徹底的に粉砕させた。

目が痛むほどの辛み成分が部屋に充満し、トールが「グハッ!?」と咳き込む。


そこに強い酢と、潰したニンニクに似た香草を投入し、ぬるま湯でじっくりと抽出する。仕上げに、油分を少し加えて成分が長持ちするように調整した。


「これを『唐辛子(カラカラ)スプレー』という。……まあ、スプレー容器はないから、布に染み込ませて食料庫の周りに敷き詰めるんだ」


「ほ、本当にこんなもので効くのか……?」


「試してみるといい。ついでに、奴らの通り道になりそうな隙間には、潰したカラカラの実の絞りかすを直接塗りたくっておくんだ。鼻の利く生き物ほど、一度この刺激を味わえば二度と近づかんよ」


トールは半信半疑のまま、激辛の液体が染み込んだ布束とバケツを抱えて食料庫へと向かっていった。


翌朝。


俺がゆっくりと起き出し、膝の痛みを庇いながら縁側で日向ぼっこをしていると、遠くからドタバタと猛猛しい足音が響いてきた。


「じいさん……いや、健一の頭領!!」


トールが息を荒らげて走ってくる。その顔には驚愕と、狂喜の色が浮かんでいた。


「効いた! 効いたぞ!! 昨日の夜、ツノネズミの群れが食料庫に近づいてきたんだが……布の匂いを嗅いだ瞬間、鼻を押さえて転げ回りながら逃げていったんだ! 一匹も中に侵入できなかったぞ!」


「ふふん、そうだろうそうだろう」


俺は温かい茶を啜りながら、悠々と頷いた。

地球の農家や家庭菜園でも、ハバネロや酢を使った害獣・害虫対策は定番中の定番だ。

モンスターだろうが何だろうが、生物としての構造が似ているなら効かないはずがない。


「すげえよじいさん! 魔法も使わずに害獣を追い払うなんて……あんた、一体何者なんだ!?」


「ただの……知恵のある年寄りだよ」


トールは深く頭を下げ、俺の手を両手で強く握りしめた。粗骨な男の手に感謝を込められ、なんだか照れくさい。


「すごーい! 健一師匠、やっぱり本物の智者様だわ!」


リリアも目を輝かせてパチパチと拍手を送ってくれる。


異世界に来て数日。剣も振れず、魔力もない70歳の爺さんだが……どうやらこの世界でも、なんとか自分の居場所を作っていけそうだ。

第6話をお読みいただきありがとうございました!


見事にツノネズミを撃退し、村のピンチを救った健一おじいちゃん!

生活の知恵と老練なアイデアで、着実に村人たちの信頼を勝ち取っていきます。

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