第27話:おじいちゃんと、コタツの上の『ミカン』
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日本の最終兵器「コタツ」を完成させ、村の大人たちをすっかり骨抜きにしてしまった健一おじいちゃん。
今回は、冬のコタツに欠かせない「あの定番の食べ物」を求めて、新たな知恵を絞ります!
「……ふぅ。一度入ると、本当に出られなくなるな、この『コタツ』という代物は……」
ヘルメスがコタツに深く潜り込んだまま、湯呑みを両手で包み込んで溜め息をついた。
外では冷たい冬風が『ヒュー』と音を立てて吹き荒れているが、部屋の中はコタツのおかげで春のように温かい。
「がはは! ヘルメス師匠、すっかり根が生えちまいましたね! 俺なんて、もう今日の下張り作業に行く気が失せましたぜ」
トールが天板の上に突っ伏しながら豪快に笑う。
「これこれ、トールさん。仕事はちゃんと納めないと、オズワルドさんに笑われますよ」
俺は苦笑いしながら香草茶を啜った。だが、温かいコタツでぬくぬく過ごしていると、70歳の体に染みついた「ある欲望」がふつふつと湧き上がってくる。
(温かいコタツ、熱いお茶……となれば、やっぱりアレが欲しくなるなぁ)
そう、「ミカン」である。
コタツの上には、木箱に入った黄色い甘酸っぱい果実が鎮座していなければ、どうにも格好がつかない。
「リリアさん。この前の露天風呂を作った時に飲んだ『あの果実』……まだ残っているかい?」
「あ、柑橘の『キトの実』だね! 川の近くにたくさんなってたから、カゴいっぱいに採ってあるよ!」
リリアが持ってきてくれたのは、地球のミカンを一回り小さくしたような、橙色の瑞々しい果実だった。
俺はキトの実をひとつ手に取り、コタツの天板の中央にドンと置いた。
「よし……これで『コタツにミカン』の完成だ」
「む? 健一殿、ただ果物を置いただけではないか?」
「ヘルメスさん、まあ見ていなさい。コタツで温まり、少し喉が乾いたところで、皮を手で剥いてパクリと食べる……これが至高の組み合わせなんですよ」
俺は指先でキトの実の皮をむき、房をひとつ口に運んだ。
――ジュワッ。
コタツの温もりで少しポカポカとした体に、冷たくて甘酸っぱい果汁が広がる。
「……うん、これこれ。この酸味と甘みが、コタツの温もりと合わさって最高の清涼感になるんだ」
「ほ、本当ですか、頭領!? 俺にも一口……!」
トールが待ちきれない様子でキトの実の皮をむき、大きな口に放り込んだ。
「――っはぁぁぁぁ! うめぇぇぇっ! 温かい体の腹の底に、冷たくて甘い汁が染み渡るぜ!!」
「どれ、わしも……む! むむむ……っ!? なんだこの中毒性は……! 温かいお茶、コタツの温もり、そして甘酸っぱい果実……交互に味わうと永遠にやめられなくなるぞ……!?」
ヘルメスまでもが目を輝かせ、二個目のキト実に手を伸ばす。
天板の端では、モフちゃんが天板からひょっこり顔を出し、俺が小さくちぎった果肉を「もぎゅもぎゅ」と幸せそうに味わっていた。
「ふふふ、日本の冬の風物詩は伊達じゃないですよ」
外は厳しい冬の訪れを感じさせる寒さだったが、俺たちの小さな家の中には、世界で一番温かい笑顔と幸せな時間が流れていたのだった。
第27話をお読みいただきありがとうございました!
コタツの最強の相棒「ミカン(キトの実)」の登場!
温かいコタツとお茶、そして甘酸っぱい果実の永久機関に、異世界の人々もすっかり魅了されてしまいました。




