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『転移したけど70歳のままだった件〜エルフの村で知識チート(※ただの家庭菜園)を始めます〜』  作者: 凪塩 未来


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第26話:おじいちゃんの冬支度と、温もりコタツ

第26話をお読みいただきありがとうございます!


「水車からくり」で村の作業を劇的に効率化させた健一おじいちゃん。

今回は、村に「季節の変わり目」が訪れ、おじいちゃん特製の寒さ対策が披露されます!

水車小屋の規則正しい「トントン」という音が響く中、森の風が少しずつ冷たさを帯び始めていた。

空を見上げれば、どんよりとした薄雲が広がり、異世界にも「冬」が近づいていることを物語っている。


「ふぅ……あだだ、今日は一段と関節に響くなぁ」


俺は痛む膝と腰をさすりながら、縁側から身を引いた。

肩の上のモフちゃんも「きゅぅ」と寒そうに俺の首元へ潜り込んでくる。


「健一のおじいさん、大丈夫? この森の冬はね、雪が積もってすごく寒くなるの……」


心配そうに覗き込むリリアに、俺は優しく微笑みかけた。


「大丈夫ですよ、リリアさん。寒さには寒さの『知恵』というものがある。本格的に冷え込む前に、我が家の冬支度を始めるとしようか」


俺はトールに頼んで、部屋の真ん中の床を四角くくり抜いてもらい、小さな石組みの「炉(ろ)」を作った。そこに熾火(おきび)を入れた火鉢を置き、上から頑丈な低い木製テーブルをかぶせる。


仕上げに、村の女衆が織ってくれた分厚い毛織物の布をテーブルの上にかけ、さらにその上から天板を重ねた。


「完成だ。我が故郷の最終兵器――『コタツ』だよ」


「こ、こたつ……? 布をかぶせただけの机に見えるけど……」


首をかしげるリリアと、たまたま寒さで体を縮こまらせてやってきたヘルメスに、俺は「まあ入ってごらん」とコタツの中へ足を差し入れるよう促した。


「失礼するぞ……む? ぬ、ぬぅおぉぉぉぉっ!?」


足をコタツに入れた瞬間、ヘルメスの顔色が劇的に変わった!


「な、なんじゃこの温もりはぁぁぁっ!? 足元から全身へ、じんわりと温かい熱が駆け巡っていく……!!」


「きゃぁっ! すごい、温かい! お布団の中に足を入れているみたい!」


リリアも目を輝かせてコタツの中に潜り込む。モフちゃんに至っては、天板の上からスルスルと潜り込み、コタツの中で完全に丸くなって「ぷすー、ぷすー」と幸せそうな寝息を立て始めた。


「ふふふ……これぞ日本の誇る冬の至宝。一度入ったら抜け出せなくなる『魔の家具』ですよ」


俺も温かいほうじ茶(香草茶)の湯呑みを手に、コタツに深々と浸かった。


「お、おい健一殿……わしは薬調合の作業に戻らねばならんのに……体が、足が抜けん……! 意志が打ち砕かれていく……!」


「がはは! ヘルメス師匠、諦めなせぇ! 俺も一度入ったら二度と動けなくなりそうだ!」


後からやってきたトールもコタツの虜になり、男三人と少女一人、そして一匹の毛玉が、小さなコタツを囲んでぬくぬくと丸くなった。


特別な防寒魔法など使わなくても、ちょっとした知恵と構造ひとつで、冬の寒さは最高の「癒やし」へと変わる。


70歳のおじいちゃんの知恵袋は、異世界の凍える冬さえも、どこまでも温かく包み込んでいくのだった。

第26話をお読みいただきありがとうございました!


異世界に降り立った日本の最終兵器「コタツ」!

エルフも獣人も一瞬で骨抜きにしてしまうおじいちゃんの冬支度でした。

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