第25話:おじいちゃんのからくりと、全自動の粉ひき
第25話をお読みいただきありがとうございます!
自家製グリスで水車を見事に復活させた健一おじいちゃん。
今回は、水車の動力を利用した「ある発想」で、村の作業効率を劇的に進化させます!
『ガラガラガラ……スルスルスル……』
自家製グリスのおかげで、川の水車は今日もしなやかに回っている。
俺は肩に乗ったモフちゃんを撫でながら、水車の回転をじっと見つめていた。
「ふむ……せっかくこれだけの動力が四六時中生まれているのに、ただ石臼を回すだけじゃ勿体ないな……」
「健一のおじいさん、何か考えごと?」
リリアが採れたてのトマトが入ったカゴを抱えてやってきた。
「うん、リリアさん。穀物を潰したり、薬草を細かく粉末にする作業は、いつも手作業で大変だろう?」
「うん……トールさんたちが何時間も重い杵を突いて作ってるから、みんな手がマメだらけになっちゃうの」
「なら、この水車の『回転』を『上下運動』に変えてやればいいのさ」
俺は地面に枝で簡単な図面を描き始めた。
地球の歴史や日本の農村で昔から使われていた「唐臼」や「水ねずみ」と呼ばれるからくり機構だ。水車の軸にでっぱり(カム)を取り付け、それが回転するたびに木ねぜ(杵)を持ち上げ、落ちる重みでドスンと穀物を突く。
「トールさん! ちょっと大工仕事を手伝っておくれ!」
「おうっ、健一の頭領! 俺にできることなら何でも言ってくだせぇ!」
トールたち若い衆を集め、丸太とテコの原理を利用した組み木を作ること半日。
水車の横に、小さな「自動杵突き小屋」が完成した。
水止めを解除すると――
『ガラガラ……トントン! トントン! トントン!』
水車が回るたびに、木製の巨大な杵が規則正しく上下し、受け皿に入れた乾燥薬草と穀物を力強く粉砕し始めた。人が手を貸さずとも、みるみるうちに細かい粉末が作られていく。
「な、なんだこれはぁぁぁっ!?」
完成を聞きつけて駆けつけたヘルメスが、目を剥いて絶叫した。
「人が一人もついておらんのに、杵が勝手に動いて薬草を粉にしているだと……!? 魔石も、付与魔法も使わずに……ただの木の組み方だけで!?」
「まあ、自然の力を少し借りただけの『からくり』ですよ。これでトールさんたちの手作業も激減するし、薬作りもケチャップの原料作りも何倍も早く進むでしょう」
「頭領……あんた、神様か何かかよ……! これで夜の晩酌の時間がもっと増えるぜ!」
トールが感涙にむせびながら、俺の手を両手で激しく握りしめた。
「ふふふ、楽をするための工夫なら、70年分いくらでもありますからねぇ」
俺は縁側に腰掛け、規則正しい『トントン』という温かい音を聞きながら、ぬるめのお茶を喉に流し込んだ。
魔法のないおじいちゃんの知恵は、異世界の村に新しい「ゆとり」と「笑顔」をもたらしていくのだった。
第25話をお読みいただきありがとうございました!
水車の力を利用した「全自動からくり粉ひき機(水車杵)」を完成させた健一おじいちゃん!
魔法を使わないテクノロジーで、村の労働環境に大革命を起こしました。




