植物の画用紙
ガラガラになった教室…
卒業式の練習も始まってきて…卒業までのカウントダウンも終わりが見えてくるぐらいになった2月の下旬にさしかかった時……
「もしもし?」
『あ、久しぶりです』
「…え……」
電話の相手は、行かなくなったけど辞めてはいない塾からだった─。
……このままじゃ、後期なんて絶対に受からない。
そう、塾の先生に言われてしまった。
もう、俺には絶望していると。
ダメだと分かりきったことだった。
だけれど、私立を受けるなら、自分の学力にあった県立受けろというお母さんとの約束は破ることができず、卒業後後期試験を受けることが決まっていた…。
だけれど、別にどうでも良かったかも……。
県立受かっても落ちても、どっちでも良かったし…。
今更、勉強するという力は出てこなかった……。
「明日から、また行くんやでな」
お母さんの方にも連絡があったらしくどうでも良かったけれど、…ここから1ヶ月再び塾に通い始めた。
◇
「………なんか本当に寂しくなってきましたね…。」
教室に2人。
学級目標や思い出の写真、先生が勝手に飾っていた植物の画用紙だったりが片付けられた教室はなんかガラッとしていた。
最近の授業では、もう受験に備えた対策ばかりで先生たちも教卓に座り俺らをまじまじと見ているだけだった。
最近それがものすごく悲しく感じてくる。
「……これ…捨てるのも…………欲しい?」
先生の手には壁に貼ってあった植物の画用紙を持っている。
「…え……いいんですか……!?先生いらないんですか………?」
「いや……もらって欲しいかもしれません。思い出程度として…僕が我儘言うのは違うと思うし。」
「…あ…ありがとうございます………めっちゃ嬉しいです…!」
その時いいことを思いついた。
「先生この鉢の空いているところにサインください!」
「…え、あ…僕なんかで良ければ……」
少し恥ずかしがりながらもメッセージを書いてくれる。
「本当に……ありがとうございます。」
「いや、それはこっちのセリフです。本当にお世話になったな…と、」
やばいまだ卒業式でもなんでもないのに泣きそう。
多分目元が赤くなってきている。
この先生の顔を見るのも声を聞くのも俺宛にこんなにも綺麗な字を書くのも、もう数え切れるくらいになってきてしまった。
俺はこの人がいなくなるとどうなるんだろう……。
なんだか…
「…卒業したくないな………」
「…………」
「まだ、先生と一緒にいたい…………」
「……僕ももちろん悲しいです………泣きたい時は………泣いてもいいんですよ。」
「………!」
その言葉を聞いたと同時に目から涙が出てくる。
それでも、目の前にいる先生は涙を見せなかった。
多分この先生は卒業式も泣かないんだろうな………。
先生のプライドなのか分からないけど、みんなの前では涙を見せたことがない先生。
最後は笑って……多分そう言う考えなんだろう……。
そっちもとても素敵だけれど………。
「……っ……つっ……うっ……」
教室で泣く俺を先生は何も言わず優しい目で見ていた。
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