誕生日おめでとう
人生の大きな一歩…
「お誕生日おめでとう!!」
放課後、今日は部活が急にオフになったから心響がわざわざ5組にプレゼントを持ってきてくれてた。
「…ありがとう!!!」
今日は誕生日だが……あいにく自分には友達と呼んでいい人があまりいない…。
このプレゼントも本当にびっくりした。
「帰らないの?今日部活無くなったよ…?」
「うん。それは知っとる。やけど、今日教育相談あって…」
「あ〜なるほどね!じゃあ!!」
手を振ってくれる心響の姿を見てこっちも手を振る。
さっきから心臓バクバクで気持ち悪いけれど……胸に手を当て、長く深呼吸をして気持ちを抑えた。
◇
「…今んとこ私立と県立はこんな感じで……」
教室…2人でいるこの空気。
相手は先生なのになんだか逃げ出してしまいそうだった…。
「じゃあ、…………最後になんか話しときたいことある?学校でも部活でもなんでもいいよ」
「……ぁ…」
……い…言うなら、今……。先生も分かってそう………。だけれど………
「…っ…」
どんどんと呼吸が荒くなってきてしまう。
喉の奥に何か詰まった感じがして声が出ない……。
頭が痛くて、前が向けなくなってきて辛くて下を向いてしまう………。
「………うん。…今じゃなくていいよ……また今度でも……」
そんな先生の言葉に俺は……
「嫌だ!!!…でも…………怖いんだ……この……今が、心地いいのに……無くなりそうで…」
……先生の優しさに甘えてたら前を向けなくなる。
怖いけれど…これも大事な、ひとつの経験だ…………。
「……人ってみんな悩みを持っているんですよ。逆に悩みを持っていない人なんていないんです……。それが、普通なんです。もちろん、僕にだって……ね?」
「……先生……」
前を向いて先生の話を聞くと大粒の涙が出てしまった…。
そのせいで視界が歪んで先生の顔が見えなくなる……。
「……俺は……、生まれてきたことに後悔している……。だけれど、人生後悔しないように……進むために…人の助け合いって………必要なことなんだと思う……………………ありがとう、、ございます……」
俺からの小さなSOS。
こんなにも不器用で分かりにくいのに先生にはしっかり届いていた………。
「……先生がいないと、、学校なんて来ていない……っ今を楽しめてない………嫌なこと……辛いこと、、それを吹き飛ばすくらいの…存在だから………、心の支えだから…!…っ…なんで自分が責められて……動けないんだろうっ、とか……なんで学校で、、こんなにもっ…恥ずかしい思いしなきゃいけないんだろうっ……とか、、普通ってなんだろう…とか……自分は、…周りの人よりも……生きづらくて……自分が嫌いで………普通の生活が、、できない自分が嫌で……!!……もう……どうしたらいいか…わからない………」
そんな俺の言葉に先生はびっくりした。
そして一緒に涙を流してくれた……。
「……僕はっ、嬉しいです……。とても……!こんなにも自分を……頼ってくれる人がいて…!……だけれど、、学校に来れているのは……僕のおかげ、、とは、また違う気がします……。…だって、僕がどんなにも…学校に来てほしくて、、手を差し伸べていても……掴むのは僕じゃないから………!感謝されることなんて……何もっ……!」
先生のその言葉を否定したいくらい自分は先生に支えられていた。
やっぱりそれは変えられない事実で自分にとってとても嬉しいことだった………。
「……毎日1番に…学校に来てくれて、、職員室に、顔を出してくれて………元気に笑顔で……おはようって、挨拶してきてくれる………。それが、、僕の……幸せです…。」
俺はものすごくびっくりした……。
そんなこと……ただ会いたくて、、自分でやっていることなのに………。
「……そんなの、…自分の学校の居場所は先生だから……、、なんと言うのか…本当に嫌な顔ひとつもしないで、、本当に嬉しい………ありがとう、ございます。」
「…そんなのは、こちらこそです………。僕が学校にいないたびに…必ず、他の先生に……大丈夫か心配って……言ってくれてるんですよね?僕……とても嬉しいです……!!」
もう涙が止まる気配がない………今日は泣かないって、決めてたのに……。
「……先生が言う言葉、全部嬉しい……」
「…ありがとうございます…。……お誕生日おめでとうございます。」
可愛らしいあまりセンスの良くないシールが2枚手に渡される。
そう言葉を交わして…時間はあっという間に過ぎ最終下校時間のチャイムが鳴る。
◇
「あ!17:30ですか!!もう、帰りましょうか」
「はい…。すみませんこんな長く……先生もお仕事あるのに………」
「大丈夫です…!一緒に駐輪場まで行きましょうか。」
一緒に歩く廊下…。
外は暗くなってきていて周りはとても静かだ…。
「ほら、泣き止んで。僕が泣かしてしまったみたいになっちゃうから。」
涙を拭いて前を見て歩く。先生はずっと隣を歩いてくれる。
「…先生、今まで先生との……この感覚が分からなかったんですけど……今日分かった気がします。」
先生は俺の方を見て聞いてくれている。
「…先生と一緒にいるこの感じ…今まで居心地いいな〜とか、楽になるな〜とかでちゃんと分からなかったんですけど……先生といると、、安心するんです…。何も喋らなくても、隣にいるだけでも……今も、とても安心しています…。」
その俺の言葉に先生はクスッと笑っただけだった。
「あれ?君……先生も…もう完全下校過ぎてるよ?どうしたの…?」
外の下校見回りを終えた7組の担任駒城先生が少し真剣そうな雰囲気で聞いてくる。
「…え……あ、、その……」
「すみません、駒城先生。教育相談をしていて…僕が少し長引かせてしまいまして……。」
「……先生……」
「あ、そうでしたか…!じゃあ、気をつけて帰えるんやに」
自分が答えないといけないのに…先生には本当に感謝だ。
「じゃあ、僕は外まで見送って行くんで……」
「…すみません!さようなら…!」
2人で駒城先生に手を振り再び歩き始めた。
「………って、雨……」
外はザァーっと大きな音を立てている。
急な土砂降りだ……。
「…っぷ、あはは!ついてないですねっ…!!」
2人で雨の中も止まらず歩いて行く。
……制服もカバンも頭もどんどんと濡れていく。
隣を見れば同じように先生がいる…。
それだけで、なんだか嬉しかった……。
「…カッパなしで帰ります。改めて今日は本当にありがとうございます…!これからもよろしくお願いします。」
先生に手を振り、雨の中ずぶ濡れで涙を流しながら帰った。
この日俺はものすごく大きな一歩を進んだと思っている─。
改めて作品を読んでくださりありがとうございます。
最近全然手が回っておらず…今週末にでもたくさん宣伝できたらなと思います!!
たくさんの人に作品を知ってもらいものすごく嬉しいです。
次の投稿は5月30日土曜日の予定です。
ありがとうございました!




