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目覚めたら全裸で森でした  作者: マッタ・LI
オハヨウは突然に
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アルトニアで再戦

明けましておめでとうございます。

ゆっくりと書いていきますよ!!

今年もよろしくお願いします。

アルトニアの迷宮四十一階層。

オーシャンブルーの海と白い砂浜が美しい、アルトニアの迷宮の中で一度は行ってみたいと言われている場所に、ケイト、チノ、ヒルトの三人は来ていた。

一ヶ月前にも一度来ているが、その時はチノとケイトの二人が情緒不安定だった為に、一度逃げ帰っている。

この見た目は美しい海岸線と南国のジャングルの様な密林が広がる階層は、一見危険な生物や魔物が居ないように見えるが、それは間違いだ。


この美しい海の入り口で、浅瀬を泳いでいる小魚に紛れて、小魚に似た擬似餌を泳がせて砂の中に潜んでいるのは、砂隠魚(サンドストーカー)という魔物だ。

大口のヒラメと言ったら分かりやすいだろう。身体の大半が平な口に見える魚に似た大型の魔物で、擬似餌に近付いた生物を一瞬で捕食してしまう。

その大きな口は小柄な人、一人なら問題なく丸飲みに出来る程であり、チノは一度この魔物に丸飲みにされかけている。

その時は運良く小型の砂隠魚(サンドストーカー)だったため、丸飲みにされることは無かったので、吹き飛ばされるだけで助かったのだが、成長した砂隠魚(サンドストーカー)であれば、丸飲みにされていた。


海牛に似た魔物、スフィアブルも海の中で海水に擬態し、目の前を通りかかる生き物を狙い、海底を這っている。このスフィアブルは先の話(58話)でチノ達が戦っていたように、地上でも活動可能だ。

興奮すると身体が黄色くなり、青紫の斑点が表れて砂浜を這う姿は目立つのだが危険だ。

三メートル以上にもなるスフィアブルの突進は、ミノタウロスにも負けない程の破壊力を秘めている。

人間が当たればトラックに牽かれた様に吹き飛ばされるか、踏み潰されるだけだ。


だが、この海の恐ろしさはこれだけではない。

沖の方へ行くと、砂隠魚(サンドストーカー)やスフィアブルを軽く凌ぐ、水棲の魔物が悠々と泳いでおり、ごく稀に海龍種の姿が目撃されている。



そして、色とりどりの花や、甘く濃密な香を漂わせる果実が実る密林は、ケイトに深傷を負わせたワータイガーの様な魔物をはじめ、食虫植物の様な植物の様な姿をした魔物が数多く生息している。

しかしこの密林で一番気を付けなければならないのはゴブリンやオーガだ。この密林に住むゴブリンやオーガは、まるで地球のジャングルに住む原住民の様な生活をしており、独自の文化を持っている。


この密林に住むゴブリン達は、群の中でも一番力のある存在を王とし、密林の中で国家のような運営をしている。その戦士達は独特の戦化粧と羽根をあしらった兜を被り、密林の魔物を材料に作られる鎧を着こなしている。

このゴブリンの戦士達は、密林での戦いを得意としており、遮蔽物の多い密林の中でも正確に矢を放ち、誰にも気が付かれる事無く獲物の背後に忍び寄る。気が付いたらゴブリンの戦士達に囲まれていたなんて事は、この階層の密林に足を踏み入れて生き残った冒険者達がよく語っていることだ。


今、チノ、ケイト、ヒルトの三人が居るのは、比較的安全だとされている砂浜。砂浜は海の魔物と陸の魔物の両方出会う可能性があるが、魔物達の生息域から外れているので、その数は少ない。


「うわー!綺麗だねー!あはは、水が冷たくて気持ちいいー!」

「ああ」

「そんなにはしゃいでいると、また砂隠魚に襲われるぞ」

「大丈夫だもーん」

「ああ、心配ないさ、見てろ」

「ん?」

「チノ」

「わかってるよー」


突如、浅瀬で水遊びをしていたチノに襲いかかって来たのは、砂隠魚(サンドストーカー)だ。

以前とは違い、万全の状態で、ここに来ているチノには分かっていた。なら、何故態々そんな危険に近付いてまで遊んでいたのかというと。

相手にならないからだ。

チノがケイト達の方に振り向いた瞬間に、チノを易々と丸飲みに出来るまで大きく開いた口で、襲いかかったのだが。

砂隠魚の身体が水面から出るか出ないかの時に、チノは既に砂隠魚(サンドストーカー)の方に向き直りかけていた。その手には何時抜き放っていたのか分からない程自然に二振りの短剣が握られている。

風を操り、装備者を風の化身の様にしてくれる、双子妖精の短剣エルマーレ。

その二振りの短剣が、大口を開けた砂隠魚(サンドストーカー)に届かない距離で、縦と横に振り抜かれると、一拍の後、チノを避ける様に、砂隠魚(サンドストーカー)の身体が四分割にされていた。


「ははは・・・心配の必要は無さそうだな」

「とぉおっぜん!今の私達にそんな物は必要ないよ。でさ!これどうする?今日のお昼に使っちゃう?ケイトケイト、バターとか持って来てたよね?」

「えっと、大丈夫だ、用意してある」

「それじゃ、これはバター焼きで食べようよ」

「ああ、それがいいな」


手早く砂隠魚(サンドストーカー)を解体し終わると、四十二階層のある方角へ歩き始める三人。

噂通り、不用意に海や密林に近付かなければ、魔物との遭遇も少なく、お昼時に近付いた今も問題なく進んでいる。

此所までで遭遇したのは、ゴブリン戦士の斥候だと思うゴブリンが四匹と、砂隠魚(サンドストーカー)二匹、スフィアブル一匹、マーマンの戦士六匹だけだ。この階層では少ないという程でも無いが、倒す速さが違う。ゴブリン達の場合は、木上で弓矢を構えた瞬間に、チノの強化された風魔法で落とされた所をケイトに倒され。

砂隠魚(サンドストーカー)は、綺麗な貝殻を見つけたチノが、海に近付いた所を襲ったが、一緒に来ていたケイトに一刀で。

スフィアブルは、ケイトが稽古の為に、たまたま進路上に見つけたスフィアブルを相手に危なげなく倒し。マーマンの戦士はヒルトの氷魔法で陸地に上がる前に、氷り漬けにされて海に沈んでいった。


「ねぇねぇ、そろそろお昼にしちゃおうよ」

「ああ」

「賛成だ」

「ケイトは見張りお願いね」

「見張りの必要あるのか?あれだったら私も手伝うが」

「い、いや、もし何かあったら大変でしょ、出来るまでヨロシクねー」

「しょうがない、今度は私も手伝うからな」

「そうだね~、馴れたら御願いしようかな~」

「だったら、俺が見!ふぼ!?」

「ん?どうしたんだ?」

「なんでも無いよー、そっちよろしくー「(小声)ちょっと、ケイトに料理はだめなの」」

「どういう事だ?」

「帰ってからケイトに何か作って貰ったらわかるよ。次の日何にも無い日にしとかないと大変だよ~」

「そ、そういう事か・・・分かった気を付けよう」

「分かってくれたらいいよ」


何時、凶悪な魔物に襲われるか分からないダンジョンの中だ、手の込んだ物は作れない。

チノが作るのは、此所に来て一番に狩った砂隠魚(サンドストーカー)の香草焼きだ。

肉厚の部分から、必要な量を切り出し、塩コショウを振りかけ、小麦粉、卵の変わりに小麦粉を水で溶いた物、香草を混ぜたパン粉の順番で着けていく。

多目に熱したバターが溶けたフライパンで焼けば、バターと香草の香が周囲に広がっていく。

風下の方で、草が動く音がしたが、ケイトが居るので無視でいいだろう。ゴブリンノ断末魔が聞こえたとしても、香草焼きを焦がさないように此方を見る方が大事だ。

パン粉がキツネ色に色付き、しっかり焼けたのを確認した。


「ケイトー!できたよー」

「こっちも大丈夫だ」

「ああ、分かった、終わったら行くから、先に食べてくれ」

「分かったよー、先に貰うね」

「ああ」


肉厚ふっくらな、ヒラメやカレイ似た身にナイフを入れると、パン粉のサクッとした手応えの後、白身魚に似た身がホロホロと解れるように簡単に切れ、肉汁が溢れてくる。

熱々の身を口一杯に頬張ると、香草の香と淡白だけどジューシーな肉汁が口一杯に広がる。

普通の食材とは違い、魔物食材は魔力を秘めているので、旨味が全然違う。

特に四十階層位の深い階層になってくると、市場に出回る価格も高いので、チノ達の様な一般市民が口にするのは祝いの席等に限られてくる。


お腹いっぱいに、砂隠魚(サンドストーカー)を楽しんだ三人は、食べ過ぎで動けないので少しゆっくりしてから、四十一階層の攻略を再会した。


読んで頂きありがとう‼


ー情報更新ー


魔物食材


この世界では、カケルが元居た世界地球と同じように、豚や馬、牛等の牧畜もされている。

一般的に出回っている食材は、地上で育てられた野菜や動物の肉等で。魔物の肉も専門のハンターや冒険者の手によって市場に出まわる。

しかし、魔物専門のハンターや冒険者が獲ってくるだけの量だと供給が追い付かず、店先で魔物食材が並ぶのは、低級の魔物以外は稀である。

此所ローグルでは、年に数回、深緑の森から魔物が溢れてくる事がある。その時だけ市場に安く普段は高くて食べられない魔物食材が、深緑の森に面した町で、安く売られているので、町の外では魔物との戦いが、町の中では主婦の戦いが繰り広げられている。

特に魔物食材で高給品とされているのが、ダンジョン産の魔物食材で、地上よりも濃い魔力の中で育った食材は地上の同種の食材と比べても、直ぐに分かるほど美味しいとされている。

一般的にこの世界の区別では、上位の魔物を除いて、地上の食材を普通の食材として魔物も一緒に認識され、ダンジョン産の食材を差して魔物食材と呼ぶことが一般的である。


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