トーストに向かう途中で
こんにちは‼
久し振りにボウリングをしたら、僅か3ゲームで筋肉痛になりました。
ハイフォルベルンに続く道をひたすら歩き、途中で馬車に乗せて貰って三日。アレッサという村に到着した。
アレッサという村は、ハイフォルベルンに続く道を挟むように宿屋や馬小屋が並んでいるだけで、他には数件の民家があるだけだ。
「こないな場所も場所あるんやな」
村を見てポツリと溢した声にジルが反応してくれる。
「この辺りは滅多に魔物も見かけないからねぇ」
「それで柵とかが無いんやな」
「もし出たとしても、誰かしら冒険者が居るだろうしね」
「取り合えず、彼処でええか?」
「良いんじゃないかぃ、此所に来た時はあそこに泊まってるしね」
その宿屋に入ると一階は酒場になっており、数組の冒険者が暇そうに酒を飲んでいた。
「あらまぁ!ジルじゃないのさ何時帰って来たんだい」
酒場のカウンターでグラスを磨いていた女性が俺達を見つけると、嬉しそうに声をかけてきた。
「今さっきね」
「それで隣の彼は誰なんだぃ?もしかしてジルのこれかい?」
「フフフ、良いだろう」
「サムー!サムー!ジルが帰って来たよ!ちょっと待っててねサムも呼んでくるから」
そう言うと女性は店の奥に入っていった。
「なんや知り合いか?」
「この村、アタイの生まれ故郷なんだよねぇ。さっきのは幼馴染のノンナ」
「へぇ~、それやったら家に顔出さんくてええんか?」
「・・・」
何気無く発した言葉だったのだが、キングダムのマスターの事を思い出して、地雷を踏んでしまった事に言ってから気がついた。
黙りこんで下を向いてしまったジルは、肩を震えさせて手を固く握っている。
「あ・・・ス、スマン」
「ジル、彼氏さんに何も話して無いの?」
「そ、そうか、スマンな、変な事聞いたわ。別に無理して話さんくてもええしな」
「いや、いいよ。アタイは少し歩いてくるからノンナが話しといてさ」
「・・・ジル」
「それでねぇ、ジルの事なんだけどさ。あの子、両親を盗賊に殺されてるんだよね。ジルもその時酷い目に遇ってね、あの子にとって少しも思い出したくない話題なんだよ」
「そっか・・・それで、その盗賊は捕まったんか?ジルは助かったんやし」
「残念だけど・・・ジルが冒険者をやってるのって、逃げた盗賊を見つけるためなんだよね」
「・・・どんな奴か分かるか?」
「私にはそこまで分からないよ。ジルを助けてくれた冒険者が、鼻に切り傷が有る男って話してたのを聞いたくらいでねぇ。それよりもジルの所に行ってあげなよ、あの子ああ見えて弱いから」
「ああ、そうするわ」
宿屋を出てジルを探すと、少し村から出た所でジルを見つけた。
「ノンナから聞いたのかい?」
「スマンかったな」
「別に構わないさ、その内話そうと思ってた事だしねぇ」
「話を聞いたからには、手伝うさかいな」
「頼りにしてるよ。少しこうしてて良いかぃ?」
「ええで」
少し冬に近付いて、涼しくなった草原でジルを膝枕して静かな時間が過ぎていく。
少し太陽が動いた位の時間が過ぎた頃。
「デモニックサントの鼻に傷のある男、カケルより少し背が高いデブ」
「それが、ジルが探して、ゥゥゥ!!??」
「少し好きにさせて貰うよ」
ジルが急に起き上がって、犯人の特長を話したと思った瞬間、押し倒されて口を口で塞がれてしまった。
ジルの舌が俺の口内を蹂躙し舌を絡めてきた。
酸素を求めて鼻で息をすると、ジルの匂いが濃密に感じられて、頭がクラクラする程良い香りがする。
何も出来ずにジルにされるがままになって、舌を絡めたりしていると、身体に電気が走ったかのようにスパークし、快楽で頭が真っ白になった。
「ぷはぁ!ハァハァ、もう、我慢できないねぇ。カケルの反応が可愛すぎるのが悪いんだからね」
「・・・ぇ?」
『へひゃ!?何!?ちょっと!?チャック何してるの!?これ誰!?』
妙に艶々したジルと、焦点の合っていない目をしたカケルがジルの肩を借りて、宿屋に帰って来たのは数時間後の事だった。
「お、お帰りジル、彼氏がヤバイ事になってるわよ!?」
「ちょっとねぇ・・・初めてで、ヤリ過ぎたみたい」
「はぁ!?昼間っから何してるのよ!何時もの部屋を用意しといたから休ませてあげなよ」
「そうさねぇ、そうさせて貰うよ」
宿屋の二階の一番奥の部屋、ジルが帰って来た時に何時でも使える様に、常に空けてある部屋に入ると、ジルはカケルをベッドに寝かせて部屋を見渡した。
「変わって無いねぇ」
この部屋は他の部屋と殆ど同じだが、ジルがこの幼馴染の宿屋で暮らすようになってから集めた物や、冒険者になってから各地で買い集めた私物が置かれている。
ジルは自分のベッドで寝ているカケルのおでこにキスをすると、化粧台に大切に仕舞っておいた母の形見の指輪を取り出して、祈るように手を重ねた。
次の日、カケルが目を覚ますと知らない部屋で目を覚ました。
「ん?あれ?オーガに殺されて、天国で・・・ここ何処?てか生きてる!?」
「やっと起きたのかぃ、すまないねぇまさか彼処までなると思わなかったんだよ。混乱してるみたいだけど大丈夫かぃ?」
「うぇ!?夢に出てきた人!?あれって夢じゃ無いの!?」
「どうしたのさカケル、なんか変だよ」
「なんで俺の名前を知ってるの?貴女は誰!?」
「ええっと、それは少し酷いんじゃないかい」
「もしかして、知り合いだったりする?」
「何言ってるのさ、昨日は無理矢理ヤってしまって悪いと思ってるからさ。この通りだ、許してくれないかぃ?」
「え?昨日の夢じゃ無かったの?」
「そ、そうさね、夢じゃ無いね」
「え、ちょっと待って、チノとケイトは何処?」
「あのカケルが言ってた二人かい?此所には居ないけど、カケルが一番知ってるじゃないか」
「ごめん、少し頭を整理させて貰えませんか?」
「どうしたって言うんだい」
「えっと、俺は死んで無い訳で、昨日の事は事実で、貴女とは知り合いで、二人は此所に居ない」
「死んだ?どういう事だい?話が分からないんだけど」
『おぉぉ!カケル目ぇ覚めたんか!』
「あ、ちょっとすいません」
『ジルには話してあるし、別に話しても大丈夫やで』
「ジル?この人の事?」
『そうや、二人と別れた後に知り合ったねん』
「はぁ!?別れたって、どういう事!?」
『別れたってそういう意味や無いで、別行動って意味や。俺がお前を起こす方法を探して、二人にはヒルトの手伝いを続けて貰ってたんや』
「そういう事かぁ~、ビックリした」
「えっと、いいかい?もしかして、カケル・・・いや、チャックが言ってたもう一人の人格ってやつが今のカケルなのかぃ?」
「え、ああ、ごめん、そうですよ」
「そ、そうかぃ、話し方も全然違うんだねぇ」
「あ!すいません、初めしてカケルといいます。お世話になってます」
「え、そ、そうだったねぇ、よろしく。なんか調子が狂うねぇ」
それからカケルが意識を失ってからの事をチャックから説明して貰い、今の状況が分かったカケルは怒っていた。
「そもそも、なんで昨日あんな事になったんだよ。ジルさんの気持ちは分からないでも無いけどアレは酷いし、チャックもケイトと約束したなら守ろうよ」
「ごめんねぇ」
『ほんまスマン』
頭に響いてくるチャックの声と、目の前で謝っている二人の声を聞いた時、違和感に気がついた。
「って、チャックの声が聞こえてるんだけど!」
『え?あ!ほんまや!!普通に話せてて気が付かんかったわ』
「今度はどうしたのさ」
『説明したって』
「『うん』えっと、前まで俺が出てる時はチャックの声が聞こえなかったんだけど、聞こえる様になってる」
「それは、そんなに驚く事なのかぃ?」
「驚くも何も、チャックから色々教えて貰えるし、色々と便利になる」
「なるほどねぇ(良く分からないけどさ)」
「所で、ジルとは今日から別の部屋で寝るから」
「え!?どういう事さ」
「だって、なし崩し的にまた襲われたら、今度こそ二人に嫌われる」
「そ、そんなぁ~。カケル!もう襲わないって誓うから、それだけは勘弁してくれないかぃ」
「ダメ!」
「うぁぁぁ!お願いだよ、寂しくて死んじゃうじゃないか。耳長族は寂しいと死ぬんだよぉ」
「え・・・っと、本当に?そういう種族も居るの?」
『いや、俺は知らんで、てか俺に聞かれても』
「ほ、本当に・・・だから、ね」
「う、いっ一緒に寝るだけだからね」
「ありがとね!カケル!」
「あ、っちょ、抱き付かないで」
(簡単に騙されるカケルって方は、可愛いじゃないのさ、実際は少し弱るだけなんだけどねぇ)
読んで頂きありがとう‼
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ー情報更新ー
アレッサ村:魔物の生息圏から外れた場所に作られたジルの生まれ故郷の宿場村。
王都とハイフォルベルンを結ぶ道に作られており、旅行者や冒険者等が年中利用し、王都から派遣された兵士が居るので盗賊も迂闊に近付かない平和な村。
主な産業は宿の営業だけだが、利用者が多いので村は非常に潤っている。




