たまにはのんびり過ごさないと、疲れちゃうよね
こんにちは‼
のんびりです
という訳で、マイナイから依頼を受けた訳なのだが、期限は何時でも良いと云うわけで、一週間程イゾールに留まることにした。
その間にチンピラに絡まれたりした訳で、今はジルのオススメだと紹介された、カフェ兼バーのキングダムで、一人でのんびりしている。
「ってな訳でや、ジルのやつが買った香水で、えらい目にあったんよ」
「ジルちゃんも変わりませんね」
「やっぱり、昔からそうなんか?」
「ええ、あの子が初めてこの店に来たのは、十七年年前の夏の終わりだったと思います。その時はまだこの位の可愛い娘でね、母親に連れられて来たんですよ。それから、此所によく遊びに来るようになりましてね、店の手伝いもしてくれてたんですよ。あの時からあの性格でね、でも、それが可愛いと評判で人気だったんです」
「へぇ~、ジルにもそんな頃があったんやな」
「はい、あの事が無かったら、冒険者にならずに今頃はこの街の誰かと幸せになっていたでしょうに」
「それって、俺が聞いてもええもんなんか?」
「あっ!!と・・・そうですね、機会があればジルちゃんから聞いてください。カケルさんになら、その内話してくれるかもしれません」
「そっか」
ジルに昔何かあった事があったんだろう。
マスターの表情が悔しそうに歪んでいるので、余程の事なのだろうが、これはジル本人が話してくれるのを待つしか無い。
「そうや、明日からトーストの町に行くわ」
「・・・すいません、ジルちゃんと一緒にですか?」
「ああ、そうや。ジルは何があっても離れようとせんからな」
「そうですか、ジルちゃんを頼みます。ああ見えても、気の弱い子なので」
「嘘や!?ジルがそんなタマには見えんな・・・まぁ、その、なんや、ジルの事は守るさかい安心してや」
「あはは、そうですね・・・ジルの事を、どうか末永くよろしくお願いします」
「ちょ!そんな改まって言われると・・・はい、ジル事は、俺が責任を持って守ります」
まるで実の父親が愛娘を嫁に出す様に、突然改まった真面目な表情で言われたので、俺も真面目に返事を返す。
(そりゃそうや、十七年間もジルが小さい時から見てるんやし、我が子も同然やんな)
二人ともお辞儀をしている時に、キングダムの扉が開いた。
「どうしたのさ二人して」
「っっジルか!なんでも無いわ!」
「え、ええ、何も無いですよ。少し買い出しのお願いをしていただけです」
「そ、そうやで、砂糖を買って来てくれってたのまれてな」
「新しいお菓子を出そうと思いまして」
「ふーん、二人して変だねぇ」
「ジルも用事終わったんやろ、行くで」
「ちょっと、カケル!?そんなに引っ張らなくても良いじゃないか!?」
二人が出ていったキングダムでは、マスターが少しの間上を向いて、何かを堪える様にしていた。
「帰って来た時の為に、お湯でも沸かしておきましょう。お菓子も調べなくてはいけませんね・・・そうですね、先程カケルさんに教えていただいた物が良さそうです」
翌日、トーストの町に行くと言っても、護衛依頼も何も受けていない。なので遅めに起きた俺は、遅めの朝食を食べる為に身体を起こそうとして、右手に柔らかい感触を感じた。
「ぅ、ぅうん・・・朝から積極的だねぇ、朝からでもアタイは構わないよ」
「う、うぉわ!!スマン忘れてた」
「なんだい違うのかい」
そう、マイナイの店で媚薬を買わない代わりに、何でも約束すると言ったので、ジルとその日から一緒のベッドで寝る事に決まったのだ。
毎晩あの魅惑的な身体で密着してくるので、流石のチャックも若干睡眠不足になっている。
「そういうのは無しって言ってるやろ」
下半身に伸びてきた手を掴むと、そう言い、ジルの方を見ない様にベッドから出た。
俺が寝ている間に、ジルは裸になっているので、初日の朝は知らずに起きて、かなり驚かされた。
「は、早く服を着ろよな、飯食ったら行くで」
「変わらないねぇ、アタイが寝てる間でも好きにしていいって言ってるのにさ」
後ろから抱き締められる形になっているが、ジルは裸のままなので、服越しに柔らかい物が押し付けられる感触や温もりが、よりいっそう直に感じられる。
「はいはい、分かったし離れえや」
(あんな顔して寝られたら、手を出したくても出せんわ。出す気も無いけど)
「仕方がないねぇ」
離れ際に首筋にキスをされて、俺の鼓動が早くなるのが分かる。只でさえ良い香りのするジルが、マイナイの店で買った香水を着け始めてから、立ち眩みがする程、妖艶な香りを纏っている。
うっかり気を抜くと、食虫植物に吸い寄せられる虫の様に、何もかも投げ出してのめり込んでしまいそうだ。
直ぐに着替えると、このモヤモヤした気分を晴らすために素振りをする。少し汗を流せばこの気持ちも少しは落ち着くだろう。
三十分位だろうか、一心不乱に素振りを続けていると身嗜みを整えたジルが降りてきた。
「こんな所にいたのかぃ、もうすぐ出来るってさ。汗を流して来なよ」
「はぁ、はぁ、はぁ、おおきんな」
水浴びをするために井戸に行くと、ジルも着いて来てくれている。気を効かせてタオルを持って来てくれたみたいだ。ジルはこういう所によく気を効くので助かる。カケルの記憶だとスポーツ系アニメで主人公の男子生徒にタオルを渡す、ヒロイン的なポジションの女子生徒がよくやっていたな。
カケルが起きていたら、羨ましいと頭の中で騒いでいるだろう。
井戸の水を汲み上げて、火照った身体に勢い良くかけると、地下で適度に冷やされた水が一気に身体に熱を奪い気持ちが引き締まる。
「カケル」
「サンキューな」
着替えも済ませて朝食が用意されている、宿の食堂に行くと今日は一品多かった。
イゾールで泊まっていた宿屋は、この街で中の上クラスの宿屋で、毎日決まった内容の朝食を出してくれていた。
主食とおかずが数種類、それにフルーツが一品だったのだが、今日はティラミスが増えていた。
「どうしたんや今日は、これありがとうな!ありがたく頂くわ」
朝食を運んでくれている、宿屋の奥さんにお礼を言うと、思わぬ返事が帰って来た。
「それは今朝方、お兄さん達のお知り合いから頂いた物なんです。キングダムのマスターからだと言えば分かると仰っていたので、お知り合いですか?」
「そうやで。なぁジル、彼処でティラミスなんか出してたっけ?」
「ティラミス?なんだいそれは?ティラミスは兎も角、こんなお菓子は彼処では出して無かったね」
「なんやティラミス知らんのか」
「そうさね、アタイも色々行ったけど、これは初めてみるよ。昨日マスターが言ってたやつなんだろ?」
「あ、ああ、そうやで」
(カケルの記憶を頼りに、口頭で作り方を言ってみただけなんやけど、よう作れたわ)
「カケルは何処で食べたのさ」
「ちょっと昔な」
のんびり朝食を食べ終えて、ティラミスを一口。
コーヒーの豊かで芳ばしい香りと、生地に染み込んだ、ほろ苦くも甘いシロップ。そして流石に本家と同じマスカルポーネを使ったクリームではないが、上手くこの世界で使われているクリームチーズを使い、全体の味を調和させて、異世界番のティラミスとして完成されていた。
初めに反応したのはジルだ。
「んんん!!!凄くおいしいじゃないのさ。奥さんもう少し貰えないか?」
一気にティラミスを平らげると、お代わりを要求してる。ジルがここまで反応するのは珍しいな。
結局ジルは二回お代わりをしていた。余程気にいったみたいだ。
結局一の鐘が鳴るまでゆっくりした後、俺達は徒歩でイゾールの街を後にした。
イゾールから水の都ハイフォルベルンに向かう道を行き、その途中にある道を南下すればトーストの町に着く筈だ。
カケルがお世話になったと言っていた、ウェーグさんやハインツさん、トーストの町の人達は元気にしているだろうか。
読んで頂きありがとう‼
感想やコメントお待ちしています‼
ー情報更新ー
一日マスターに愚痴っていただけなので、情報更新は有りませんw




