↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めたら全裸で森でした  作者: マッタ・LI
オハヨウは突然に
59/78

到着

こんにちは‼

貴族や富豪が利用する、豪華な竜車に揺られること五日、チノとケイトの二人はリリアと共に、ベルン伯爵家が治める都市、水上都市ハイフォルベルンへとたどり着いた。


ここハイフォルベルンはローグル王国が誇る湖、ベルン湖の浅瀬に作られており、都市が湖に浮かんでいるように見える。

このハイフォルベルンが水上都市と呼ばれている由縁だ。


水路が都市中に引かれ、移動には船を利用する事もでき、生活の一部になっている為、ハイフォルベルンに住む住人にとって、湖の水は無くてはならない大切な物だ。


都市に入るための門には、観光に訪れた国内外の人々が、湖に架けられている橋に長蛇の列を作っており、入門審査の順番を待っている。

その列の横を、竜車に乗ったチノ達が素通りして行くと、ハイフォルベルンに住む住人や兵士達が、竜車が通り過ぎるまで頭を下げていた。


「うひゃー、リリア様すごいねー」


竜車に取り付けられた小窓から見える光景に、チノが驚きの声をあげている。


「フフフ、代々ベルン家は、湖に住まわれている、ベリガ・メリシュルム様に仕える巫女の家系として、ベルン湖の管理を任されておりますの」

「ベリガ・メリシュルム様?」

「何処かで聞いた様な気がするんだけどなー」

「勇者のお話にも出ておられますわよ」

「あー!もしかして、なん百年も前に現れたっていう魔王を倒した、勇者様の仲間の水魔法使いの女の子!?」

「ええ、その通りですわ」

「しかし、リリア様が言っていた、代々仕えるとは、どういう意味なんだ?なん百年も前に生きていた人なら寿命で生きてないだろう」

「フフフ、まだ生きておられますわよ。勇者様の物語に出ていた女の子の正体は、ベルン湖を御守りになっている水龍なのです」

「うそ!?そうだったんだ、私の知ってる絵本じゃ、女の子として出てたから、ビックリだよ」

「なるほどな」

「フフフ、そろそろ街に入りますわよ」

「うわぁ、綺麗だねー」

「ああ」


湖と街が一体化した街並みは、水路を行き交う船と水生の亜人種で賑わい、石畳で舗装された道には、お洒落な建物が並んでいた。


この世界では珍しい街並みを楽しみながら行くと、ようやくベルン伯爵の屋敷に到着した。


屋敷と言うよりも、神殿の様な城というのが正しいだろう。

大きく立派な造りの白亜の城は、白い柱が幾本も並び、広すぎない庭には色とりどりの草花が生い茂り、城の中程から湖になっている。


「でっかいねー」

「ああ、すごいな」


竜車から降りて、城を見上げていると、庭の方から水着の幼女が駆けてきた。


「帰って来るの早いしぃ、ヒルトと喧嘩したしぃ?」

「メル様、ただいまですわ、喧嘩して帰ってきた訳ではありませんので、ご心配なされなくても大丈夫ですわ」

「なら良いしぃ、二人は誰だしぃ」

「お二人は、ヒルト様に協力して下さっている、チノさんとケイトさんです」

「へぇ~、ヒルトの女かしぃ」

「違うよ!」

「リリアも大変なんだしぃ、結婚前に愛人を紹介するとか、ヒルトには、がっかりなんだしぃ」

「違うってば!」

「違いますわよ、この方々はヒルトの友人の伴侶になりたいと、一緒に勉強をする事になりましたの」

「なるほどだしぃ」

「そういう事だから、よろしくねー、って話聞いて無い!」


メルと呼ばれた幼女は、自分が納得すると、直ぐに何処かへ駆けて行き、姿が見えなくなった。


「げ、元気な妹さんだね」

「違いますわよ、あの方こそ、ベリガ・メリシュルム様ですわ」

「な!あの幼女がか?」

「ええ、なんでも、ショウ・エネェーをするために、特別な時以外は、あのお姿をされているそうです」

「「ショウ・エネェー?」 」


こうして、チノとケイトの花嫁修行が始まった。

その頃、カケル(チャック)はというと。


「という事がありまして、お嬢様方は、ハイフォルベルンにて、ハナヨメシュギョウなる物を始められるそうです」

「ブハ!!!」

「主、どうかなさいましたか?」

「い、いや、なんでもない、その調子で頼むわ」

「畏まりました」


二人がそんな事になっていたとは知らず、クロームからの報告聞いたカケル(チャック)は、置いていった事に後悔した後に、盛大に吹き出していた。


(いやいや、二人やったらありやし、ええんやけど、二人の気持ちが重い)


「やっと戻ってきたのかい、貯まってるんだったら、アタイに言ってくれれば良いのに」


イゾールの冒険者ギルドの前で、堂々と言いきっているのは砂鳥の一人だったジルだ。

トイレに行くと言って、クローム報告を聞いていただけなのだが、何を想像したんだか。


既にイゾールに到着していたカケル(チャック)は、他のメンバーとは別れて、一人でイゾールを観光してから、王都に向かう予定だったのだが、砂鳥のパーティーメンバーだったジルが、半ば無理矢理カケル(チャック)に付いてきた。


「やから、俺には相手が居るって言ってるやろ」

「いいじゃないか、その子達の為にも練習しとかないと」

「はぁ、その練習したら、後が怖いしやらへんって、てか、そもそも何で俺に付いて来るんや」

「その事かい?強い雄と子孫を残そうとするのは当然じゃないのさ!」

「ば!」

「そういう訳で、アタイはカケルに決めたのさ・・・という訳で、練習ついでに子孫を残さないか?」

「残さねーよ!」


言っても聞かなさそうな、肉食系ウサギの事は早々に諦めて、ジルの道案内でイゾールを観光する事にした。


イゾールはローグル王国の貿易の中心地だ。

国内外から集まった物を一度イゾールに集め、王都へと運んでいく。

その為、この街には一旗上げようと田舎から出てきた者や、それを狙うアウトローな集団がいて、イゾールの一区画は、無法地帯の様になっている。


そんな一面を持つイゾールだが、その無法地帯を除けば、手に入らない物は無いと言われる程、様々な店が建ち並び、商人達が自分の客を取られまいと競い合い、煩すぎるほど賑やかだ。


色々な店を見て回り、少し疲れた俺達は、ジルがイゾールに来ると必ず行くという店で休憩しようと、路地に入って行った。

細い路地を縫うように進んで行くと、お目当ての店にたどり着いたのだが、何やら騒がしい店の様だ。


「結構賑やかな店みたいやな」

「おかしいねぇ、何時もは静なんだけど」

「へぇ~、とりあえず入ってみるか」


ガシャン!!俺達が店に入ろうとした瞬間に、店の窓を突き破り、何か大きな物が飛び出して来たと思ったら人だった。


「どうしたってんだよ、マスター」

「ゴホゴホ!ジルちゃんか、情けない所を見せてしまったね」

「それよりさ、大丈夫なのかい」

「あ、ああ、大丈夫、大丈夫」

「大丈夫て、どないしよったんや、おっさん、ただ事や無いやろ」


窓から飛び出してきた店主の様子を見ていると、店の中から、いかにも脛に傷のありそうな野郎がゾロゾロと十人出てきた。


「ああ!知り合いか!?」

「いえ、この人達は偶々通りかかっただけの人です」

「そんな事はどうでもいい!!ネェちゃん、良い身体してるじゃねぇか、おっさんの借金を返すのに手伝わねぇか?」

「借金?」

「そうなんだよ、このおっさんに貸した金を返さねぇんだよ」

「あのお金は既に返したと言ってるじゃないですか、この人達には手を出さないで貰えませんか」

「はぁ!?知らないなぁ、この紙を良く見てみろよ、全額返せてねぇだろ?ああ!?」


ガラの悪い男が見せてきた借用書には、大きく幾ら貸して一週間の利子は幾らと書いた所とは別に、借用書の保管費用として毎日金貨10枚と書いてあった。

とても小さく、文字の中に紛れ混ませているので、注意深く読まないと気が付かない様に偽装されている。


「そんな説明無かったじゃないですか、そんな風に書かれていたら、誰も気付きません」

「書かれてるもんは、書かれてるんだよ!契約魔法で契約しただろ!?これは絶対なんだよ」

「ゴチャゴチャとうるせぇ!!」

「あぁ!?なんだ、兄さん、文句があるってのか!?」

「さっきから聞いてたら、キャンキャン鳴きやがって。おっさんは契約する時、小さく書いてある方は、気が付かなかったし、契約の内容も、聞いて確認したんやな?」

「ええ、契約する時、どういう契約か詳細は聞きました」

「ほな、その契約はあんたらのミスやないか?」

「ミスってなんだよ!?この借用書にはしっかり書いてあるだろうが」

「説明不足や、説明不足、おっさんが聞いた時に、ちゃんと答えへんかった奴が悪い。アンちゃんらには悪いけど、借用書を置いて、帰って貰えんやろか?」

「バカ言ってんじゃねーぞ、お前らやっちまいな!」


ガラの悪い男達が、ナイフや剣を取り出すと、一斉に襲いかかってきた。

それを的確に避けながら、一人が殴りかかってきたので、顔面で受け止める。


「なぁ、これで正当防衛成立やんな?」

「そうさねぇ、武器を出した時点で、よかったと思うんだけど」

「なんや、一発損したんかいな、ジルはおっさんの方、頼むで」

「はいはい」


それから、一瞬で決着がついた。

素人に毛が生えた程度の相手では、数秒しかもたなかった。

店の前に寝られても困るので、一人だけ起こして、即席の台車に気絶した野郎を乗せて帰した。

その後、散らかった店の片付けを手伝って、休憩しようとした時に、店のドアが蹴破られた。

いい加減に休憩させて欲しい。

読んで頂きありがとう‼

感想やコメントお待ちしています。


ー情報更新ー


位置情報(話に出てきた町)

王都を中心に考えると、東の方角にハイフォルベルンがあるベルン湖と、国境になっている山脈がある。

南南東に行くと、トーストの町があり、カケルがゴブリンに襲われた川はベルン湖に続いている。

南の方にはイゾールとアンタソ村、アルトニアがあり、深緑の森が国境を跨いで続いている。


カケルは王都に向けて北上し、チノ達はトースト経由でハイフォルベルンへ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。