ヘタレと野獣
こんにちは!
弱冠3名からドン引きされとる気がするけど、予定通り、日が落ちきる前にコロセウムに帰ってきたで。
「おっし、まだ寝床は空いてそうやな。ヒルト、悪いけど今日はもう、解散でええか?」
「お、おお」
「堪忍やで、明日は付き合うたるさかいな」
「いや、明日は休ませてくれ、色々と疲れた……」
「そおか~、わかったで、明後日の昼、ギルドでええか?」
「そうだな、二の鐘が鳴る頃に何時もの場所で」
「了解や、そんじゃ、俺らは宿を探さなあかんし、失礼するわ」
「ああ、それより、その……」
「どないしたんや?」
「いや、何でもない、気にするな」
(なんやヒルトの奴、変な目で俺を見とったけど………ってそうか、俺の事、話さんかったな。まぁええやろ。それよりも、はよぅ二人を休ませたらな。)
時間的に自分達が求める、個室二つを借りれるような安宿は一杯になっている頃だろう。少し値が張るが中級から上級クラスの宿を何軒か回ったところで、予想通り値段は高いが設備の整った部屋を二つ見つけることができた。
何軒かは俺達のボロボロになった服装を見て門前払いにするところも有ったが、ここの主人は俺達の格好を見ても快く受け入れてくれたので好印象だ。
「ほら、チノ、着いたで、横になりなや」
チノに降りるように促すが降りようとしなかった。
まだ怖いのだろう、原因であるオーガが大人しく別室に行ったとしても、恐怖は拭いきれないみたいだ。
「飯、貰ってくるし、降りてえな」
「やだ、」
「チノも腹減ったやろ?」
「いい」
「頼むわ、ケイトも疲れとるんやで?」
「気にするな、お前のお陰で楽ができた。私が貰ってくるよ」
「そうかぁ、すまんな」
ケイトも疲れているのが顔に出ているのだが、チノに気を使ってくれたんだろう。
食事を貰いに部屋を出ていくと、扉が閉まる音がした瞬間に背中に居た筈のチノが器用に俺をベットに押し倒した。
チノには全く意識を向けてなかった俺には、完全に不意討ちだった。
「カケルくんは、ずっとここに居て、私がなんでもしてあげるから、危ない所には行かないで。」
「な、なに、言うとんねん」
「チュ!なんでもしてあげる、私の初めてだってあげるし、好きにしていいんだよ」
(どうしたらええんや、この娘、目がマジやで。無理矢理退かしたら、チノが傷つくかもやし、このままやったら最後まで逝ってまいそうやで。アカンアカン!HQ!HQ!カケル!起きろ!緊急事態や!カケルー!)
未だに目覚めないカケルに呼び掛けるが、応答はおろか反応すら感じられないので、いよいよ本格的にピンチだと焦ってきた。
カケルとの脳内会議で、抜け駆け禁止、と決めたのに、今まさに誓いが破られようとしている。
恐らく死ぬまで一緒に生きていく事になるであろうカケルに事あるごとに、今起きようとしている事を言われたら俺達の同盟が破綻してしまうかもしれない。
焦り高速で様々なパターンを妄想と一緒に考えてみるが、状況はどんどん悪化していくばかりだ。
既に俺の右手は、チノの膨らみを直接鷲掴みにしている状態になっているし、身体中をキスされたり吸われたりしたせいで力も一部分を除いて抜けてしまっている。
「もっと、好きにしていいんだよ?」
「え、っと、あーーー」
「ふふ、そういう所も好きだよ、カケルくんは動かなくて良いから、そのまま寝てて、私……がんばるから」
とうとう、チノが全部脱いでしまった。
部屋が明るいままなので、チノの全部が見えてしまっている。
(ダメー!ズボンは堪忍してー、それは、まだ早い)
力が入らない手でズボンを脱がされるのを少しの抵抗を試みるも、逆にチノを興奮させてしまったらしく攻めが激しくなっていく。
そして抵抗虚しくズボンが脱がされ、下着が少しずらされたところで、ケイトが帰ってきた。
「恥ずかしがらないで、私に任せてよ」
「旨そうな、シチュっっっっ!!」
「あ、ケイトも良い時にきたね」
「って……えーーーー!!!!少し目を離した隙に、何があったんだ。」
(おし!力が入る、抵抗させてもらうで、男の誓いを守らせてもらう)
「あ、抵抗しちゃダメ!ケイトも手伝って、カケルくんに初めてをあげて、カケルくんの子供と一緒にカケルくんを育てるんだよ」
(おいおい、サラっと怖い事言いよったな、俺の一存では決められませっんっと!)
「いい加減にしろ!、気持ちは分かるが、チャックも嫌がってるだろ!」
「へ、チャ…ック?」
「そ、そうやで、まだカケルのやつが目ぇ覚まさんさかいな、チノの気持ちは嬉しいんやけど、カケルの同意無しやと不味いさかい、今回は本当にすまん!!」
「え、、、カケルくんは?目を覚まさないって、大丈夫なの!?」
「たぶん明日には起きると思うんやけどな」
チャックだと分かった瞬間に布団で身体を隠すと、親の敵でも見るような目で睨まれて少し傷ついた。
一応、チャックもカケルと記憶と意識を共有しているので、話しかたと強さ以外は殆ど一緒なんだけどなと思ってみるが違うらしい。
「そ、そう、悪かったよ……そういう事なんだったら用はないよ、カケルくんが一緒じゃ無いなら出てってよ!」
「そんな、薄情な、一緒に飯食う位ええやろ?」
「いいから出ていって、服、着れないでしょ!」
「あーー、はいはい、分かりましたよー、ごゆっくり~、向こうで食うわ」
「助けて貰ったのに、すまない、アレの分は先に渡しておいた」
「ええって、ケイトが気にする事やない、チノも疲れとるんやろ」
「そう言ってもらえると、助かる」
「……あ……と、バーカ!」
部屋を出るときに、チノの方から感謝と暴言が一緒に聞こえた気がしたけど、悪い方は聞こえなかった事にした。
自分の部屋に戻ると、俺が戻って来るのを待っていたのだろう、街に戻る前に着せたフード付きのローブの、フードを外した状態でオーガが床に座っていた。
「主、女を抱かなかったのですか?女は子供を欲していたでしょう?」
「なに言っとんねん!」
「あの女は、主の物では無いのですか?」
「物って、おま!二人はな、ちっこいのがチノで、大きい方がケイトちゅうんや、覚えとけ!それにやで、二人は俺の女ってのもちゃうで、二人は俺の大っ切な人なんや、傷つけてみい、死ぬ方が楽やと思う位酷い目見せたるさかいな」
「そうでしたか、主の大切な人だとは」
「てか、さっきから、主、主ってなんや?俺の事はカケルって呼べ言うたやろ」
「いえ、主は主です、森に行けと仰いましたが、どうか配下にして戴けないでしょうか?足りない物は学びますし、できる限り迷惑はかけないように心掛けます」
「いやー、そう言われてもな、二人がアカンやろうし無理やな」
「そうですか、では、主には必要無い事でしょうが、この力が必要な時は何時でもお呼び下さい。何時でも主の盾になれるようお待ちしております」
「そうか、今は気持ちだけ受け取っとく、なんか有ったら頼むわ」
「ありがとうございます」
「ほな、これ渡しとくさかい、なんか有ったら呼ぶから頼むで」
「確かに承りました。しかし、数が多いのは何故?」
「それはな、予備や予備、好きにしたらええで、お前やったら、顔と角を隠したら何処でも行けるやろ?必要やと思うときに使うとええと思ってな」
「しかし、些か多すぎる気がするのですが」
「これな、数だけは有るさかいな、それでも全く減った気がせえへんから、気にするなや」
「はぁ……、分かりました、主の名が世界中に轟く様に使わせて頂きます」
何かを決意したかのように、チャックから渡された物〈前の世界で配る為に溜め込んでいた、簡易式の通信スキルが付与された、光沢のある革紐の様な物を編み込んだ通信機〉を見つめるとそう言った。
「ちょい待ち!カケルって名前は広めんな、広めるならチャックって名前にしといてくれ」
「どうしてですか?」
「色々事情があるんや、カケルもチャックも俺の名前やしええやろ?」
「そうでしたか、分かりました、そうさせて頂きます」
「そういや、お前の名前、無かったな」
「はい、在りません、主が付けて下さるのであれば、これ以上の喜びは無いでしょう」
「そ、そうか、んじゃ……オーガ、白黒、鬼………………白黒、モノクローム。よし!クロームってどうやろ?簡単過ぎか?」
「いえ!このクローム、嬉しく思います」
「そか、それやったら、ええんや」
このクロームが頑張って、チャックの名前を広めてくれると、もし顔ばれしてるカケルの事がバレても少しは誤魔化しが効くかもと、少し考えてしまうがどうでもなるだろうと、冷めてしまったシチューを食べ始めた。
読んで頂きありがとう‼
ーチャック独り言ー
なんでや?なんであんなにチノちゃんに嫌われとるんや?なんもしてないよ、な………、してない筈や、で?
いやいや、知らん内になんかやらかしとるかもしれんし、明日は少し女心っていうやつを勉強してみるか。




