アルトニアの迷宮、30層を目指して
こんにちは‼
いよいよ20層を過ぎて、30層を目指して進むと思ったんだけどな………
夜には二人とも動けるまでに回復して、軽い食事を食べれる様になった。
………しかし二人に何故か、距離感を感じるというか、遠慮気味というか………
何時もは四六時中抱き付いてきたり、横に近すぎるんじゃないかと思う程、近くに座るチノでさえ今は6人掛けのテーブルの向かいに座って、俺と目を合わせないように黙々と軽食を食べている。
ケイトに至っては同じテーブルなのに端の方で器用に身体の向きを反対にして食べている始末だ。
(あれ?俺って何か不味い事したかな……?服を着替えさせる時に裸を見たこと?それか窓を開けた事か……?)
二人の反感を買うとしたら此くらいしか思い付かないが、この距離はひじょーに気不味い。
ここは素直に理由を聞いて、許してくれるかは置いといて謝るべきだろう。
「二人ともどうしたの?」
「……な、なんでもないよぉ」
「…………」
「なんでも無いって、何時もと違う気がするけど?」
「そ、そうかな~ァハハ~」
「うん、何時は、チノは俺の横に来るし、ケイトは目の前に座ってたと思うよ」
「あれ~?そうだっけー?」
「俺って二人に何かした?」
「い、いや、違うの、カケルは悪くないの」
「ケイトは?」
「…………カケル、違う」
「あー!もう!なんなのさ!」
(俺が悪くないなら、なんで離れて食べるんだ?)
思わず大きな声で不満が出てしまって、二人がビクッとなるのが見えたが気にせずに、自分の食べている料理の乗ったプレートを持つと立ち上がった。
「あ、カケルくん……」
「ぁ……」
二人がシュンとして俺の方を伺って来るが、俺は立ち上がってチノの真横に身体が触れる様にして座った。
「ヒャ!、ダメ…」
「何が?」
「その…ね……から……」
「ハッキリ言ってくれないと分からない」
「ぅぅぅ…わ、私…臭い残ってるかも……」
「もしかして、ごぶごにょの」
朝の出した物の事を言おうしたら、思いっきり口を押さえられてしまった。二人ともそんな事を気にしていたのか、全然大丈夫だと思うけどな。
「あー!ダメ!言わないで!」
「大丈夫だって、全然しないよ?」
そう言って、チノの身体の匂いを嗅いでいく、チノは真っ赤になってるし、ケイトは此方を見て固まっている。こうなったらケイトもだ。
「な!やめ……」
「スンスン、うん、全然しない、何時もの良い匂い」
「ふぁ!?ば、びゃか!にゃ、にゃにうぉ!?」
嫌がる二人を引き寄せて、匂いを嗅ぎまくっていると、声をかけられた。流石にやり過ぎたか?
「ん、ん~、ごほん!仲が良いのは分かるのだが、部屋に帰ってからの方が、良いのではないか?カケル」
こんな、庶民が通うような大衆食堂に来るとは思ってなかったんだけど、ヒルトが咳払いをしながら、呆れた様子で俺達を見ていた。
良く良く見ると、周りのお客さんも此方を見て羨ましそうな顔をしていたり、爆発しろ!とでも言いたそうな顔の者まで居る……やり過ぎたな……
「あ、ああーっと、そうするよ」
「まぁ、兎も角だ、今日はすまなかったな」
「いやいや、此方こそ」
「それで、明日の事なのだが」
「何時も通りでいいんじゃないか?」
「そうだな、そうするか、ではまた明日頼むぞ」
「うん、わかった」
それだけの為に此処まで来たみたいで、さっさと帰ってしまったが、後ろから嫌ーな気配が二つ程ある。
「カーケールーくーん」
「カケル」
「は、はい!」
「後で、お・は・な・し・が、あるからね~」
「私もだ」
「はい!」
宿屋に戻ってから、おはなし、と言う名の、キツーイお仕置きが待っていたのは言うまでもない。
そんな、おしおき、があった翌日、俺達4人はこれから更に過酷になるダンジョンでの作戦や情報収集、買い物に奔走していた。
今までと違って一日に一気に進む事が難しくなるため、食料は勿論の事、薬や消耗品の補充、予備の装備の買い出し等と大忙しである。
「あ、待たせた?保存食はこれでいいかな?」
「ううん、私も今来たところだよ、ポーションと薬もできたよー」
「私もだ」
「遅いなカケル、私は階層の情報を纏めて書き写したぞ、後で目を通してくれ」
俺の担当した食料の買い出しが終わって、ギルドの集合場所へ行くと、丁度皆終わった所だったみたいで、各人準備した物の確認をしていた。どうやら俺が最後だったらしい。
これから、全員で集めた物資の確認をしてから、今日は解散して、明日の早朝から20階層から30階層までの、およそ一週間の旅に備えて思い思いに過ごすつもりだ。
では、確認を始めていこう。
まずは、ケイトの買ってきてくれた予備の装備だ。
今の俺達の資金力では、同じ装備をもう一組揃える余裕が無いので、武器や防具が壊れた時、最低限身を守れるだけの物を最低限買ってきて貰った。
武器がロングソードが一本と弓が一式あり、防具はサイズが違っても良いように、丈夫な素材で出来たローブが人数分だ。
本当にヤバイと思ったら逃げるんだけど、それまでは粘るつもりでいる。
次にチノが用意した、薬や消耗品は数が多くて大雑把な確認になってしまうが、まぁチノだし大丈夫だ。
回復薬に始まり、風邪薬、解毒薬等の薬類に簡易の装備の修繕道具に着替えの下着に至るまで多岐に渡る。
この中で一番大変だったんじゃ無いだろうか……
その次にヒルトの集めた情報だ。紙に書いて階層毎に纏めてあるので凄く分かりやすくて助かる。
21階層からは迷路の様になっていて、引き続きゴブリン等の人形の魔物が出て来て、人形系の追加でホブゴブリンやオークが出てくるみたいだ。
その他にもアンデッドやスライムにも注意と書いてあるので、いよいよダンジョンっぽくなってきた。
そして、俺の用意した保存食や食材達だな。
干し肉に乾燥野菜、チョコやバターで固めた携帯食料なんかもある。後は根菜類等の保存の効く食材や調味料を買っておいた。
勿論、米は忘れてないよ、俺のソウルフードだ。また彼処の店(コルネーゼっていう名前だった)に行って譲って貰ってきたのだ。
すっかり顔と名前を覚えて貰った。
そう言う訳でこんな感じで準備が整ったので、ヒルトと別れて解散になった。
俺はこれから、昨日の贖罪が待ってるんだ……
「ケイト、今日はケイトも、カケルくんと腕を組んで歩いてね、私はこっちだから」
「ああ、分かった、い、いくぞ」
ぉ、ぉぉぉ!チノも良いけど、ケイトは二つの重量が変形しながら腕と身体に密着してくる。
(こ、これは俺にはキツイかも、チノは何時もだから慣れてるけど、これは……)
ケイトも顔が真っ赤だけど、俺も負けない位に真っ赤な顔をしていると思う程、顔というか身体全体が熱い。
「なによー二人とも」
「え、ど、どうした、チノ?」
「というか、私の時だと普通なのにケイトだと反応するんだー」
「チ、チノ!?」
(うわ、めっちゃ不機嫌になってるよ、何か良い言い訳を考えないと、あー!ダメだ、ケイトを意識し過ぎて何も考えられない……なるようになれ!)
「い、いや、そういう訳じゃないんだ、チノは慣れてるというか、当たり前というか…」
「当たり前?」
「そ、そう、チノが一緒じゃないと変って言うか」
「それで、それで?」
「あー!良いじゃないか、どうだって」
「グヘヘヘ~」
「チノ、笑いかたが、気持ち悪いぞ」
「ん"ん~、えへへへ~」
「なんだかな~」
「ほら、いくよ~」
「あ、ちょっと、引っ張らないで」
「チ、チノ~」
こうして俺は、昨日の匂いを嗅いで恥ずかしい思いをさせた罰と、一応、一応!裸を見たという罪で、二人に左右を挟まれたまま連行されて、午後からの丸々半日を使って、買い物やお茶に付き合うことになった。
読んでいただきありがとう‼
ー情報更新ー
特に無し
ーチャックの独り言ー
カケル……すまん……犠牲になってくれや……俺にはとてもや無いけど耐えれへん……
俺には……まだ……早いと思うねん……
その内、借りは返すさかいな!
シーユー!カケル!




