二日酔いゾンビ
こんにちは!
俺の貞操が守られた翌朝、普段よりも少し遅めに起きた俺は、チノとケイトの様子を見るために二人の部屋へ行ったのだが………
酸っぱい臭いが充満している部屋の中で、二人はあられもない姿でゾンビの様に呻き声を上げながら横になっていていた。
女の子に対して勝手な妄想を抱く俺にはある意味衝撃的で、そんな俺には想像出来なかった部屋の惨状になっていた。
うん、そうだよね、男も女も関係無く飲み過ぎたらこうなるに決まってるよね………
昨日俺を襲おうとしたままの格好で、真っ青な顔で苦しそうに呻き声を発する二人と、桶一杯の吐瀉物。布団の上に出されるよりは良かったけど、そこから漂うキツイ臭いが部屋一杯に広がっている。
このままではいけないので、この酸っぱい臭いと、淀みきった空気を排除するために窓を開け放ち、朝日と新鮮な空気を入れると、チノゾンビとケイトゾンビが朝日に照らされて苦しいのか「ヴーヴー」と二人揃って呻きながら布団の中に逃げ込む。
「と~け~る~」
「ぁぁ……世界が……回る……」
今は二人の事は無視だ、この部屋に居るだけで俺まで気持ち悪くなって桶に追加を入れる事になりそうだ。
今日もヒルトとダンジョンに行く予定だったが、二人がこんな感じで無理だから、ヒルトには悪いが謝って今日は休ませてもらおう。
手早く二人が出した物を片付けて水差しの水を入れ換えると、俺は決死の覚悟をして二人の布団を剥ぎ取った。
「チノ、ケイト、服着て」
「カケルく~ん、着させて~」
「……ぅぅ、無理……」
(今の俺は賢者だ、二人の身体を見てもドキドキなななんてしないぞ!俺はやればできるんだ!)
そう心の中で意気込み決意を決めると、一つため息を吐いた後、二人に寝巻きや下着を着せていく。
これは男の嵯峨なので仕方ないとは思うが、本能的に目線が上や下に移動してしまい二人の色々な部分に目が行ってしまう。
二人は二日酔いで真っ青な顔をしているが、それでも魅力的な女性なのには変わりがないので、ケイトの大きな膨らみが揺れる様や、チノの可愛い桃を見て自分の顔が熱くなるがわかる。
体感的にとても、とっても長い時間の決戦を戦い抜き多大なダメージを精神に負ったが二人に服を着せる事に成功し、二人に布団をかけ直して戦場を後にした。
(ふぅ、後はヒルトに謝りに行かなきゃ……)
しかし、まだまだ今日の戦いは終わらない。
まずは、ヒルトにダンジョン攻略に行けないことを謝った後、チノとケイトの二人に何か二日酔いでも食べれそうな物を用意しなくてはならない。
それとギルドの人にお礼を言いに行ったり、訓練場の様子を見に行って、片付けが必要ならそれもしないといけないと思う。
今日はダンジョンに行くことは無いと思うので、以前トーストの町でチノと買いに行った服に着替えると、ヒルトが待っているギルドへ走った。
何時もより遅い時間なのでギルドのある通りを歩く人も少なく(少ないと言っても結構な人がいるが)そこそこ早くギルドへ着けたと思うが、約束の時間を30分程過ぎているので急いで何時もの待ち合わせ場所に行くと、何故かヒルトの弟レム君が待って居た。ヒルトは居なかったけど遅れて来たのは素直に謝ろう。
「おはよう!レム君、待たせてしまって、ゴメンね」
「おはようございます、カケルさん、僕も今来たところですから大丈夫ですよ」
(良かった、待たせた訳じゃ無さそうだ、今は一応仲間で気軽に話せる仲だけど一応貴族だし、気を使う所も有るんだよな)
「そうなんだ、所で、ヒルトはどうしたの?」
「それが……兄さんは今日来れなくて、代わりに僕が来たんです」
「もしかしてヒルトも二日酔いでダウンしてる?」
「はい……申し訳ないのですが……」
「いや、俺達もなんだ、チノとケイトがね……此方こそ、申し訳無いと思ってる」
「チノさんとケイトさんもですか!?」
「うん、二人とも今日は動けそうも無いね」
「そうですか」
「だから、ヒルトにもそう伝えて貰えないかな」
「分かりました、兄にはしっかり伝えます。真っ青な顔で無理矢理行こうしてたので、止めるの大変だったんですよ」
「あはは、ヒルトらしいね」
「兄さんは、何時もああだから困ります」
「それじゃぁ、今日は休むって事で」
「はい、兄さんに早く伝えないと、何を仕出かす分からないので、これで」
「レム君、ありがとう、またね」
これで、ヒルトの事は大丈夫かな?しかしと言うかやっぱりと言うか、ヒルトもかなり飲んでたからな、余程リリアさんに自慢できたのが嬉しかったんだろう。
次は、訓練場かな?ギルドの職員さんにお礼を言うのは、ちゃんと片付けて道具を返したのを確認しとかないと、「道具がなくなりました」なんて言われたら問題だ。
訓練場はギルドに併設されているので、様子を見に行くと、飲み潰れてまだ寝てる人が数人と、未だに飲み続けている人達が……というかギルドマスターと元パーティーメンバーが居た。その他はある程度片付いているので、直ぐに終わりそうだな、一部を除いて……
「おはようございます、シュレイダーさん」
「おぉ!飲むか!?」
「飲むか!?じゃないですよ、もう朝ですよ!?」
「ワハハハ、朝でも夜でも関係ないわ!楽しむ時に楽しんでおくのも冒険者の生き方だ!」
「い、いやいや、シュレイダーさん、冒険者じゃ無くてギルドマスターじゃないですか」
「………まぁ、良いんじゃね?」
(え!?なに、さっきの間と軽い感じ)
その時、後ろから女性の大声がしたので、全員がビクリとなった。特にギルドマスターのシュレイダーさんは明らかに動揺している。
「良くありません!!!」
「ゲェ!ミリア!」
「アナタ!早くギルドの仕事をしてください、来ないと思って来てみたら、やっぱりまだ飲んでるんですから!」
「わ、わかった、これを飲んだら行くから…」
「ダメです!行きますよ!」
「ハァー、悪い皆……っで、痛!」
「ハイ!ハイ!さっさと来る!」
「だぁー!わぁったよ!だから耳、引っ張るなって」
なんだか良く分からないが一番の問題は、シュレイダーさんが耳を引っ張られて退場した事で解決したようだ。
シュレイダーさんの元パーティーメンバーも、「流石鬼嫁」って言いながら笑ってるし、そろそろお開きになるだろう。
ある程度、帰り際に片付けて帰ってくれていたお陰で、少しのゴミを拾い集めて、寝ている人達を起こして片付けを手伝ったりと1時間程で片付けが終わった。放置されていた道具をギルドに返すときに、貸してくれたお礼を言っておいたので、ギルドでやることは此で終わりだろう。
丁度昼前だ、チノとケイトが食べれそうな物を作ってあげないとね。お粥でいいかな?昨日のご飯がまだ残ってるから丁度いいしね。
市場で買い物を済ませて宿屋の厨房を借りると、お粥を作っていく、今回は卵のお粥だ。
普段作る時は、水で米の粘りが出てくるまでしっかり煮ていくが今回はサラサラと食べれるように、出汁の残りで若干粘りが出たかな?って所まで煮て卵と薬味を入れて完成とした。
二人の部屋にお粥を持っていくと、二人はまだ青い顔をして苦しそうだが、朝よりは大分マシになったようだ。
「ほら、お粥作って来たから食べなよ」
「ぅぅ……お粥?」
「うん、お粥、熱いから気を付けて」
「食べさせてー」
(はぁ、たまには良いか……)
チノが甘えて食べさせてと言ってきたので、どうせならと、二人に食べさせる事にした。
「フーフー、チノ、あーんして」
「あーん、あ!ハフハフ、おいしー」
「フーフー、ケイトも、あーん」
「あ、あーん、ん、うまい」
最後の一口まで残さず食べさせて、二人の顔色もだいぶ良くなった。
それから水差しに水を補充して、二人が寝るまで一緒に部屋にいてから、遅くなってしまったが自分の昼ごはんを食べると、ダンジョン攻略で不足していたアイテムを買ってから俺も休む事にした。
読んでいただきありがとう!
ー情報更新ー
レブナム・フォン・マスルド(9歳)
マスルド家の次男でヒルデルトの弟、兄であるヒルデルトの影響か教育の賜物かは分からないがしっかり者。
良く兄のヒルデルトにくっついて行動しているので、文句は言いながらも兄の事は好きなのであろう。




