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目覚めたら全裸で森でした  作者: マッタ・LI
アルトニアの迷宮
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アルトニアの迷宮、兄と牛

こんにちは‼


いざ!勝負の時!ミルタウロスはどれ程に相手か

あの後からチャックが一晩中、夜の見張りをしてくれたので俺達は全員朝までグッスリ眠ることが出来た。


俺も意識を交代している間に寝る事が出来たのには驚いたが、朝には完全に眠気も無くなって、ついでに怪我も治してくれていたみたいで、何時もより調子が良い。


それと昨日チャックと話して分かったことだが、俺がゲームでクリアしたクエストに酷似した内容の任務を成功させていて、報酬やアイテム、称号なんかも持っていて、何回もクリアするのではなく全て一度の任務で手に入れたそうだ。


そして、一番羨ましいと思ったのが、実はチャックはゲームで言うアイテムボックスの様な格納空間を開く能力を持っていて、格納空間に入れてあった装備やアイテムは此方の世界でも使えるらしい。

らしい……というのは、チャック曰く「装備が強くても本人が強くないと意味ないやろ」だそうだ。

正論過ぎて全く反論の余地が無い……

ただ、俺の死はチャックの死に直結するかもしれないので、即死を防ぐ腕輪だけは貸して貰えた。


さてと、昨日の事より今日のことだ。


今日は、20階層の守護者ミルタウロスとの戦いが待っているんだ……ボケっとしてる訳にはいかない。


チノ、ケイト、俺の三人は朝食の後、腹ごなしも兼ねて軽い稽古をしているし、ヒルトは軽く汗を流した後、瞑想して魔力を高めている。


昼前にいよいよ準備が整った俺達は、20階層の守護者ミルタウロスに挑むべく、階層の守護者が中に居る大扉を開いた。


以前合同パーティーでミルタウロスを倒した事のある二人の話を聞きながら立てた今回の作戦はこうだ。

まず戦闘となる場所は、今までと同じ草原が広がるエリアだが、藁や青草の山が所々にあり隠れる事ができる場所がある。


相手のミルタウロスの特徴は3メートルにもなる巨体による突進と、農具で使われるピッチフォークを使った攻撃だ。

どちらの攻撃も一撃必殺の威力を秘めているが、しかしミノタウロスの様に戦闘に特化したような種族で無いのが幸いしてか、動きはまるで素人の様なぎこちないものらしく、闘いなれた者たちならば攻撃を避ける事が出来るらしい。


なので今回は俺達3人で前後左右から攻撃を仕掛けて気を引いている間に、ヒルトには特大の魔法を準備して貰い、ヒルトの攻撃が当たり次第怯んだところを一気に畳み掛けて勝負を決める事にした。


扉が開き中が見えるようになると、話に聞いていた通り草の山が見え、その奥でミルタウロスが食事をしている所だったのか、草を咀嚼しながら俺達の方をじっと見ている。


ミルタウロスを直に見た感想としては、人の倍はある伸長に丸々と肥えた白黒の斑模様の身体。

ありがとうございます、何処から見ても二足歩行する太ったホルスタインにしか見えません。

四足歩行をしてホルスタインの群れの中に居たら紛れ込めるんじゃ無いだろうか………


さて、そのミルタウロスの方はというと、俺達が武器を構えて取り囲むまで、キョロキョロと此方を困惑したような表情で見ていた。


んー……なんか違うんだよな、牛のボスだったら、もっとこう……ブヴォーーー!とか言いながら、部屋に入って来た瞬間から突撃してきそうなものだと思ったんだけどな……何だこれ……


「え……っともう、攻撃しちゃって良い?」

「うーん、なんか前と違うし、様子見たほうがいいかもー」

「よし!このまま動かなければ、ヒルトの準備が出来るまでこのままでいくぞ!」

「う、うん」


数分後………


「準備出来た……ぞ……?」


ミルタウロスとの戦闘で緊迫した雰囲気が流れていると思っていたヒルトが、あんまりにあんまりな光景目にして驚いている。


今、俺達は、ミルタウロスを囲んで緊張感も無く突っ立っていたからな……驚くのも当然だろう。


「お、やっとか、ヒルト頼む」

「お…おぅ?、巻き込まれないように離れてくれ」

「はいはーい」

そうして俺達は、一応ミルタウロスを警戒しながら距離をとって、ヒルトの魔法攻撃に備えた。


「凍てつき貫け!アイススピアー!」


何時もより多くの魔力を込めたであろう、ヒルトのアイススピアーは何時もは腕位のサイズなのだが、今回は大人一人分位のサイズまででかくなっている。


いきなり空中に現れた氷柱に、今まで何もしてこなかったミルタウロス(デブ)が初めて動きを見せた。

そう、その場で(うずくまる)という動きをだ!

まさに早業、アイススピアーが現れたと思った次の瞬間、恐怖に染まった顔でガクガク震えながら蹲ってしまった………オイ!!!


「………撃っても良いのか?」

「倒さないと先に行けないしねー」

「なんだコイツは」

「撃っちゃってくれ」

「何故か気が進まぬが、これも私達の為だ、糧となってくれ!」


ヴォン!という音を立ててアイススピアーがミルタウロスへ向かって飛んで行く。

一瞬の出来事だったが、あまりの残念さに何処かアイススピアーの何時もは鋭い先端も、今日は何故か丸く見えた気がしたが、しっかりと蹲って頭丸出しのミルタウロスの脳天を一発で貫いた。


ある意味、忘れられない出来事なんじゃないかな、話に聞いていたミルタウロスは、ぎこちないながらも、猛然とフォークを振り回し突撃をして戦うと聞いていて、前回チノとケイトが戦った時は、数パーティー合同で戦ったが苦戦したと聞いていた。


………それがなんだよ、このミルタウロスは……俺達3人はただ、ミルタウロスを囲んで見ていただけだぞ………なーんにもしていない……危ない戦いをしなくて済んだのは有難い話だけど……違うねん!!


もうちょっとさ、異世界のダンジョンに折角来てるんだし、スリルとかドキドキが欲しいなーなんて思っちゃうけど、これなら上の階層にいたゴブリンの方が何倍もましだ……


後々の話だけど、ヒルトが正式に領地を継いだ時に(ミルタウロスを一撃で倒す強い領主がいる)と評判に繋がって、マスルド領の発展に少しだけ貢献した話が有ったとか無かったとか。


そして、ミルタウロスの身体から光が出て来て、いよいよ素材がドロップすると思ったが、光が収まった時にミルタウロスが丸々残っていたので、まだ生きていて第二形態か?と驚いたが、どうやらミルタウロスを丸ごと手に入れる事が出来たようだ。


「「えぇぇー!」」

「なんだと」

「フハハハハハ、流石!私だな!」

「どうしよ!?カケルくん、どうしよ!?」

「え、えー」

「解体だな」

「これはパーティー全員の物だ、均等に分けようぞ」

「そうだな、ケイトの言う通り解体してから考えよう」

「肉だね~」

「うん、肉になるね」

「極上の肉が食べ放題だよ?」

「た、食べ放題、極上……」

「「やっほーぃ」」

「焼肉、すき焼きなんでも良いから肉祭りだー!」

「焼肉?すき焼き?良く分かんないけど、祭りだー!」

「「肉♪肉♪肉♪~♪」」


それからチノと二人で昨日よりも激しく、肉の歌と踊り?をミルタウロスの前でケイトにいい加減にしろと怒られるまで歌い踊り続けた。


今回のドロップはこんな感じだ。

ミルタウロス一頭分の肉、ミルタウロスの魔石(大きめ)、ミルタウロスの頭、ミルタウロスの武器の以上が手に入った。


中でもミルタウロスの肉は最高のドロップだろうと思う。解体している時ですら涎がでそうな程に美しく刺しの入ったサーロインやロース、真っ赤でキラキラと輝くイチボなど、そのどれもが私が最高の肉だと主張してきて俺達を魅了していく。


試しに生のまま少し食べてみたが、醤油や薬味なんて物は必要ないと言わんばかりの旨味が肉から溢れてきた。


これは前に食べた、ラヴァータウロスの肉に匹敵する旨さを秘めているかもしれない。これが食べ放題だと思うと口から涎が思わず垂れそうになってしまう。


全員が全員、少しずつ解体しながら摘まみ食いというワイルドな事をしながら、結構時間がかかったが解体し終える事ができた。


ミルタウロス頭はヒルトにあげるつもりだ、剥製にして飾れば、家を継いだ時にヒルトの強さを他の人物にも知らしめる事ができないかと思ったからだ。


そうしてミルタウロスを丸ごと持ってギルドに帰って、流石に食べきれない分のミルタウロスの肉を引き取ってもらうためにギルドのカウンターでミルタウロスの頭部を見せると、周囲から驚きの声が上がった。


「頭部と大量の肉って…もしかして丸ごとかよ…」

「おい!あんたら運が良いな!」

「俺にも食わせてくれー!」

「肉!肉!肉!肉!肉!」


うわ!ギルドの中にいた人の殆んどから、肉コールをしている。ってギルド職員も!?


「どうする?」

「どうするって、言われてもだよ」

「どうしようも無さそうだぞ?」

「私に提案があるのだが」

「なに?」

「私の分をここに居る全員で食べてしまおうと言う提案だ」

「それなら、俺達からも少しずつ出した方が良さそうだ」

「うん、そうだよねー、皆で食べた方が美味しいよねー」

「ああ、私もそれで良いぞ」

「そうか、ありがとう皆」


ヒルトがカウンターから肉コールを送る人達へ向くと、ここ数日の中で最高の歓声が響いた。


「私たちのパーティーメンバーは、ミルタウロスを丸ごと手に入れる事に成功した!そこでこの私、ヒルデルト・フォン・マスルドのミルタウロス全部とこの3人のパーティーメンバーのミルタウロスを少しずつだが提供してもいい………」

「「「おぉぉぉぉっぉ!」」」

「ミルタウロスを欲する者は、各自食材と酒を持って、ギルドの訓練所に集合してくれ!各々が持ち寄った食材とミルタウロスで盛大に祝おうではないか!時間は4の鐘が鳴った時だ!」

「おっしゃーー!俺様が一番乗りだー!」

「いや!私よ!」

「なに言ってんだ………」


一気にギルド内が騒がしくなると、各自が食材を集めたり、料理しに行ったりする為に、ギルドから一目散に散っていった。

あ……待って……受付嬢さん、貴女まで行ったら俺達が困るよ……


余りにも呆気なくミルタウロスを倒せたお陰で今は昼前だ、時間はまだ余裕がある俺も肉祭りに向けて準備しておかないとな。

読んでいただきありがとう‼


ちゃんと……戦った………よ?


ー情報更新ー


ミルタウロス


ミノタウロスが突然変異したと言われている稀少種。ダンジョン外のミルタウロスは集落を作り独特の生活をしていると伝説があるが、未だにその集落を見つけた者はいないし、ダンジョン外で見かける事も殆どない。

基本的におとなしいが、危険を察知すると攻撃敵になり手が付けられなくなる。

ミノタウロスより小柄でぽっちゃり気味の体型をしているので、運良く見つけて軽い気持ちで攻撃すると、ミノタウロス譲りのパワーで酷い反撃にあう。

今回の話で現れたミルタウロスは恐らく気の弱い特異個体だったと思われるが、誰もそんな話は信じないだろう。

その気になれば一匹で村を壊滅させることが出来るような怪物なのだから。

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