アルトニアの迷宮、兄は戦う
こんにちは‼
書いていると、ヒルトの存在をときたま忘れてしまうw
昨日はチノの作った美味い晩御飯と朝食を食べて、便利グッツ達のお陰で快適に休んだ俺達は、気の休まる事がない筈のダンジョンでの野営を終えて、完全に元気一杯になっていた。
今日は19階層と20階層を繋ぐ所を目標にダンジョンを進んで行く予定だ。
15階層へ降りて来ると、待ってましたとばかりに、鳥の魔物ピアイーグルが群れで襲ってきた。
ピアイーグルは顔の殆んどが鋭い嘴になっていて、翼を広げた時の大きさが4~5メートル以上になる鳥の魔物だ。
ヒルトの魔法では動きが早すぎて当てる事ができないので、ヒルトには防御魔法で障壁を張って守りに徹して貰っているので反撃出来なくても大丈夫だろう。
ピアイーグルの攻撃は単純かつ高度なもので、その鋭い嘴と爪を使って、上空から一気に加速して物凄い速さで地面を舐める様に襲いかかって来ては、一気に上空へ戻って行くという攻撃を仕掛けてくる。
最初はあまりの早さに驚いて動きすら見る余裕がなかった。
しかし今では動き一つ一つが理解でき、少しの動きでどうしてくるか分かるようになってきたので、余裕を持って倒せるようになっている。
俺がピアイーグルを倒すときはこうやっている。
まずはピアイーグルが襲いかかって来る動きを見せたら、直ぐにピアイーグルが俺の横を通過する様に移動する。そして飛びかかってきた来たところを、野球のフルスイング宜しく、剣槍をフルスイングしてピアイーグルをしとめる。
野球の様にカキーン!って気持ちの良い音がすると良いんだけど、そんな事はあるわけもなく。
重い衝撃とズシャ!っという生々しい音と共に、剣槍に潰されてへばり付くか、真っ二つになって後ろに墜落するしかないんだよね……
「うへぇー、カケルくんその倒し方止めようよ」
「そうだぞ、ピアイーグルはこうやって倒すんだ」
チノとケイトの二人には不評だが俺にはこれしか倒す手段が見つからないんだ‼その二人はと言うとチノは弓で正確に一匹ずつ撃ち落としていき、ケイトはギリギリを見極めてすれ違い様に首を切り落としている。
二人みたいに倒せたら俺だって綺麗に倒せるようになるって……それが出来ないから仕方なくこうやって倒しているのに………
ヒルトは………うん……魔法障壁にぶつかったピアイーグルの死体でグチャグチャになってるから、見なかったことにしよう。
それから時間もあまりかからずにピアイーグルを倒し終えた俺達は、ピアイーグルの肉を数匹分と魔石を手に入れて、この鶏肉を使って何を作るか話ながら順調にダンジョンを進んでいった。
そして、ダンジョン19階層までやってきた俺達は、結構疲労していた。
チノとケイト無傷だが少し疲れて来ていて顔にも出ているし、ヒルトは魔力が無くなって来たのか辛そうにしている。
俺は18階層でチャージホースの体当たりを受けてしまい、当たった所がまだ痛む。
その時は何とか直撃は避けれたんだけど、吹き飛ばされてしまい足を捻ったらしく、動けなくなっている所を、チャージホースが止めの突進をして来た時は本気でヤバイと思った。
チノとケイトの二人が助けてくれて無かったら今頃は、大怪我をしていたか、悪ければ死んでしまっていたかもしれない。
まぁ、そのチャージホースは二人の怒りを買って、本気の二人に瞬殺されてしまったんだけど。
その時俺は心に誓ったんだ、二人の怒りを買うような事だけは絶対にしないでおこうと。
そしてチャージホースを倒し終えた二人が駆け寄ってきて、滅茶苦茶に心配されてしまい、ケイトが「おんぶしてやる」って言ってきた時は必死に平気な振りをしてお断りさせてもらった。
ケイトにおんぶして貰ったら、恥ずかしいし何より俺の色々な物が元気になりそうで困るからだ。
そうなったら二人に引かれてしまいそうで、どうしても、おんぶは避けなければならなかった。
それからは、チノとケイトが前を歩き、ヒルトと俺がそれに付いていく形になった。
ヒルトと二人で並んで歩いているとき、コソッとヒルトの奴が「お前って、モテモテで羨ましいな、どっちが本命なんだ?」って聞いてきた時は、ヒルトが貴族だろうが関係なく、思いっきり耳をつねってやった。
それから、何とか無事に19階層と20階層を繋ぐ通路までたどり着いた俺達は、直ぐに野営の準備をして、簡単な食事を済ませてから休むことになった。
「はぁーーマジで疲れた」
「ほんとだよー、今日は疲れたー」
「カケル、怪我は大丈夫か」
「えーっと、、だいぶマシになってきたみたいだ」
「ごめんねー、ちゃんと治してあげれなくて」
「いやいや、気にしないで、階層の守護者と戦うときに薬が足りなくなったら困るし」
「それでも、カケルが辛そうなのを見るのは私も辛い」
「ほんとに大丈夫だって、それより明日戦う階層の守護者ってどんな魔物だっけ?」
「ああ、そういえば言って無かったな、明日戦うのは、ミノタウロスだ」
「マジで!?ミノタウロスってもっと深い階層に出る魔物じゃ無かったっけ?」
「そうだよー、それで合ってるよー」
「そんな相手に俺達で勝てるの?」
「ははは!正式にはミルタウロスという魔物だ、ミノタウロスの様に強くは無いが強敵だぞ」
「お!ミルタウロスと言ったか?」
「ヒルトも知ってるのか?」
「実際に見たことはないが、食べ比べた事があるのだ」
「食べ比べ?」
「そうだとも、以前ミノタウロスとミルタウロスを食べ比べてみたのだがな、私としてはミルタウロスの方が柔らかくて好みだったな。ミノタウロスは食べごたえが有って美味いのだが顎が疲れる」
「うひゃー、贅沢な食べ比べだねー」
「なるほどねー、明日ミルタウロスを倒すから運が良かったら食べれるんじゃないの?」
「ああ、確かにそうだが、ミルタウロスがそのまま残る確率は低いぞ、殆んどが角だけを残して消えるからな」
「えー!食べれないじゃん」
「では、この旅が終わったら私が用意しようではないか!」
「お!ヒルト良いのか?」
「勿論良いとも、礼の1つや2つさせて貰わなければならないからな」
「「ヤッター」」
「二人とも落ち着け」
「「肉♪肉♪肉♪」」
チノと二人でノリに任せたミルタウロスの歌を歌いながら、疲れたのも忘れて踊って過ごした。
交代で見張りをしているので、それ以外の皆が寝静まって魔法石の灯りだけになった夜、交代の時間なのか起こされた気がしたので、起き上がろうとしたのだが、身体が動かなくなっていた。
いや、それは間違いな表現だな、身体は自分の意思とは無関係に動いている。
そして視界も何か変だ、何かあった時の為に寝ている時もテントの中は魔法石の灯りで明るい筈なのに、モノクロの様なノイズが走ったような見えかたをしている。
もしかして今、チャックさんが身体を動かしているのか?そうだとしたら前みたいに真っ暗じゃ無いから怖くは無いけど、ゲームの一人称視点みたいに感じるから何か変な感じする。
俺の前は確か、チノだった筈だけど……まさか!
チノに何か如何わしい事をするつもりじゃ……
「アホか!そんな事できるか!」
(あれ?……伝わってる?)
「カケルやったな?ゲームみたいやーとか息子が元気になりそうだーとか、ぜーんぶ丸聞こえやで」
(えぇぇ!嘘 !?もうお婿に行けない)
「いやいや、同じ身体やないかい、確かにケイトちゃんみたいな別嬪さんに、おんぶされたら元気になるやろうしな」
(なんだ、チャックさんもか……って、そういえば初めましてカケルです。よろしくお願いします)
「ああー、確かにカケルと話すのは初めてやったな、こちらこそよろしゅう頼むわ、後、同じ身体なんやさかい、言葉遣いも変えんでええで」
(そ、そうだね、確かに長い付き合いになるからね)
「そう言う事や、んじゃ俺が見張りしとくさかい、カケルは休んどき」
(ええ?ありがとう……でも少しだけいい?)
「なんや?」
(チャックさんって関西人?)
「関西!?なんやそれ?、あ、さん付けるのも要らんで」
(わかった…そうするよ。しかし関西を知らないなら、なん関西弁なんて知ってるんだ?)
「んなもん知らんわ、産まれた時からこのしゃべり方やったんちゃうか?」
(それじゃぁ、何処の出身だよ)
「オプスやオプス、まぁ知らんやろな」
(え!オプス!!!ホントに?)
「嘘やあらへん、オプス生まれのオプス育ちやで、なんやお前オプス知っとんか?」
(知ってるも何も、俺がやってたゲームの舞台がオプスで、チャックの姿も俺が使ってたアバターと全部一緒だったんだよ)
「なんや、珍しい事もあるんやな」
(それじゃぁ、チャックって、磯の金チャックって呼ばれたりしてなかった?種族はハイヒューマーで、エースとか英雄とか呼ばれたりも)
「なんや、二人から聞いたんか?」
(聞いてないよ、二人からはチャックって言う名前と、滅茶苦茶強かったって話だけだね)
「じゃぁ、なんで知っとるんや」
(他にも知ってると思うよ)
それから、俺の知ってるゲームの中のチャックとと、オプス生まれのチャックとの違いを探した。
俺がゲームで手に入れた、武器や防具、称号にクリアしたクエストなど色々比べたりして色々驚く事になった。
「そろそろ、チノちゃんが起こしに来る頃やさかい、カケルも寝ときや」
(うん、ありがとう、お陰でゆっくり寝れるよ)
読んでいただきありがとう‼
ー情報更新ー
ピアイーグル
ダンジョン外では見晴らしの良い山間の草原や海などで見かけることがある。
ダンジョンでは人や魔物を見境なく攻撃してくるが、ダンジョン外のピアイーグルは主に小型の動物や魚を主食しているので、無闇に住みかに近づかない限り襲われる事は少ない。




