アルトニアの迷宮、兄の実は……
こんにちは‼
今回はちゃんと?ダンジョンに入りましたよ
二人に約束を取り付けた翌日、眩しい朝日に照らされて今日も朝を迎えた。
しかし今朝はケイトか………
背中を向けて俺のベットでスゥスゥと寝息を立てて寝ていらっしゃる。
チノもそうだけど、いつの間に潜り混んで来るんだか……
昨日の俺の予想ではチノが今朝も忍び混んでいると思っていたけど、どうやらハズレてしまったようだ。
ケイトってこういう事をしてくるタイプとは違うと思っていたけど、たぶんチノに何か言われて俺のベットに潜り混んで来たんだろうな。
「ケイト、起きて」
「ん……」
ケイトがこんなに眠そうに起きて来るなんて珍しいな、一体何時ごろまで起きてたんだか。
「おはよう」
「お、おはよ…」…ガタン!
「大丈夫!?」
「あ、いや、その、」
あ……ケイトがベットから落ちた……。
しかし耳まで真っ赤にしてあたふたしてるケイトなんて滅多に見られないんじゃ無いだろうか、脳内フォルダに永久保存決定だな。何時も凛々しいケイトがあたふたしているのを見ていると何時もより数倍可愛く見える。
「ほら、起きて」
「あ、ああ、すまない」
「ケイトって可愛い所もあるんだね」
「か、かわいいなんて、私には似合わない」
「耳まで真っ赤だよ」
「これは、カケルが悪い、こんな女らしくない身体を見ても嬉しくないだろう」
「え、ぃゃ…凄く、み、魅力的だと思うよ」
「お世辞なんか言わなくてもいいぞ」
「ホントだって……」
これは本心から思ってる事で、長くて艶やかな髪も、筋肉質だけど女性らしい柔らかさも、そして何より胸の装甲が立派過ぎるんだよな。
普通もしくはリンゴなんて生易しい物じゃない、巨乳もしくはメロンやスイカ、っていう言葉が多分正解だと思えるサイズの物が重力に負けずにそびえ立っているんだから。
「ケイト、一つだけ言わせてもらう、人前で私は女らしくない、なんて言うのは絶対に禁止な」
「そこまで言うのならカケルを信じよう」
「ハイハイ、デカ乳のケイトの話は終わりにして、早く行くよ!」
「って、いつの間に入って来たんだよ」
「カケルくんが、ケイトの胸を見ながら魅力的って言ってた所からだよーだ」
「む、胸!?」
「いや、ケイト?ケイトは胸だけじゃ無いからな」
「ふん!胸だけを見て言う奴など信じられるか」
「って、もう!早くいくよー」
その後、ケイトの機嫌を直すのに時間がかかったが、ギリギリ約束の時間には間に合った。
「お!来たか」
「ヒルト、悪いな待たせたか?」
「いや、私もさっき来たところだが、後ろの二人がカケルの仲間か?」
「そうだ、二人とも俺の先輩で、チノとケイトって言うんだ」
「ヒルトくんだっけ?よろしくねー」
「ケイトだ、よろしく」
「すまない、私の方から名乗るべきだったな、私は、ヒルデルト・フォン・マスルドと言う、よろしく頼む」
「「うそ!!!」」
「ああ、家の事か、私の家はマスルド領を預からせて貰っている、子爵家の長男だ。カケルから聞いていないのか?」
「「いえ!聞いておりません」」
「どうしたんだ二人とも?ヒルトがどうかしたのか?」
「ちょ、カケルくん!なに呼び捨てにしてるの!?」
「いや、だってヒルトで良いって言ったし」
「ヒルデルト様、大変申し訳ございませんカケルには後で教えておきますので、ご容赦をお願い致します」
「ハハハ!いや、良いんだ二人とも、カケルの言う通り気を使って貰う事はない」
「ですが……」
「今の私は、只の新人冒険者で、先輩冒険者の二人に気を使われたら、此方としても気を使ってしまう。それと話し方も何時も通りでお願いする」
「そ、それならしかたないか」
「分かった」
「ヒルトが実は貴族って事は分かったけど、変わらずに話をすれば良いって事で良いんだよね?」
「ああ、そう言うことだな」
「それじゃ、纏まったみたいだし早速いきますか」
「はぁ…なんかダンジョンに逝く前から疲れちゃったよ……カケルくん成分補充させてー」
「成分ってなんだよ」
俺から何かの分泌物が出ているか知らないけど、チノが何時もの様に腕に抱き付いてきて、そのままダンジョンに向かうことになった。
そして、ダンジョン11階層に着いた俺達は、俺とチノが前、ヒルトが真ん中、ケイトが後ろのフォーメーションで進んで行く事になった。
因みに俺一人で来たことのある階層は13階層までで、11階層からは本格的に難易度が上がっていて、中々先に進めないでいる。
11階層は、草原が広がっていてまばらに木が生えているだけなので見通しが良いのだが、魔物が普通にそこら辺を歩いているし、突然何も無いところから魔物が現れるなんて事もあり、必然的に戦闘回数が増えてしまう。
この階層に居る魔物は動物系の魔物が多く、群れで襲いかかってくるグレーウルフや、ダンジョンの空を飛んでいるピアイーグル、木の上に巣を作っているキラービー等がいる。
そして面倒なのが上の階層にも居たゴブリン、コボルトなのだが、強く賢い個体が多く、簡単な鎧や剣や槍で武装していて、かなり強化されているし群れで襲ってくる。
俺一人でこの階層に来ているときに出会うと倒すのに一苦労してしまう相手だ。
更にこの階層には気を付けなければならない魔物が居て、グリフィン等の上位の魔物が現れる事があり、見かけたら直ぐに隠れないと一瞬でそいつらの餌になってしまう。
俺も一回だけ体長数十メートルの鷲の様な魔物を見かけた事があったんだけど、その時は馬の魔物が餌食になっていた。
俺がチャージホースを倒そうと思ったら、堅い毛に守られた身体は中々刃を通さないので、少しずつ体力を削ってから弱った所で止めをさすって感じなんだ。
そのチャージホースを、あのデカい鷲の魔物は、容易く堅い毛を貫き、鷲掴みにして一瞬で空の彼方へと持ち帰っていった。
その時は生きた心地がしなくて、暫く放心してたな。
そんな苦労をして攻略していた11階層も4人で進むと楽に攻略できている。
俺達4人の内、2人は中層まで行っている先輩冒険者だし、1人は高火力の魔法で次々に魔物を倒している。
俺は……あれ?殆んど活躍できてないな………
さっきもグレーウルフの群れと戦闘になったんだけど、チノは圧倒的なスピードで次々と急所を的確に攻撃していき、ケイトは繊細な剣捌きで近寄ってきたグレーウルフを仕留めている。
ヒルトも二人には及ばないが、ファイヤーボールの魔法かな?を飛ばしてグレーウルフを黒焦げにしているし………俺は……数匹は倒したと思う。
そう俺は慎重派だから一体一体を確実に倒していったんだ……慎重派だからね………
そうして何度も魔物に襲われながらも、15階層まで進んだ所でダンジョンの空が赤く染まって来たので、15階層の出入り口近くで野営をすることになった。
何故、階層の出入り口近くなのかと言うと、階層の出入り口付近は、突然キャンプの真ん中に魔物が発生することも無いし、あまり近付いて来ないのでダンジョンの中では比較的、安全地帯となっている。
「さーて、今日はもう休もうかー」
「あ、俺、この前野営に便利そうな道具買ってきたんだけど使っても良いかな?」
「ほう、どんな物だ?」
「フ、フ、フ、これだー!冒険者の便利ポケットーっ!」
「おぉー!いいなーそれ欲しかった奴だよ、何処で買ったのー?」
「昨日、引退するっていう冒険者の露店で見つけたんだ」
「うそー!教えてよー、そう言う引退するって人が売ってる店は掘り出し物が結構有るのにー」
「ごめんごめん、今度は教える様にするよ」
「まぁ、いいではないか、早速使ってみてくれ」
「ではではー」
さぁ!いでよ!便利グッツ達!俺も初めて出すからワクワクするぞ。
えーと、竈セットに調理道具一式、内部が魔法で拡張されている小型の簡易テントが一つに、魔物避けの札、テーブル、椅子にお皿に食器達っと……結構入ってたな。
まず小型のテント内部は、かなり広くなっていて布団も備え付けてあり、十人位でも余裕で寝れるスペースは有るんじゃ無いだろうか。
そして、竈セットは煮る焼く炒める等ができて、食材さえ有れば何でも作れそうであり、鍋にフライパン、串等も揃っていて充実し過ぎている。
他の道具も中々に良いものが揃っているから、これは本当に大当たりの物を買えたな。
というか、これを持っていた冒険者って何者だったんだろう……今更気にしても仕方がないか。
「ちょっと!カケルくん、これは凄いよ!凄すぎるよ!」
「本当だな、一体どんな人から買ったんだ」
「な!冒険者とはこういう者なのか?」
「ヒルト、間違ってもこれが普通だと思うな」
「うんうん、野営は焼いただけの肉とスープが有れば豪華な食事で、マントか寝袋で交代しながら寝るのが普通だからね」
「で、では、これはなんなのだ!まるで楽しいキャンプの様な物だぞ」
「恐らく、前の持ち主が拘って作らせた特注品だろう、上級冒険者の中にはそう言う者が居ると聞くしな」
「なるほどな、私は運が良かったのだな」
「どうだ、中々良い買い物しただろ?」
「十分過ぎるよ、よーし!こうなったら、美味しいご飯を作っちゃうからねー」
「やった!チノの料理が好きなんだよな」
「もぅ、カケルくんったら~、頑張っちゃうからね」
「ああ、ヒルトも期待していいぞ」
「分かった、楽しみにしておく」
最近は宿暮らしだったから、チノの手料理を食べるのは、アルトニアへ来るときに食べて以来になるのか……チノの料理は美味いから楽しみだ。
そういえば、ケイトも作ってくれるって約束してたけど、良い機会だし今度頼んでみようかな。
読んでいただきありがとう‼
ー情報更新ー
グレーウルフ
主に数頭から数十頭の群れで生活をしている。ダンジョンの中のグレーウルフは上位種のウルフ種が混じって居ないが、ダンジョン以外に生息しているグレーウルフは、上位種を頂点として群れを形成しており、脅威度が跳ね上がる事もある。
有名な話だと、グレーウルフが何回も進化をしたアビスウルフに率いられた群れが街を食い尽くした事件が過去にあり、グレーウルフを発見した場合、討伐が推薦されている。
ーチャックの独り言ー
お、カケル!マジでやるやんけ!これで俺達の旅も快適になるってもんやな。
さーて、チノちゃんの手料理は初めてやさかい、今から楽しみでしゃーないな。




