アルトニアの迷宮、ただいま!もう食べてるわよ
こんにちは‼
今日はカケルを虐めよう思ってたのに、、、、、、なぜだーーー!!(血の涙)
真っ暗で何も見えない、身体もほとんど感覚が無くて動かない、何も聞こえない、自分が今どんな体制なのかも分からない。
正真正銘の真っ暗の中でどんなに叫び、もがいても現状が改善されそうな気配は全く感じられない。
何時間経ったんだろう、時間の感覚も全く分からなくなった。数分か?数時間か?数日か?
不意に身体全体に感じる浮遊感と衝撃が何かが起こってる事を教えてくれるが、今の俺にはどうしようもない、ただ恐怖心と悲壮感が積もっていくだけだ。
こんなに怖い思いをしたのは、あの森の中に居たときと、罰ゲームでジェットコースターに乗った時以来かもしれない。
最近はチノとケイトが一緒に居てくれるから何も怖がらなくて済んでいるけど、独りだと俺は相変わらず怖がりだ。
それから、ずっと二人の名前を叫び続けた、もしかしたら見つけてくれるかもしれないと信じて、何回も何回も…
「堪忍やで、近い内に会おな」
突然そんな声が聞こえた、知らない筈なのに何処か懐かしく感じる人の声が聞こえたと思った瞬間、視界が真っ白に染まって目の前に二人の姿が見えてきた。
「あれ?」
「カケルくんなの?」
「えっと、あれ?」
「お前は今、カケルなのか!?」
「よ、よく分からないけど、カケルだよ」
何が起きたかも分からないし、長い悪夢の様な場所から出られたと思ったら。
何処だここ?やたら豪華でとても美味しそうなサラダが何故か人数分置いてある。
そして部屋もテーブルも全てが洗練された落ち着いた雰囲気で統一されていて、俺にはとても場違いに感じる。
何が起きたか全く分からなくなった。
この料理にこの部屋はなんだ?
ただ分かるのはチノとケイトに、何故か泣きながら抱きしめられているって事だ。
「えっと、何かあった?」
「よがっだよーよがっだよー」
「グス…おかえり」
「わ、分からないよ…」
少しの間二人が放してくれそうもなかったので、二人が落ち着いてからようやく何が有ったのか聞くことができた。
その衝撃的な話を聞いて、少し混乱したけど何とか理解できた。
1つは、俺の中にもう一人の人格というかチャックという人物がいて、恐らくゲームのアバターに近いか同じ人物が居る事。
2つ目は、今日閉じ込められていたと思っていた場所は、チャックが主人格になっていて俺が表に出ていなかったから、それが原因だったこと。
3つ目は、チャックって人は自由に意識が出たり入ったり?することが出来て、俺にはできない事。
4つ目は、チャックさん曰く、その内何とかするからそれまでは、チャックが主人格の時に静かに待っていて欲しいらしい…俺は悪くないと思うけど、なんかごめんなさい…
こんな所だったけど、これってチャックの気分次第で俺は一生あそこに閉じ込められるかもしれない。
チャックさんと仲良く出来るようにしとかなければ俺の人生が色々な意味で真っ暗になってしまう。
「カケル、表情が暗いがどうした?」
「チャックさん次第で、俺を一生あそこに閉じ込める事も出来るんだなって考えてしまって…」
「なるほどな…」
「大丈夫だよ!その時は私達がなんとかするから」
「チノ、ありがとう」
「そういえば、チャックが異世界を楽しみたいって言ってたぞ、カケルが楽しいと思う事をやるのがいいのではないか?」
「そうそう、カケルくんが楽しいこと一杯すれば良いんだよ、私達も一緒にいるからさ」
「楽しい事か…」
「そうだよ、楽しいこと」
「わかったけど、一緒に居てくれるって言ったけど、俺って一応一人で二人だけど気持ち悪くない?」
「うーん、チャックさんの事はまだ、よく知らないけど、カケルくんが一緒だから一緒が良いんだよ」
「無理しなくて良いんだよ?」
「鈍いよ…鈍すぎる!」
そう言ってチノが俺の所まで来て、何時もみたいに抱き付いてきて来たと思ったら、俺の唇に柔らかい物が重なった。
「ンーーー!」
「これが私の気持ちよ、わかった?」
「え、?今のって、えぇぇぇ!」
「えぇぇ!ってなによ?私じゃ嫌だった?」
「嫌じゃ無いけど、ビックリした」
「っちょ!チノ!おまえ!」
「どうしたのよ、ケイトも一緒なんでしょ?」
「え、ケイトも?」
「わ、わ、わ、私は………ダメ!今は無理、だ……」
「あんな事言ってるけど、ケイトも私と同じ気持ちを持ってるから、嫌って言われても付いてくつもりだからね」
「そ、そうなんだ、ありがとう」
「カケルくんに好きになってもらえる様に頑張るからね。ね、ケイト?」
「っぁぁぁ、ふ、ふっつかもので、ですが、よ、よろしくぅ…ぉ○☆◇△□▽」
「よろしく、ケイト、チノ」
「さてとー!まだ大丈夫かな?まだ料理が有るみたいだし、呼んでくるねー」
「ち、チノ?、ちょっと?」
「アハハ、ケイトがそんなに恥ずかしがり屋だとは思わなかった」
「い、いや、これはだな…」
「ホントにありがとう、これからもよろしく」
「あ、ああ、よろしく」
「ただいまー!もう少ししたら来るみたいだよ」
それからチノと一緒に入ってきた給仕さん達をみて、ギョ!っとしたりしながら料理を待つことにした。
此処のお会計はチャックさんから預かってるみたいで、一安心したけど此処ってメッチャ高いんじゃ…?専属の給仕人が付くって普通のレストランじゃ無いだろ。
「お待たせしました、フェアリーフのスープになります」
んほ!新緑を思い浮かべる様な色のスープが来た、深い甘い香りと少し効かせた爽やかな香りが絶妙なバランスで口に広がっていく…地球で食べた事のある近い物は、ビシソワーズかな?そもそも違う料理だけど、俺の知識の中では一番近いと感じるのはこれだな。
「お待たせしました、本日のパンはコルベリア産の穀物を使用した物になります」
ん?これは……まさか!米だ!米粉のパンだ!この異世界に来てからインディカ米に似た食べ物は有ったけど、これは間違いようもない!ジャポニカ米、日本の米の風味に良く似ている!
「あの、すみません、これって元は白くて丸い粒々の食べ物だったりしますか?」
「はい、良くご存じでらっしゃいますね、こちらはコルベリアで主に食されています、コルライトを使っております」
これは一度コルベリアに行くしかないな、俺の中でコルライト=米だ!ヒャーハーと、俺が叫んでいる。
「お待たせしました、ポルタナで獲れましたベビーシードラゴンのテリーヌになります」
「えぇ!ベビーシードラゴンって滅茶苦茶ヤバイやつだよ、どうやって倒したんだろー」
「あるSランク冒険者の方がベビーシードラゴン仕留めたのを、たまたま私共にご縁があり…」
「やっぱ凄いねー、Sランクの人って流石だー」
ドラゴンってまじですか!しっかりした歯応えもあるけど、柔らかい肉質でサッパリいける。また機会が有ったら是非食べたいと思える。
「お待たせしました、ウィズブラッドのソルベになります」
なんか名前が恐ろしいけど、んー?これは、イチゴとなんだろう、ブドウみたいな感じのフルーツを使ったやつかな?結構強い風味があるけど、スッと消えていくから後に残らない。
「お待たせしました、本日、ここアルトニアで獲られたばかりの、階層守護者・ラヴァータウロスのステーキになります」
「あーあーあー」
「ふふふふふふ」
???二人共、何かわかった様な目でこっちを見てるけど、どうした?俺って何かした?
ッハ!まさか、チャックさんか…チャックさんなんだな犯人は…
なんだこれ!肉汁が止まらない、まるで洪水の様に噛めば噛むほど、極上の旨味を含んだ肉汁が流れて来る。こんなの地球では絶対に食べられないと断言できるな、だって肉の量と肉汁の量の比率がおかしすぎる。
「お待たせしました、トライゴルドのチーズの盛り合わせになります」
やっぱ高いチーズって、味というかなんか違う。
まぁ、コンビニで買えるようなチーズしか食べる機会が無かったもんな。何回か仕事終わりに良いところ行って食べたけど、それっきりだし比べようが無いけど、とにかく濃厚ってのは分かる。
「お待たせしました、デザートのワイルドツリーの果実を使った物になります」
既に満腹だけど、これは別腹が覚醒してしまう。
見た目は可愛いく一口サイズで作ってあるけど、一口食べる度に淡い甘酸っぱさが広がっては消えていき…まるで淡雪のようだ。それに吊られてもう一つもう一つって無限ループが完成してしまう。
これは危険な食べ物だ…気が付いたら丸々と肥っていたなんて事になりかねない。
満腹になりすぎた俺達は暫くの間、動くに動けず少し休んでから馬車で送って貰ったが。 帰りはアルトニアの迷宮が終わってからの旅先についてどうするか話していたので、あっという間に宿についてしまった。
読んでいただきありがとう‼




