アルトニアの迷宮、旅の初日と爆弾準備
この話から、次の章です
ダンジョンをメインにしていこうかと、
荷物をまとめて何も無くなった部屋で
「道具よし!武器よし!忘れ物無し!」
何回目になるか忘れたけど、日が昇る前から何回も荷物の忘れ物が無いか繰り返している。
今日はこの町から出てダンジョンのある街に向かうんだ。
約束の時間の鐘の音が鳴ったので、どれだけ見直しても部屋には元々あったもの以外、何も無いけどもう一回確認してから部屋を出てもう一回部屋を見回してみた。
この部屋に、もう戻れない訳では無いけど、たった数週間過ごしただけなのに来たときと同じ様になった部屋を見ると寂しく感じてしまう。
そんな感傷に浸っていると、そんな気持ちは知りません!って感じで、誰かが後ろから抱き付いてきた。
「カケルくん!オハヨー」
「カケル、おはよう」
「あ、チノさんケイトさんおはようございます」
何時ものように挨拶をしたら、チノさんが何やらご機嫌斜めになってしまった。
「あーカケルくん!昨日の約束はどうしたの?それと昨日、二人で話したんだけど、私達二人の事はさん付け禁止ね」
あれって昨日だけじゃ無かったんだ、、、
「あっと、そうだった、改めて…二人ともおはよう、、、って、ケイトさんもそれで良いんですか?」
「さん付けるの禁止!」
「ああ、いいぞ普通に喋ってくれ」
「ケイトさ…いやケッケイトがそれで良いならそうするよ」
これは慣れるしか無さそうだ、チノさ、チノもご機嫌になったみたいだし
「ウンウン、それで良いよ」
「所でカケルくん、部屋の中見てどうしたの?」
「なんか、少しの間だけだったけど、ちょっと寂しいなーなんて」
「それなら、私が寂しさを満たしてあげようか?」
そんな事を、耳元で甘い声で囁かれたら俺はもう、、、ってこの人は何を!ケイトが冷たい目でこっちを見てるし
「っっっ朝からなに言ってるんだよ、それにそろそろ離れてよ!」
「むぅ~ケチだな~」
「チノ、カケル、遊んで無いでそろそろ行くぞ、そろそろ依頼者が来る頃だ」
「はいはーい」
「依頼って?」
「カケルには言って無かったな、アルトニアにただ歩いて行くよりも、ついでに護衛依頼を受けておいた方が向こうでの資金の足しになるし、カケルの経験も積めるからな」
話を聞いていくと、昨日、チノと二人で遊んでいる間に、ケイトがただ移動するだけよりも護衛依頼の経験をさせてあげれるからと、簡単な護衛の依頼を受けておいてくれたんだ。
二人で遊んでいる間にそんな気遣いをしてくれるケイトさんにマジ感謝です!女神です!
ロビーで護衛のやり方等を話していると、20台半ば位の青年が受付の人と一緒に歩いてきた。
「こちらが今回、護衛の依頼を受けたパーティーです、気を付けて行ってらっしゃいませ」
この人が護衛をする人か、人当たりが良さそうな好青年って感じがするな。
「待たせたかな?」
「さっき来たとこだよー」
「そうですか、行商をやっているニコと言いますアルトニアまで護衛の方お願いします」
挨拶もそこそこに西の街に向かう為に移動を開始した。この町の特産の深緑の森のから採れる物やそれを加工した、素材や品物をアルトニアまで売りに行くので、その護衛を俺達が受けた形だ。
アルトリアまでの道は盗賊があまり居ない代わりに、深緑の森から出てきた魔物が襲ってくるらしいので、護衛も無しに行こうとすると、特にゴブリン達に狙われて危ないと言っていた。
今回、護衛する馬車は、馬一頭に荷車を引かせるもので、馬が襲われて怪我をすると移動が困難になるので、馬の左右にチノとケイトが一人づつ付いて、後ろに俺の配置で護衛する事になった。
今日、初めて二人の装備を見ることになったけど、チノは急所を光沢を消した金属で守った布地の軽装で、武器は短剣二本と弓でアサシンの様な格好をしている。
ケイトの装備はエストックの様な剣と動きやすさを重視した金属製の軽鎧を装備している。
護衛の配置や襲われた時の作戦を決める時も、慣れたように話を決めていくので、流石は先輩冒険者なんだと改めて気付かされた。
今日は特に何事も無く順調に進んでいる、有ったといえばスライムが数匹出てきた位か。
そのスライムも前に居る二人が片手間で倒していたので俺の出番は今のところ一回もない。
そのまま何事もなく、馬を休ませながらゆっくりとアルトリアに向けて進んで、夕方前に野営をするのに調度良い場所を見つけたので、今日はそこで野営をすることになった。
ケイトがテントを張る役割をして、チノが土魔法で作った簡易の釜戸で料理をしている。
俺は土魔法で地面を押し上げて、馬を守る為の壁を作る役で、夜にいきなり襲われても馬を出来るだけ守れるようにするためだそうだ。
壁を作り終わって、チノ達の方へ戻ると既に良い匂いがしていて、一日歩いて空腹なお腹が早く食べろとグーグー音を立てて訴えてくる。
料理を作っているチノや隣でそれを見ているケイトを見ていると、この異世界に迷いこんだ時は、食べ物も満足に無いまま森を宛もなく歩いて、夜は魔物の声に怯えて過ごした時が嘘のように思える。
「もーカケルくんったら、お腹の音がここまで聞こえるよ」
こうやって話しかけてくれる人がいて、安心して夜が迎えられるのは本当にあの時と違いすぎて嬉しくなってしまう、これからもこうやって過ごせるんだろうか。
「カケルくん?…おーい!カケルくんどうかしたの?」
「ん?ごめん、お腹がすいて料理に目がいってた」
「へんなの~」
「だって、凄く良い匂いがするから」
「ふふふー分かる?今日は自信作だよ、初めて一緒にするでしょ、だから気合いを入れて作りましたー!」
「確かに美味しそうですね」
「ニコさんも分かってくれますねー」
「それよりもチノ、早く食べないか?」
「ケイトはせっかちだなぁー、取り分けるからちょっと待ててねー」
楽しそうに笑いながらチノが収納から出した、木の器に自信作のクリームシチューを取り分けてくれる、ゴロゴロと肉と野菜が入っていてとても美味しそうだ。
「チノ、美味しいよ」
「うん!旨いぞ」
「確かに美味しいですね、まさか移動中にこんな美味しい食事を頂けるとは思わなかったのです、貴方達を雇って良かった」
「それほどでもだよー」
チノの作った自信作のクリームシチューを食べながら、さっきニコさんが言っていたことで、疑問に思った事が有ったので聞いてみることにした。
「ニコさん、何時も移動する時ってどんな物を食べているんですか?」
「ああ、カケルくんは初めて護衛依頼を受けたんだったね、何時もは干し肉と乾燥野菜で作ったスープとパンで、腹が膨れれば良いっていう冒険者は、携行食を水で流し込むだけなんて人もいたよ」
前者はまだ良いけど、後者だけは絶対に嫌だ、旅の最中に美味しいものが食べられるように努力しようと心に決めた!
「どうした?カケル」
「今の話を聞いてたら、旅の食事はマトモな食事を食べれるように努力しようって思った」
「なるほどな、それは重要な事だな」
「ケイトは食べるの好きだもんね」
「ああ腹が減っていては満足に動けないからな」
「今度、ケイトの料理も食べさせてよ」
「あーカケルくん、、それはー」
チノがケイトにバレないように何かを伝えようとしてくるが、いまいち分からないな。バレないようにやり取りをしていると、少し考えていたケイトが胸を叩いて
「ああ、任せておけ!街に着いたら舌が唸るような物を作ってやる」
と自信満々に言ってくれたから、アルトニアに着いたときに楽しみがまた1つ増えた。
「ぁぁあぁあ」
「どうした?チノ」
チノの様子がおかしいけど、ケイトさんが作ってくれる料理も楽しみだ。
読んでいただきありがとう‼
ー情報更新ー
アルトニアまでの道:町周辺は平原が広がっていて危険も少ないが、途中に深緑の森を切り開いて道を作った場所があり、そこで護衛を付けない人が襲われる事がある。冒険者や戦える人にはあまり脅威となる魔物は出てこないが、戦いを職業にしていない人々が通るには危険な魔物の出現が良く確認される。




