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ゼーン ~戦火に咲く灰色の花~  作者: ちゅーおー
12/25

第9話

作者体調不良により更新が遅れました…申し訳ありませんm(_ _)m


視点:バレーノ




オースが戻ってこないので、ハビアンが俺に氷のうを渡してくれた

叩きつけられた衝撃で脳震盪を起こした可能性があるから念のため…だそうだ

(ハビアンに揺さぶられたからな気もするが)


どうやら俺たちは怪我に気づかないこともあるらしい

元々怪我をするような環境になかったのだろうとハビアンは言った

それで痛覚が鈍くなっているということか?

俺にはよくわからなかった


頭に冷たい氷のうをあてる

ひんやりとした氷が、すっきりと頭を整理させてくれた


プラーミャは変わらずベッドに座り、こちらをじっと見ている


そんな彼女を見てふと浮かんだ疑問をハビアンに聞いてみた

「俺たちは他に普通の人間と何か違うところはあるの?」


メディウムの人たちには罰があることと、体が丈夫なこと以外になにか人間と違うところがあるのだろうか


…罰がない俺に、他に彼らとの共通点があるのだろうか


何はともあれ、知っていたほうがいいと思った


ハビアンは少し考えるような顔をして、思い出したように言った

「バレーノ、お前1ヶ月って言葉は知ってるか?」


「1ヶ月…?ああ、30日間くらいをまとめてそう言うんだろ?主…俺のいた町の町長が客人と話してたのを覚えてるよ」


なんでそんなことを聞くのだろう?


「そうか。なら1年って言葉は知ってるか?」


「…いちねん?なにそれ?」


ハビアンはやっぱりかというような顔をする

「1ヶ月を12回繰り返すと、1年になるんだ」


へえ…知らなかった

読み書きは幼い頃からできていたが、そんな言葉は見たことも聞いたこともなかった


ハビアンは少し試すように言った


「人間はな、1年に1歳、年を取るんだ」


…え?


「…そんなのあっという間じゃないか」


ハビアンはおもしろそうに笑った

「これが俺らと人間との違いよ。俺たちは人間より年を取るのが遅い。俺たちはだいたい5年に1歳…ってとこかな」


驚いた

人間は1ヶ月を12回繰り返しただけで1歳年を取るのか…それくらい感覚的にはあっという間に過ぎていた


待てよ、俺は自分のことを17歳だと思っていた

ということは本当は…

なんだか変な気分になって考えるのをやめた


そして思い出した

オースが俺に年齢を聞いたとき一瞬考え込んだろうに見えたのは、これが理由だったのか


ハビアンは続ける

「バレーノが高級奴隷だったのもそれが理由なんじゃないか?なるべく他の奴隷と関わらせないようにしていれば自分のおかしさを自覚させずに普通の奴隷の倍働かせることができる」


合点がいった

なるほどだから町長は客人に会う度に俺を連れていき、周りの奴隷の様子をわからないようにしていたのか


あの頃は周りに興味なんてなかった

ただ町長の機嫌だけを考えていたから、他の人の変化に気づかなかったのか


あげく俺は、町長が年々白髪が増えていくのを見て、てっきり時期に年を取るのがはやくなるのだろうかと勘違いしていた


根本的に間違っていたのか…


あれ、でもなんで…俺は自分が17歳だと思っていたんだろう?


流れ行く日々のなかで、無意識に俺は自分の年齢がわかっていた

この年齢感覚に間違いはない気がするんだ

でもいったいどうして…


俺は、どこかで、自分のこの不思議な特徴を、知っていた?


ふと我に返って顔をあげると、ハビアンは楽しそうににこにこ笑っていた

プラーミャも興味ありげに俺を見ている


…なぜか恥ずかしくなった


「後は頭の回転も人間よりはやくて、戦闘能力も高いらしい。ほら、俺が教えた短刀の形をお前はすぐ覚えただろ?あれも人間じゃありえないんだよ」


これまでの俺にとっての当たり前がすでに普通じゃなかったのか…違和感だった


難しそうな顔をしている俺を見てハビアンはまた楽しそうに笑った

「驚いたか?まあ俺たちも最初はびっくりしたからな!後は―いや、これはまた今度にするか」


ふっとハビアンの口調が変わった


振り返ると、そこにはオースがいた


オースはマスクをつけたままほほえんだ

「バレーノ、今日は疲れたろう。夕食の用意をしたからおいで。ハビアン、その話はまた今度でいいね?」


少し口調をきつくしたオースにハビアンは苦笑いを浮かべながらうなずいた


まるでハビアンがこれ以上話すことを止めたようだった


不思議に思いながらも医務室を後にしようとする


オースのそばに行くと、オースは小さく俺にささやいた


「まだ知らなくてもいいことだってあるよ。そのうち…ね?」


オースは何かを知っているのだろうか…まぁすでに十分すぎる情報を得た

また後日、しかるべき時に知ることにしよう


焦ることはないのだから―


食事を終えた俺は自分の部屋に戻り、シャワーを浴びてさっさと眠ることにした


今日1日でたくさんのことがあった

思っている以上に体は疲れていたのか、今日のことを整理するつもりだったのに、ベッドに入るやいなやすぐに俺は深い眠りについた


そこで俺はまた夢を見た




第10話へ続く

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