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場面27:冒険者ギルド紹介

翌日の昼過ぎ、俺たちは改めて冒険者ギルドの扉をくぐった。


目的は、俺とセラ、そしてフェリシアさん、ミミの四人で正式なパーティとして登録するためだ。ダンジョン攻略は成功したが、活動を続けるにはギルドへの登録が不可欠となる。


一歩足を踏み入れると、昨日と同じ熱気が俺たちを迎えた。


エールと汗、様々な匂いが混じり合った独特の空気。屈強な冒険者たちの喧騒。壁一面の依頼書を吟味する真剣な眼差し。辺境都市フロンティアの活気を象徴するような場所だ。


「ミリアさん、パーティ登録をお願いしたいんですが」


空いていたカウンターへ向かい、受付嬢のミリアさんに声をかける。彼女はすぐに気づき、ぱっと笑顔になった。


「ユウさん! お待ちしてました! ダンジョン攻略、本当におめでとうございます! 皆さんご無事で何よりです!」


彼女の屈託のない笑顔に、こちらも自然と頬が緩む。


「わぁ! やっぱりその子、可愛い! なんて言う名前なんですか?」


ミリアさんの視線が、俺の肩の上で浮いているアリアに向けられる。


「アリア様だよん! よろしくね、受付ちゃん!」


アリアも上機嫌で、小さな手を振って応えている。ミリアさんは「アリアちゃんですね! 覚えました!」と嬉しそうだ。


「また騒がしいのが来たと思えば……お前たちか」


その時、カウンターの奥から聞き覚えのある、ドスの効いた太い声が響いた。振り返ると、やはりあの時のドワーフの男性――ギルドマスターのゴードンさんが、腕を組んで立っていた。相変わらずの威圧感だ。


「あ、し、支部長! お疲れ様です!」


ミリアさんが慌てて背筋を伸ばす。


ゴードン支部長の鋭い目が、俺たちパーティメンバー一人一人を順番に、値踏みするように見回す。市場での騒動のこと、そして今回のダンジョン攻略のこと、どこまで把握しているのだろうか。俺はゴクリと喉を鳴らした。


「支部長、こちらはユウさんたちのパーティ『プロンプターズ』です! この度、正式に登録をと…」


ミリアさんが緊張気味に紹介してくれる。


ゴードン支部長は俺たちを一瞥した後、特にフェリシアさんに向けて、僅かに目を細めた。


「ふん、フェリシアか。貴様もまだこんな辺境で燻っていたのか。まあ、腕は鈍っていないようだな」


その口調には、明確な敵意はないものの、彼女の過去を知っている者特有の、からかうような響きがあった。フェリシアさんは一瞬だけ眉をひそめたが、すぐに表情を引き締め、ゴードン支部長に向かって騎士のように背筋を伸ばした。


「ご無沙汰してます、支部長。今は、この者たちと行動を共にしています」


彼女の声には、敬意と、しかしどこか一線を引くような硬さがあった。


ゴードン支部長は「ふん」と鼻を鳴らすと、今度は俺に視線を向けた。その目は、何かを探るように俺の奥底まで見通そうとしているかのようだ。


「ミリアから聞いたぞ。例の『月光の祭壇跡』を攻略したそうだな。あの小猫まで連れて、なかなかの手際だ」


彼は言葉を続ける。


「……それに、お前さん、ユウとか言ったか。どうも妙な噂が聞こえてくる。装備品の質が不自然に高いだとか、新人離れした分析力があるだとか……一体、どんな『幸運』を持っているんだ?」


(探られている……!?)


俺は内心で冷や汗をかいた。「奇妙な力」ではなく「幸運」という言葉を選んではいるが、明らかに俺のスキル――あるいはアリアの存在――の特異性に気づき始めている。


報告された内容や、もしかしたらセラが身に着けている『月光の守り』の出来栄えなどから、何か勘付いているのかもしれない。この老獪なドワーフの前では、下手な誤魔化しは通用しないだろう。


俺がどう答えようか迷っていると、ゴードン支部長は続ける。


「まあ、いい。結果を出しているなら文句はない。だがな、小僧。このフロンティアは、良くも悪くも目立つ奴はすぐに目をつけられる。身の丈に合わない『幸運』は、時として身を滅ぼすぞ。肝に銘じておけ」


それは忠告、あるいは警告か。いずれにせよ、彼は俺たちのことを注意深く見ている、ということだろう。


ゴードン支部長はそれだけ言うと、「騒ぎは起こすなよ。ミリア、あとは頼んだ」とだけ言い残し、再びギルドの奥へと戻っていった。


「ふぅ……相変わらず、おっかない人だな……」


俺が思わず呟くと、ミリアさんが苦笑しながらフォローしてくれた。


「支部長は口は悪いですけど、根は優しいんですよ! それに、ちゃんとユウさんたちの実力を認めてるみたいでしたよ! 自信持ってください!」


彼女の言葉に、俺は少しだけ救われた気がした。警戒は必要だが、この冒険者ギルドは、俺たちの活動拠点として頼れる場所になりそうだ。


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