しょんぼりノベル
ちいさな花の種を
ぼくのちいさな手にあずけて
愛情をもってやさしく愛でるのよ
ちいさな花壇に
もらった花の種をまいた
せっせと水をやり
若葉にあいさつ出来ますようにと
朝が来るのを心待ちにして
ぼくの植えた花の種
青々と顔をのぞかせていた
触れたら壊れそうなぐらい
ぎゅっとからだを丸くしていて
なんだか照れ屋でうつむいていて
もじもじ恥ずかしそうな顔
おはようございます
地上に出れた気分はどうですか
5月の晴れの日に出会えたから
きっと良い名前をつけてあげるよ
みごと花を咲かせたとき
ごほうびに送るから
おじぎなんかして
寡黙なキミが次の日の朝に
双葉とひらいて 緑の葉っぱいっぱいに
朝露がつぶつぶと汗かくように
ぷるんと張っていた
幾日もせっせと水やり愛情こめた
成長をとげるキミの背中に
たくさんの蕾がついていた
あと一息だ
水をやり過ぎないように
いつものように唄をうたいながら
短期間で咲くはずの花
いつまでたっても蕾のままで
育て方 間違ったのかな
しょんぼり部屋の片隅から
窓辺の向こう眺めていた
あいてはお花
そういう時もある
坊やの想いはいずれ届くから
またこれからも花のお世話を
がんばってほしいの
ママも坊やの笑顔みたくて
せっせとおやつのケーキ手作りなんだから
おやつを手に取りひとくち食べた
あたたかい気持ち ママの愛
いっぱい口に広がって
ぼくの胸とお腹は満たされて
しあわせを知った
ぼくの花は開かなかった
おいしいおやつ毎日のように
愛情こめた手作りの時間
大切なこと そこにあるのかもしれない
花も愛も時間をかけたものだけが
ぼくのこころを満たすのかもしれない
キミのために付けた名前でいつか
ぼくは花屋を開くんだ




