↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死ぬほどしょうもない特殊能力  作者: 雨宮 弦


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/24

第21話「カラオケで次にマイクがハウリングする瞬間が分かる女」

「来る」


美咲が言った。


友人の亜希がマイクを持ったまま振り返る。


「何が?」


「それ、スピーカーに近づけないで」


「え?」


キィィン。


甲高い音が部屋に響いた。


全員が耳を塞ぐ。


「遅かった!」


亜希が叫ぶ。


美咲には、カラオケのマイクがハウリングする約二秒前だけ、それが分かる。


ライブ会場では分からない。


会議室のマイクでも分からない。


カラオケボックス限定だった。


「なんでそんな限定的なの?」


「私が聞きたい」


大学時代から、この能力は飲み会の二次会でだけ重宝された。


社会人四年目になっても変わらない。


その日は部署の歓迎会だった。


新人の小田が緊張しながら歌っている。


部長はタンバリンを叩き、課長はすでに二曲予約していた。


美咲は端の席で烏龍茶を飲む。


小田がマイクを持ったままスピーカーの近くへ移動する。


来る。


「小田くん、ちょっと右」


「え?」


美咲が手を伸ばして位置を変える。


何も起こらない。


「何ですか?」


「いや、なんでもない」


小田は歌い続ける。


隣の亜希が小声で言う。


「初めて能力が人を救ったね」


「耳を守っただけだけど」


歓迎会の終盤、小田が美咲のところへ来た。


「さっき、ありがとうございました」


「分かった?」


「はい。マイクのやつですよね」


「まあ」


小田は言った。


「僕、音響苦手で」


「音響の問題じゃないと思う」


小田は笑った。


「でも助かりました」


少し間が空く。


「美咲さん、次、何か歌いません?」


「私、歌わないよ」


「そうなんですか」


「ハウリング分かるだけで、歌は下手だから」


小田は言った。


「能力って歌唱力には関係ないんですね」


「当然でしょ」


結局、二人でデュエットを入れられた。


前奏が流れる。


美咲はマイクを持つ。


小田が笑う。


「大丈夫です。ハウリングしたら教えてください」


「そこだけは任せて」


一曲目。


ハウリングは一度も起きなかった。


代わりに、美咲は最初から最後まで音程を外した。


曲が終わる。


小田は拍手した。


「……ハウリングより怖かったです」


「正直すぎない?」


亜希がソファで笑い転げていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。