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初恋で恩師で上司な彼  作者: 洟 華夏瀧
初恋で恩師なアナタ
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第十五話 嵐の前の静けさ2

“嵐”の前にちょっとだけスイーツをご堪能あれ!

「……先生、どうしてここに?」

「紫苑ちゃんの見送りに♪スウェーデンで夏休みを過ごすんでしょ?」

「何でそれを?」

「ん?ひ・み・つ。それに、俺の教育実習最後の日、紫苑ちゃん部活に出てなかったでしょ?最後の挨拶出来なかったなぁ…って」


イケメンは普段着姿も神々しいのね。

高そうなシャツ、高そうなパンツ、高そうな靴、高そうなジャケット……アイテムのグラスまでいちいち高級感が漂ってるよ……


「あた…私は3年なので既に部は引退してるんです。あの時はたまたま“指導日”だったから音楽室にいただけで……でも、きちんと挨拶するべきでしたね。

短い間でしたが、お世話になりありがとうございました」


あたしは、ニコニコ笑ってモデル立ちしている飯崎先生に向かってペコリと頭を下げた。


「俺が欲しいのはそんな言葉じゃなかったんだけどな……」

「っ……!あのっ…あの時、慰めて下さり、その上楽譜とケースまで修正して頂き、本当にありがとうございました」

「う~んおしいっ!40点!とりあえず顔をあげてくれる?」


がしっ。くいっ。


「へ?あ!って!////////ななな何を……」


突然両頬を捕まれたと思ったら無理やり持ち上げられた。首が痛いと抗議をしようとしたら息がかかりそうなくらい近い位置にあのご尊顔があり……


「うん。可愛い。眼福眼福♪それにその服、“とっても似合ってる”よ」

「///////それは、ありがとうございます?///////」

「くすくす…何で疑問形?」

「////////顔が近いって言うか……手、放して下さい//////」

「真っ赤になっちゃっても言うことは言うんだ。さすがヒロの妹だね」

「///////ヒロキさ……あっ…兄は、関係ないと……/////」


眩しすぎて最早目を開けていられないあたし。

早くこの状況から解放してよっ!!

そんなあたしを無視するかのように、先生はあたしの両頬をはさんでいた手を滑らしていき……


ぎゅうっ…


「//////~~~~~~っ!///////」


なっ…何であたしこのお方にぎゅうぎゅうされてるの?

これじゃまるで……


「くす…多少なりとも“恋人達の別れ”に見えるかな?」

「//////っ……!!!//////」


耳元で囁かないで下さいっ!!御声が脚と腰に効果覿面で、今すぐにでも“フロアーと仲良しさん♪”になりそうですっ!!


しかし、先生の攻撃はこれだけでは終わらず………


『…Jag älskar dig……』

「え?今何て?」

『…Eftersom jag tycker alltid att du…』

「ちょっ…さっきの聞き取れなかっ……「しいちゃぁ~ん!時間だよっ!」…って。すみません先生。それじゃ行ってきます」


スウェーデン語で何か言ってたと思うけど、鳥肌と戦うので精いっぱいで結局聞き取れなかった。

でも、挨拶出来たし、もう会うことは無いと思うから……問題無いよね?



*********



「Zion!」

「Morfar fick(ひいお祖父ちゃん)」


アーランダ空港から出てくると、ひいお祖父ちゃんが待っていた。

あたしは早速結花なぎさにひいお祖父ちゃんを紹介し、ひいお祖父ちゃんにも結花なぎさを紹介しようとしたのだが……


「Trevligt att träffa dig……えっと……Jag Nagisa!」

「お嬢さんは“なぎさ”さんと言うのかね?」

「え?日本語しゃべれるんですか?って!しいちゃん!聞いてないよっ!!」

「あははは…ごめん。ひいお祖父ちゃんは日本語会話大丈夫なの。

ただ、家の中の人達は日本語は無理で、母国語以外だと話せても英語だから」

「凄いじゃん!英会話の勉強が只で出来るなんて!どうりでしいちゃん英語得意なはずだよっ!」


興奮気味でまくしたてる結花なぎさを、ひいお祖父ちゃんは優しい眼差しで見つめている。

うん。あたしの親友を気に入って貰えたようだ。


「つもる話はまた後で。ドロテアが“プリンセストルタ”を作って持ってきてくれたんだ。荷物を置いたらお茶にしようか…」

「ドロテアが?」

「ああ。紫苑が日本の友達を連れて来るって教えたら、歓迎会をするんだとさ」

「わぁっ!嬉しいっ!あ、結花なぎさ、プリンセストルタってね?ホイップクリームとカスタードクリームを使った“お姫様ケーキ”なの。

マジパンで薔薇の花を作ったのが飾ってあったりするんだよ?」

「うわっ!何つー乙女チックなケーキなのっ!デジカメで撮って良い?甘党のパパとオトトに自慢したいっ!」

「勿論。あ、でもその後食べるんだよ?」

「じゃあ私が食べるところをしいちゃん撮って?」

「了解!」


あたしと結花なぎさはひいお祖父ちゃんが乗ってきた車に乗り込んだ。

これから始まる夏休みはいつも以上に楽しくなる!ウキウキしながらシートに身をあずけたのだった。



********



ドロテアはあたしがヒロキ様に連れられてひいお祖父ちゃん家に来た時に知り合って以来、夏休みの度に遊びにくるこっちで初めて出来た友達だ。

結花なぎさに紹介したら妙に意気投合してしまい………


<私ね、スウェーデン来れたら是非観てみたいって思ってた建物があるの!>

<ふふ…観光なら任せて?>

<ホント?それじゃあね、ドロットニングホルム宮殿に行きたいな>


ドロテアの作ったプリンセストルタを頬張りながらきゃっきゃと会話している結花なぎさ。あれ?彼女世界史得意だったっけ?


「ねぇ、結花なぎさ、あの宮殿って、もしかしてグスタフ3世の事詳しかったりする?」

「もち!だって、あのフェルゼン様の上司でしょ?」


なるほど……ベルばらか。日本ではフェルゼン人気って未だに凄いの……ね。

結花なぎさはデジカメで撮りまくった後、ドロテアやあたしとのツーショットや三人一緒のモノをひいお祖父ちゃんに撮って貰ってかなりご満悦のようだった。


今時のLJK(Last Josi Kousei…つまり、3年の女子高生の事らしいです)がベルばらをあまり詳しくは無いと思いますが、結花なぎさは腐女子という事でご勘弁を…(大汗)

あと、<>表記は英会話という事でご理解願います。

(北欧はどうかわかりませんが、欧州人は英語がペラッペラです。作者はドイツに行ったとき、独語で質問しても英語で返されました…笑)

次回、ついに“大蟻地獄”が登場するかも…です。


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