第十七話「なんでオネエになったの?」
「闇?」
「このスキルはHPを消費するスキルよ。最悪、死に至るわ」
「えっ!?」
俺はパーティーメンバーにも見捨てられ、天賦の才にも見捨てられるのか……
固有スキル「クズ」同様、余計なスキルがついてくるし
「あぁ、それと君の固有スキルクズは固有スキル闇を創造した張本人らしいわ」
「あ……ちょっと!!」
俺は走った。
いつの間にか馬車を振り切っていた。
「俺はもう死にたいよ〜」
パーティーメンバーにも裏切られて、死刑執行されかけてるし、天賦の才にも見捨てられる。
もう帰りたいよ……
元の世界に。
「良いところに無効崖があるじゃん」
崖から次の転生を願い、ラッキーハイジャンプ。
もう、怖くないや。
俺は数々の修羅場を乗り越えてきた。
魔法を無効化する無効崖から飛び降りて受け身の修行をしたこともあったし、72時間勝ち抜きトーナメントをしたこともある。
この前飛び降りた無効崖は20メートルほどだったが、この崖は100メートル。
これでは流石の俺も死ぬな……
視界がだんだんと黒に染まっていく。
「私がいる限り、貴方は死にませんよ?」
「そんなっ!?」
前にも見た光景だった。
白髪で顔半分を隠して見た目は中性的、中身はオネエ、その名も名詐欺師・ある男がいたのだ。
「貴方、わたしの言葉も聞かずに自殺しようとしたわね?」
「……」
何故こいつは俺を守った?
余計なお世話だっつーの
「余計なお世話?」
「また、無眼を使うか」
「貴方だってわかるはずよ。自動的にスキルが発動することはどれだけの心の犠牲を伴うか知っているでしょう?」
「あぁ」
「とにかく、貴方は自分の命を軽々しく思いすぎよっ!! また死んだら転生するだろうから自殺するってどれだけ思考が浅いのかしら?」
「死刑執行人に関係ないだろ」
「関係あるわよ。貴方はわたしの家族だわ、貴方は私の弟よ」
「えっ、何を言って……」
「わたしの名前はアーナトリス・ミイラ」
「嘘つけ、ミイラは暗影の戦いで戦死した……ミイラ?」
「そうよ、死んだ後はミイラ化するのよ」
「じゃあ、何でミイラ兄は……」
「今は、闇の案件の方が先でしょう?」
「あ、うん」
ミイラ兄は得意げに、人差し指を立てて言った。
「この固有スキルはね、上手く使えば自身のHPを媒介に、攻撃力や魔法力、剣術を異常なまでに向上する、諸刃の剣なのよ」
「でも、闇のスキルを上手く使うには条件があるわ」
「何の条件?」
「それは、私にもわからないわ」
「そうか……」
◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯
「着いたわよ」
「ここが、ブラッドサファリ……」
腐った木で建設された木造建設物。
この独特な匂いとシロアリの大進軍。
まさに地獄だ。
「まさか……ここで」
「嘘よ。ここは、私の別荘」
俺は昔、別荘に憧れていた時代があった。
別荘=金持ちの特権というイメージがあるからだ。
確かに定義上、普段住んでいる家以外にも持ち家がある場合、別荘という呼び名に変わるよな。
あれ?
わたしのべっそう
私のべっそう
私の……別荘?
「何で俺を殺さないの?」
「貴方を使って儲ける為です」
「ゲスい兄……」
「そんなことを言うなら……追い出しますよ?」
それはまずい。
今追い出されたら……
今追い出されたら……
ん? 全然困らないじゃん
「よし、出ていくよ」
その男は余命三ヶ月の人間のように焦る。
「ちょ、ちょっ、ちょっと待ちなさい!!」
「まだ何かある?」
ミイラは少しの間の沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。
「貴方の闇スキル発動条件を少しお伝えしても宜しいですよ?」
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