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燃え上がれ、歓迎会。:解編2(第六話)

⚠️注意⚠️

このエピソードは「燃え上がれ、歓迎会。」の第六話です。是非問編1〜4、解編1を読んだ上でお読み下さい。


前回のあらすじ

 放課後にケイ、道木、等々力は今朝起きた一連の事件の犯人がいる場所、アニ研の部室に向かった。そこで彼らは犯人をそこにいたアニ研三年の全員だと主張した。それを立証すべく推理した事件の流れを三年の四人に説明する。部室で起きた事件、逃走した犯人について話したが、特に後者について水書に否定された。しかし、それでもケイは臆さず導き出した推理を述べるのだった。


「私たちと関係がない人が私たちと共犯の関係だったなんておかしくない?」

 水書先輩の言う事ももっともだ。でも、それはそもそもの前提が違っている、いやそう誤認させられていたんだ。

「おかしくないです。なぜなら関係ある、アニ研の人だからです。」

「へえ。それじゃあ誰なの?等々力?」

「ぼ、僕じゃないっすよ!!」

 当たり前だ、等々力はこっち側なんだからな。今回、こっち側じゃないアニ研の人であの犯人になりきることができたのは……

「……桜庭先輩です。」

「え、僕!?だって僕はその人とぶつかったんだよ!?」

「でも、ぶつかった瞬間は誰も見てないですよね。僕たちは、桜庭先輩がぶつかった時に上げた声を聞いただけで、本当にぶつかったと勘違いさせられていたんです……もちろん第三者の可能性もありますし、実際に桜庭先輩だったかかどうかは確かめようがないですが。」

「い〜や、あるよ〜。」

「ちょっ、道木さん!?勝手に僕のバッグを……」

「あれれ〜?これ、犯人が着てたヤツじゃないっスか〜?なんで桜庭先パイが持ってるんスか〜?」

「い、いや……これは、その……」

「……水書先輩、反論はありますか。」

「はあ。ないわよ……って道木!?なに私の身体を触って……って、それ!!」

「水書先パイならこれを常に持っててもおかしくないっスよね〜。でも、これも事件に関係してるハズなんスよ。とはいえ勝手に触って悪かったっスね。」

 そんな道木が手に持っているものは……

「鏡か……じゃあ、あのリハーサル中の事件も推理通り行われているはずだな。」

「次は、というかそれが最後ね。家内くん、その推理、話してちょうだい。」

「はい。まずリハーサル中に起こったことといえば、元々開いてなかったはずの体育館を分ける網が二階から下ろされて、なおかつ開かれていた、そしてリハーサルにそれが燃えてた、最後に燃え跡もなくその網が畳まれてたことの四つがあります。これの一連の流れをどうやったか、頭から話します。」

「まずはどうやって二階に掛かってた網を下ろせたのかについてっス。そもそもこれら全ての犯行を犯人……というか桜庭先パイだけがやることは本来は不可能だったんスけど、先パイ全員が手伝って初めて可能になるんスよ……つまり、網を下ろすことから既に誰かしら手伝ってるってことっス。」

「それで、網を下ろすのに手伝ったのは茶園先輩です。茶園先輩なら初めから舞台裏にいたのでリハーサルが始まってすぐ二階に行けて、なおかつ場を離れても俺たちには気付かれないはずです。だから、茶園先輩が直接二階から網を下ろして、桜庭先輩が広げたんです。」

「そして次に網を燃やしたんスよね。でも実際には燃えていなかった……なぜならプロジェクターを使ってそう見せられていたからなんスよ!」

「でもよ、あの時は新歓アニメが流れてたし……第一、プロジェクターはステージ側を向いてて網に映し出すことはできねえだろ。」

「じゃあまずは前者だが、そもそも俺たちはあのスクリーンでどんな映像が映し出されていたか分からなかったはずだ。なぜならリハーサル中、俺たち三人はスクリーンが死角になる音響室にいたからな。で、後者はさっき道木が水書先輩から奪った鏡を使ったんだ。」

「……そうか、最初から炎かなんかの映像を流してて、水書先輩が鏡を使ってスクリーンの光を反射させていたのか!で、俺たちが音響室を出て二階から降りてる間に新歓アニメの映像に切り替えて、最初からそれが流れていたように思わせていたんだ!!」

「そうだね。それで最後、ワタシ達がステージに降りて来た時に桜庭先輩が網を畳めば無事完了、ってことっスよね?」

「このとおり、部室の事件も体育館でのリハーサル中の事件も先輩たちがいて初めて成り立つ犯行なんです……だから犯人は先輩たち全員……それしかないんです!!」──


──パチパチパチ……

「すごいね、ほんと。さすが私たちの後輩、って言ったところかな。全て完璧に合ってるわよ。」

「ま、まじなのかよ……で、でもよ、先輩たちがそんなことやる動機なんて、そんなことする意味なんてあるんですか!!」

「……等々力、多分それは新歓アニメが関係しているんだ。」

「し、新歓アニメがなんだってんだよ……」

「編集してた俺は知っていたんだが、あれって“未完成”だったんだ。それも、先輩たちの部分だけがな。」

「……?未完成……だった!?」

「そうなんだよ、昨日ケイから聞いたんだけど、明らかに先パイ達の分量が多くてさ、まだ完成には程遠い出来だったんだよ。だから、新歓でそれを見せるのを躊躇って……」

「……ほんと、感心するわ。全てその通り……そう、新歓アニメが出来上がらなかったから、私が摩記まきと茶園くん、桜庭くんにこんなことやろうって無理言ったんだ。」

「俺も迷ったんだけど、頼んできた時の長町を考えたらやっぱりな……って思っちゃったんだよ。ごめんね。」

「僕も……そうなんだ。本当にごめん!」

「絵璃のこと考えたら、いてもたってもいられなくなっちゃって……騙して悪かったわ。ごめんなさい。」

「私からも、ごめんなさい。でもさ……あんな出来で新入生は入りたいって思ってくれるかな、なんて考えちゃったりして。どうなのかな……やるべきなのかなあ……」

 ……たしかに長町先輩があんなことした意味は理解できる。長町先輩が不安がって涙ぐんでいることからも事の重大さは明らかだ。しかし、それでも──

「──やるべきです……!!どんな不出来なものでも、それでも俺たちはやらなきゃいけないんです!!」

「そうっスよ!!そもそもやらなきゃ誰も入りたいなんて思わないっス。」

「そうですよ!!僕たちが諦めてどうするんですか!!とにかくやってみて、それが成功か失敗かなんて後で考えればいいんですよ!!やる前に決めつけちゃダメです!!」

「……俺たちの総意はこれです。だから、先輩たちもやりましょう……必ず成功させましょう!!」

 柄にもなく暑苦しいセリフを吐いてしまった……しかし、俺はどうしても成功させたい。今朝見た炎のように燃え上がる歓迎会にするんだ……そう思い突き出した手の甲に道木、等々力に続いて水書先輩、茶園先輩、桜庭先輩が手のひらを重ねた。

「後輩たちと今の私たちはこうだけど、絵璃はどうなの。」

「摩記……みんな……ありがとう。わかった、必ず成功させよう!!」

 そう言って最後に長町先輩の手が重なり大声で、

「絶対に新歓公演、成功させるわよ!!」

 そして長町先輩の声に合わせるように俺たち七人は一斉にそれを言い放った──

「「「「「「「オーーーーーッッッッッッ!!!!」」」」」」」


 ──そして16時45分、俺たちアニ研の新歓公演があと15分で始まる。俺たちは今、体育館へ向かっているところだ。

「……ねえ家内、道木。」

「水書先輩、どうしました?」

「さっきのあなた達二人の推理、見事だったわ。褒めてあげる。」

「あ、ありがとうございます……?」

「いや、ね。本当に見事だった。その点で言えば私たちよりすごかったけどね、でもこの調子じゃ、どうやら最後に笑うのは“先輩たち”らしいね。」

「え、水書先輩。それってどういう……」

「“真実”には辿り着いたけど“真相”には辿り着けなかった……ってことっスか?」

「ふふ、それは新歓公演が終わってからのお楽しみよ。」

 微笑みながらそう言って、水書先輩は先に行ってしまった。今の水書先輩の発言……どこか引っかかる。一体どういう意味だったのだろうか──


 ──そんなことを気にしつつもいよいよ17時00分だ。そして今、アニ研新歓公演の幕が上がった。


真・解編に続く

ここまで読んでくださりありがとうございました✨✨次回、燃え上がれ、歓迎会。最終回となります!

最後のセリフ、一体どういうことなんでしょうか……?次回も乞うご期待!!


by田中ゴン左衛門

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