燃え上がれ、歓迎会。:真・解編(第七話/ch.最終話)
⚠️注意⚠️
このエピソードは「燃え上がれ、歓迎会。」の最終回です。是非問編1〜4、解編1、2を読んだ上でお読み下さい。
前回のあらすじ
放課後の部室にて、ケイと道木は今朝起きた一連の事件の犯人をアニ研の三年全員と指摘し、犯人の四人もそれを認めた。新歓を中止しようとした三年の意思を覆し、ケイら二年は四人を説得したことで最終的に新歓を決行することに成功した。そしていよいよ、ケイは水書に言われたある発言を気にしつつも新歓公演は始まるのだった。
現在、16時58分。間もなく我らアニ研の新歓公演が始まろうとしている。
「……ねえ、ケイ。ちょっといい?」
「ん、どうした道木。」
「結局さ、新歓アニメは完成してないんでしょ?だったらこの新歓公演って何するのかな、って。」
「……さあな。」
──「どうやら最後に笑うのは“先輩たち”らしいね。」さっき水書先輩が放ったこの発言の意味……未だに分からないが、それがこれから始まる新歓公演と関係しているのか……?
『──次は、アニメ研究部の発表です。』
『──皆さん、本日はアニメ研究部、通称アニ研の新歓公演にお集まりくださり、誠にありがとうございます。私はアニ研部長兼本公演の司会を担当する長町絵璃と申します。早速ですがこちらをご覧ください……』
……?本来ならここで新歓アニメを流すはずなのだが、普通に部活動の紹介をしている。いかんせんスクリーンが死角にあり見えないため、どんな映像が流れているか分からないが。
「う〜ん、やっぱり……」
「なんだよ、道木。どうかしたのか?」
「いや〜、さすがにアニ研だから制作したアニメを新歓で流したいだろうけどさ、わざわざそのためだけに公演に間に合わない程のボリュームのヤツを作る必要があったのかな、なんて……」
「まあ、そりゃあ新歓のイベントは特別だもんな。色んなアニメでも新歓イベントは定番だし。」
「たしかに我らアニ研はオタクが故の一種のアニメへの憧れはあるし、そういう文化へのリスペクトもしているつもりだよ。でもさ、そういうアニメにおける新歓の定番って、大体は音楽モノじゃない?……こう言っちゃ悪いけどさ、軽音とか吹奏楽とかは新歓のために特別なことしても、割とちょいと練習すればあとはアドリブでどうにかなるよね。」
道木、それは割と語弊のある暴論だ。しかし、アニメ制作は工程が作業な都合上、文字通り莫大な時間がかかる。それでいて完成か未完成かの二択だ。アドリブなんてない。その点で言えば道木の発言は正しいかもしれないけれど……
「たしかにその辺に比べたらハードルが高いが、それでもやっぱり新歓のために作る必要も意味もあったと俺は思うぞ。」
「……やっぱケイはそう言うと思ったよ。でもね、これが先パイ達の答えらしいよ。」
道木がそう言って間もなく、新歓公演の締めに作品紹介という形で俺たちが作ったアニメが流れ始めた。もっとも音声しか聞こえないが……
「はは……じゃあ“アレ”はなんなんだ!」
聞こえてくる音声だけでもはっきり分かる。今流れている映像は……
……昨年度、アニ研がコンクールに応募した作品で、言うまでもなく、完成しているものだ。これが分かった途端、道木は爆笑しているし、俺と等々力は唖然としている。
……じゃあ俺たちが作った新歓アニメは?と思い、今流れているアニメが終わるのを待ったが、それの終わりがすなわちアニ研の新歓公演の幕引きだった──
──片付けを終え、俺たち三人が共に部室に戻ると、既に先輩たち全員が部室にいた。
「「「「ギャハハハハハハ!!!」」」」
……明らかに馬鹿にした笑いを浮かべながら、その四人はこちらを見ていた。
「……あの、どういうことですか?」
聞きたいことは山程ある。が、しかしどれから聞くべきか。悩む隙に長町先輩が口を開いた。
「はーっ、いや〜さっきの家内くんの熱血具合はミゴトなもんでしたな〜!!」
「まあ、彼ら彼女ら二年生はまだ純粋だからね、騙されるべくして騙された、って感じだよねー!!」
「茶園先輩、俺たちが騙されたって……一体どういうことですか!?」
「あー、まあ要するに──
──朝の事件って俺たちのドッキリってことだよ。」
「ど、ドッキリですってえぇーー!?せ、先輩たちは僕たちを騙してたんですか!!!ずっと!!!」
「……じゃあ聞きますけど、俺たちが作ってたあの新歓アニメって一体なんだったんですか!?」
「はは、まあそうなるよね。道木、あなたは分かってそうだからさ、道木が推理した“真相”をこの二人に説明してあげなよ。」
「……ケイ、等々力。多分、新歓アニメの正体って──
──コンクールに応募するヤツなんじゃないかな。だから元々今日までに作り終わる想定じゃなかったんだよ。」
「すごいね道木さん!その通りだよ!」
「はあ……俺、今朝から未完成のアニメを新入生に見せても楽しんで貰えるかって不安だったんですよ?一体……なんでこんなことしたんですか!!」
「まあ、一言で言えば“悪しき伝統”だからね。」
「伝統って……つまり、僕たちだけじゃなく先輩たちもこのドッキリをやらされていたんですか!?」
「そうだよー。ま、俺たちはトリックが分からなくて馬鹿にされたけどね。」
「なんなら私たちだけじゃなくて上の代より更に上の代からこんな伝統が続いているのよ。いつからか分からないのが余計腹立たしい悪習だけどね。」
「まあでも、トリックが分かっただけ私たちよりもすごいよ!そこはちゃんと褒めてるんだから!」
はあ、そうですか、という感じだ。ここまで来ると呆れが来る。でも分からない……
「……俺たちには分からないです。先輩たちもこんなことされていい気分にならなかったはずなのに、なんでこんな文化を引き継いでしまったのかが。」
「……まあ、君たちにも後輩が出来れば分かるよ。分からなければ引き継がなきゃいいだけだし、それを決めるのは君たち次第ってとこかな。」──
──決めるのは俺たち次第、か。とは言っても一年後は俺にとってはまだ先だ。その間に気持ちが変わるかもしれない。そう考えながら俺たち三人は帰路につく。それにしてもさっきからずっと等々力がキレ過ぎている。
「ッッッッ!!ア゛ア゛ア゛ア゛ッッッッ!!ムッカつく!!ったく、俺たちをバカにしやがって……」
「ははっ。等々力、その辺にしときなよ。だって来年はワタシ達がやる番なんだよ〜?」
「誰がやるってんだ!!」
「まあでも、俺たちにも後輩が出来たら多分分かる日が来るんだよ。そう長町先輩も言ってただろ?」
「知るか!俺はやらないからな!ケイと長町さんだけで勝手にやってろ!!」
そう言って、等々力は勝手に一人で帰ってしまった。一応俺も今は等々力側だ、気持ちはわからんでもない。こんな悪習は無くなるべきだ。
「──いや〜、ケイ。今日は特に疲れたね〜。……でもさ、楽しかったね!!」
「……はは、まあな。」
……こんなクソみたいなイベントでも楽しかったと言えるほど俺たちは単純だ。でも、だからこそ俺はアニ研にいて良かった。そう思わせてくれる事件だった。……来年、俺たちが同じことをやるかどうかは知らないがな。
燃え上がれ、歓迎会。〜完〜
ここまで読んでくださりありがとうございました✨✨大分長くなりましたが、今回も楽しんで頂けたでしょうか!?楽しんで頂けたら燃え上がるほど幸せです!!
ネタはまだ考え中なので次回は未定ですが楽しみにしててください!!(タイトルは一応決めてます!)次回も乞うご期待!!
by田中ゴン左衛門




