燃え上がれ、歓迎会。:解編1(第五話)
⚠️注意⚠️
このエピソードは「燃え上がれ、歓迎会。」の第五話です。是非問編1〜4を読んだ上でお読み下さい。
前回のあらすじ
昼休み、ケイと道木、等々力は昼食休憩の後に、今朝起きた事件の解決に向けた議論を再開した。リハーサル中で燃えた網、犯人の体育館への侵入方法について議論したが、結局は双方とも不可能という結論に向かうのみであった。しかし、最終的には道木のヒントでケイは犯人が誰か導き出すことに成功した。そして彼らは放課後、その犯人がいる場所へ向かうのだった。
ついぞ放課後、現在の時刻は15時30分、かたや新歓公演開始は17時00分。つまり、この一時間半で俺たちは犯人の企みを止めなければならない。とはいえ犯人には生憎だが、既に俺たちは犯人の目星が立っているのだ。だから、この時間でなんとしても犯行を止めてみせる。そう意気込み、俺たち三人は集結し、犯人のいるであろう場所──
──アニ研の部室へと向かった。
「なあ、なんで部室に来たんだ?準備より先に犯人のとこへ行くんだろ?」
「等々力、まだ分からないの〜?察し悪いね〜。ここに犯人がいるから来たに決まってんじゃん。」
「まあ、とりあえず入るぞ。」
部室の鍵は開いていた……そして先輩たちは既に全員揃っていた。
「あら、我らが後輩たちじゃない。あのさ、私たち三年でも話してたんだけどね……やっぱり新歓公演を中止しようかなと思ってるのよ。犯人が何をするか分からないし……」
「そうなの。あなた達がそれでも良ければ中止って形にしようと思うんだけど、どうかな。」
長町先輩と水書先輩はそう言うが、もちろん……
「……長町先輩、水書先輩。そして、茶園先輩、桜庭先輩……その話に賛成することはできません。俺たちアニ研は絶対に新歓公演をやります……やらなきゃいけないんです。」
「えー?やったらどうなるか知らないよー?俺たちがそんなリスク冒したくないし……」
「僕もそう思うんだけど……そんなに家内くんたちがやりたいって言うのには、何か理由があるのかな?」
「あるっスよ。だってワタシ達、犯人が誰か分かっているっスもん。」
「あ、ちなみに僕はわかってないです!」
「あ、そ、そうなの?……まあとりあえず、家内くんと道木さん、あなた達の言う犯人ってのは誰なの?」
「それは……
……先輩たち、四人です。」
「……は?──いやいやいや!!!おいケイ!!なんで先輩たちが犯人なんだよ!!んなわけねえだろ!!」
等々力、一回落ち着け。やかましいぞ。
「へえ、家内は私たちを犯人って言うのね。そう言うってことはそれそうの根拠があるのよね?」
「はい……まずこの部室で起きた事件とリハーサルの時に起きた事件、どっちにも言えることが外部の人間には犯行が不可能だということです……アニ研の部員、もっと言えば先輩方が手伝わない限りですが。」
「だからって僕たちを犯人って断定するの?」
「そうっス。もっとも外部犯なんていないで先パイ達だけでやったと思うんスけどね。まあともかく、それを立証するために事件の全貌をワタシとケイが話してていくんで、よく聞いといて欲しいっス。」
「……それじゃあまずは部室の件から話します。昨日の下校時間、ここは窓も部室自体もどっちも鍵が閉まってて誰も部室に入ることはできないから、あの予告状なんて誰にも置けるはずがない……そう思わされていたんです。あの水書先輩の発言で俺たちは勘違いしていたんです。」
「私の発言?私がなにか嘘ついたって言うの?」
「……水書先輩の“窓の鍵を閉めた”っていう発言が嘘なんですよ。少なくとも水書先輩が部室の鍵は目の前で閉めていましたし、その直前までに紙は置かれてない。昨日のうちにその後部室に鍵を開けて入った人もいない。そしてあの紙の形状、紙飛行機でしたよね。そこから考えるに窓から入れたとしか考えられないんです。だけどそうなると水書先輩の窓の鍵を閉めたって発言と矛盾してないですか?」
「でも窓の鍵のツマミには糸がガムテープで巻き付けてあったよねー。今はもう取っちゃったけど。それで犯人は鍵を開けたんじゃないのー?」
「あれは部室の鍵を閉めた時に付いてませんでしたよ。付いてたとしても窓の鍵を閉めたはずの水書先輩が指摘しないのはおかしいです。だからあの糸は部室の鍵を閉めた後に付けられた……つまりそもそも水書先輩は窓の鍵を閉めてなかったんです!」
「たしかにもともと開いてたならよ、部室の鍵が閉められた後、誰かが鍵の閉まってない窓を外側から開いて、そこから紙飛行機を投げ、そしてツマミに糸を巻き付ける一連の流れが可能だ!……しかし、部室に紙を入れるってのだけが目的なら糸を付ける意味なんてねえだろ。窓の鍵は開いてたわけなんだし。それはなんでなんだ?」
「それは多分、犯人がアニ研の人だからだよ。そもそもこの糸って、多分鍵を開けるためじゃなくて鍵を閉めるためだけのものじゃないかな。窓の鍵が空いていたのを前提に、アニ研の人じゃないなら鍵を閉めるメリットがないけど、アニ研の人なら自分の部室の鍵は閉めたいでしょ。現に今朝ここに来た時は窓の鍵が閉まってたワケだからね。」
「じゃあやっぱり犯人は……」
「反論がなければ体育館の話しますが、いいですか?」
「……ええ、話してちょうだい。」
「じゃあ、まずはあのフードを被って逃げた犯人について、あの犯人は一体どうやって体育館に入っていたのかについてです。少なくともあの犯人は、長町先輩が体育館の鍵を開けて、俺たちが体育館に入った後には入って来てませんよね。だからあの犯人は長町先輩が鍵を開ける前に入ってきたのですが……」
「最初、ワタシは昨日の下校時間からずっと体育倉庫に隠れてたのかなと思ってたんスよ。昨日、最後に体育館の鍵を借りたのがバスケ部の人だったんで犯人もバスケ部の人かな〜と思ってたんス。でもよくよく考えたら、長町先パイが鍵を開ける前に入ることが可能だったかもしれないんスよ。」
「いや、無理だろ!だって今朝に体育館の鍵を借りてたのは長町先輩だけだったから、鍵を借りてない犯人が入ることは不可能なはずだ。」
「その逆なんだ。長町先輩が開けて犯人が入ったんだ。」
「いや、あんときに犯人は入ってなかっただろ!」
「だからさ〜、ワタシ達が入った時に長町先パイが鍵を開けたのは“二回目”なの。今朝、長町先パイと茶園先パイが部室に来る前に犯人と体育館に行って、犯人だけ体育館に入らせたあとで鍵を閉めた、これが一回目なの。その後ワタシ達と部室で合流した後、ワタシ達が入る時に再び開けた、これが二回目。つまり、ワタシ達はあの時初めて体育館の鍵を開けたと錯覚していたんだよ!」
「犯人が入る方法といえば、それしかないんだ。そもそも昨日からずっと体育倉庫に籠るなんて現実的じゃないからな。」
「じ、じゃあやっぱりよ……」
「……それじゃあ、あのフードを被ってた犯人と俺たちは仲間同士だった、ってことでいいのかな?じゃああの犯人って誰なの?」
「待って茶園、確かに家内が言う通り、それが犯人の侵入方法だという可能性がある。でもね、あの犯人と私たちは関係がないはずよ。だって、桜庭とぶつかった後も犯人は逃げていたわけだし、そこにアニ研は全員揃ってたから……等々力以外だけどね。ともかく、私たちと関係がない人が私たちと共犯の関係だったなんておかしくない?」
水書先輩の言う通り、犯人が外部犯なら動機のことも含め、先輩たちと協力する意味が無い。でも、それは違うんだ。俺たちはあの犯人を外部犯だと思い込まされていただけなんだ。犯人が逃げている時のあの場面を考えれば、犯人はその後も逃げていたというのとは別の可能性も見えてくる。それを踏まえれば、あの犯人の正体はあの人だという可能性も出てくる……だから次はそこを指摘するんだ。
現在時刻はおよそ16時、タイムリミットまで残り一時間くらいだ。先輩たちにどんな心境があっても、あんな動機で新歓公演を中止させるわけにはいかない……必ず先輩たちを止めてやるんだ!!そう意気込み、俺は水書先輩の発言を打破すべく、口を開くのだった。
解編2に続く
ここまで読んでくださりありがとうございました✨✨まだ明かされていない謎の数々、そして動機……次回で明らかになるでしょう!
感想などお待ちしております!次回も乞うご期待!!
by田中ゴン左衛門




