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燃え上がれ、歓迎会。:問編1(第一話)

「なんだこれは……」

 部室に置かれていた“謎の紙”に書かれた文章を見た時、俺たちは恐怖したのだ。それとは……

 ──「アニ研、本日の新歓公演を中止しろ。さもなくば我々が公演を破壊する。」

 ──4月某日午前7時前、もうそろそろ学校に到着する。なぜこんな早く来たのかと言えば、本日行われる我らがアニ研の新歓公演に向けたリハーサルを朝のHR前に行うためである。今の今まで新歓用に我々が作り上げたアニメをようやく今日披露することになるが、しかしこれには問題が……

「おっ、ケイじゃ〜ん!おっは〜!」

「あれ、ケイと道木みちきさんじゃん。おっす。」

 立て続けにやってきたのは同じアニ研の同期、道木と等々力(とどりき)だ。

「しかしこんな早く来なくてもいいじゃんね〜ふぁ〜。」

「道木さん、眠そうだな。そうだケイ、新歓アニメの編集、ちゃんと終わってるよな?」

 そうだ、何故か同期、いや部活内で俺だけが新歓アニメの編集を行ったのだ。ほぼ丸投げだ。しかし先輩方が新歓について進行などあれこれすると言っていたから先輩方については多目に見てやろう。反面アニメ作る以外何もしていない同期の奴らは許さないが。

「はいはい、ちゃんと終わらせてるよ。」

「おお、ナイスだ!」

 なんて上からなんだ、こいつは……


 ──そんなこんなで学校に着き、俺らは真っ先に部室に向かった。集合時間である7時20分のところ7時5分に着いたため予想はついていたが……

「やっぱり鍵空いてないぞ。」

「私たちより遅いなんて先輩方は怠惰だね〜。じゃあ鍵取り行こっか〜。」

「ん?誰が怠惰だって?……まあともかく、おはよう。」

 そう言って現れたのは水書みずがき先輩だ。どうやら部室の鍵を既に取りに行っていたらしい。俺らより先に着いているという真面目さはさすが生徒会と言ったところか。

「じゃあ鍵開けるね。」

 そして開いた部室に入ると、何やら紙飛行機型に折られた紙が机の上に置いてある。

「ん?なんだ、これ。」

 等々力がその紙を開くと、その紙に書かれた文章が目に入った。

「なんだこれは……」

 そこに書かれていた文章とは……

 ──「アニ研、本日の新歓公演を中止しろ。さもなくば我々が公演を破壊する。」

「ッ!!一体、誰の仕業なんだ!」

「み、水書先輩!なんですかこれ!」

 俺と等々力が一斉に叫んだ。とはいえこんなこと水書先輩に聞いたところで……

家内いえうち、私に聞いても分からないよ……」

 俺たちが唖然とする間に長町おさまち先輩と茶園ちゃぞの先輩も部室に到着した。勿論この紙についても説明したが……

「それがどうしたのよ!今更中止なんてできないわよ!」

「でも長町、これって誰かが新歓を邪魔するってことだよね?ほんとに決行していいのかな?」

「茶園くん、部長として新歓を逃すなんてできないわ!やると言ったらやるのよ!さあ今すぐリハーサルに向かおう!」

 そんな部長である長町先輩の覇気にやられ、懸念は残しつつもとりあえず我々六人はリハーサルをやるために新歓公演の会場である体育館に到着した。長町先輩がさっき借りたであろう体育館の鍵で鍵を開け、全員が入ったところで扉を閉めた。

 各々がどこを担当するかは事前に決まっており、長町先輩は司会、水書先輩はプロジェクターないしパソコン管理、茶園先輩は照明、俺ら二年組は音響を担当することになっている。それを確認し合って初めてリハーサルを行うための準備が始まった。

 長町先輩は音響室にいる道木と協力しマイクテストを行っている。等々力は水書先輩と共にプロジェクターの準備をしている。そして俺と茶園先輩は体育館のカーテンを閉める。

「家内くん、新歓アニメがスクリーンにいい感じに映ってるよ。やっぱり出来はすごくいいよね。」

「あ、ああ……そうですね。」

 茶園先輩に返答に困る投げかけをされたが、これはどう返答するのが正しかったのだろうか。それはさておき、茶園先輩の言う通りスクリーンにはパソコンの画面上に映っているであろう新歓用のアニメが映し出されている。正直、この新歓アニメを観ると少々不安を感じるのだ。だから目を逸らすように黙々と作業を進めることにした──


 ──そんなこんなで準備は完了した。公演中の各々の立ち位置としてステージ正面のプロジェクターのそばに水書先輩、ステージ上に長町先輩、ステージ正面から見て右のステージ裏に茶園先輩、そしてステージ正面から見て左、階段を上がって二階にある音響室に俺、道木、等々力がいる。これは愚痴だが、音響室の小窓からは体育館裏まで全体を見渡せるが肝心のスクリーンが死角で見えないようになっている。どうにかならなかったのか。そう思いつつ、いよいよ明かりが消され、暗闇に包まれた体育館でもうすぐリハーサルが始まる。

絵璃えり、準備はいい?……3、2、1──』

『──皆さん、本日はアニメ研究部、通称アニ研の新歓公演にお集まりくださり、誠にありがとうございます。私はアニ研部長兼本公演の司会を担当する長町絵璃と申します。早速ですがこちらをご覧……キャアアアアッッ!!!』

「!!ケイ、アレ見て!!!」

 長町先輩の悲鳴と道木の叫びに釣られるまま小窓を覗くと……

「な、なんだあれ!」

 体育館中央にある体育館を二つに分断する網が燃えている……!!

「と、とりあえず火を消そうぜ!」

 等々力に言われるまま俺たちは音響室にある消火器を持ち出し、せっせと階段を下りステージに出たが……

「……あれ、火が消えている……?長町先輩、何が起こったんですか!?」

「わ、分からないわよ……!突然目の前の網が燃え上がったと思ったらいきなり消えるんだもの……」

「とりあえず中断しよう!電気付けるよ!」

 そう茶園先輩が言いつつ体育館の明かりをつけ、そしてリハーサルは中止となった。何が起こったのか分からぬまま呆然とした空間でもスクリーンは新歓アニメを映し続け、スピーカーからはそれに合わせた音声が鳴り続けている。

「や、やっぱり誰かが邪魔しに来たんだ!!うわあああ!!」

 突如として等々力が逃げ出した。どこに行くんだよ。

「……やっぱり外の誰かがやったのかな。」

「道木……どういう意味だ?どう考えてもそうじゃないか。」

「いや、そうなんだけど……」 

「み、みんな!あれ!」

 突然の長町先輩の呼びかけで目にしたのは、フードを被りながら体育倉庫から逃げる人の姿だった。

「あいつが犯人よ!捕まえるよ!」

 水書先輩を先陣としその逃走犯を追うが……

「いたっ!!」

 追いかける先で聞こえた叫び声の主は、唯一リハーサルに来なかった桜庭さくらば先輩だった。

「大丈夫ですか!?桜庭先輩!!」

「いててて……な、なんとかね。とはいえフード被った人がいきなりぶつかってきてびっくりしたよ……それよりリハーサルはどうなったの?」

「中止よ、愉快犯のせいでね。ちょうど今桜庭とぶつかったヤツだよ。」

「そうっスよ!急いでアイツ追いかけないとじゃないっスか!!」

「多分もう遅いわよ……どうせ私たちが桜庭くんの心配をしているうちに逃げられてるわ。」

「にしてもあのフード被ったやつ誰なんだろう……ともかく体育館を元に戻そうよ。もちろん桜庭も手伝ってねー。」

 茶園先輩がそう言って、俺たちはリハーサルの後始末を始めるが……

「ねえ、ケイ。元通りにしたらトリックもわかんなくなっちゃうよ。だから今のうちに怪しいトコ調べちゃお。」

 何も耳打ちまでして俺だけに言わずとも先輩にも言えばいいと思ったが、何かしらの意図があるのだろう。

「そ、そうだな。」

 そうして俺と道木は片付けと共に現場の捜査を始めたのだった──


問編2に続く

ここまでお読みくださりありがとうございます!!アニ研の新歓公演、果たしてこんな調子で成功するのでしょうか!?そして犯人は何者なのでしょうか!?

感想などお待ちしております!!そして続きも乞うご期待!!


by田中ゴン左衛門

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