第49話 ドワーフの家があった
『この辺でドワーフを見かけました』
辺りには木々が生えていて、どこも似たような景色だと思うのだが、ファーティは見分けがつくのだろう。
「じゃあ、ここから来た方向以外を探して行こうか」
『我はここで見かけた時、向こう側から来ましたが、家、集落らしきものは見かけませんでした』
ファーティは真っ直ぐに前を見ながら言った。
「そうか、じゃあ、ドワーフを見かけたのはどっち側だ?」
『はい、こちら側です』
そう言って、右側を見た。
「よし、じゃあこちら側を重点的に探そうか。
あちら側を探すよりも、こちら側を探した方が見つかる確率は高そうだ」
『承知』
来た方向から見て、右側のエリアを重点的に探すことに決まった。
見つからなければ、左側に当たるエリアを軽く探して、見つからなかったら諦めよう。
そうして1時間ほど探したところで、森の中に1軒の家を見つけた。
煙突から煙が出ているから、今現在も誰かが住んでいるのは間違いない。
小さいながら、畑もある。
家の隣には、小さな工房らしき建物もあり、そこからも煙が出ている。
ドワーフの家で間違いないだろう。
(さて、どうやって話していくか……)
いきなり、家、工房に押しかけたら、驚くだろうし、ドアも開けて貰えないだろう。
(ええぃ、ままよ)
森から出て、家と工房からちょっと離れた場所で大声を出す。
「こんにちは、誰かいませんか?」
反応は無い。
「こんにちは、誰かいませんか? 聞きたいことがあるのですが……」
再び声を掛ける。
「はい、なんでしょうか?」
家のドアが開いて、ドワーフの女性が顔だけを出していた。
「こんにちは、ここら辺でドワーフを見かけたと聞いて、ちょっと聞いて欲しいことがあるのだが、良いだろうか?」
「聞きたいこと? 何かしら? 今、その場では話せない内容かしら?」
「これを見てもらいたいのだが」
そう言って、ストレージからミスリルが含まれた鉱石を取り出す。
「あら? それは、ミスリルかしら? だとしたら、私よりあの人に話を聞いてもらった方が良さそうね。
そこでちょっと待ってもらえるかしら? あの人は今、工房の方に居るはずだから、呼んでくるわ」
そう言って、家から出て、隣にある工房の方へと向かっていった。




