1·Ⅱ 鬼との出会い
幼少期の頃は寝る前にお母さんに絵本を読んでもらっていた。有名な昔話で私はすごく好きだった。
その話には鬼と人間が争うという小さい子向けにしては結構絵が凄かったけど当時の私は昔の人達ってこんなことやってたんだ!凄いな〜!と感激していた。
そして毎回、鬼が出てくるシーンになると私はとても喜んではしゃいだ。それを見かねた母が私に聞いてきた。
「なんでそんなに鬼が好きなの?」
母は優しく穏やかな微笑みで聞いてきた。
「だって、かっこいいんだもん!」
母は少し驚いた顔を見せてきた。
「そっか。でも鬼さんは人を食べちゃうんだよ?実際会ったらちょっと怖いんじゃない?」
「大丈夫だよ!鬼さんは優しいもん!」
すると母はフッと微笑み、
「幸木に会った鬼さんはきっと、幸木と一緒にいて安心するだろうね。」
私はその言葉で少し嬉しくなったのか母が納得してくれたのかよく分からなかったけど元気よく
「うん!」
と答えた。
鬼さん…。
中学に上がった頃、鬼の顔ってどういうのなんだろうと思い、携帯で調べた。そしたら大半は牙の生えた不気味な口、笑っているように見えて眉は悲しんでいる。それでもやっぱりかっこいいという思いは変わらなかった。実際会ったところで真っ先に思うのはかっこいいだろうと考えていた。
でもやっぱり違う。
見なきゃ分からない魅力。触れなきゃ分からない命の温かさ。
落ちてきた男の人はどこからどう見ても人間のように見えた。もちろん全部が人間ってわけじゃないけど。でもさっき咳したときに見えた口の鋭い牙、おでこから生えているしっかりとした角。そこだけだ。それ以外は人間に見えた。
いや、待てよ。 コスプレって可能性もあるんじゃないか。絵本とかでよく見る鬼は虎柄のパンツを履いてる。この人はパンツどころか服全部着てる。ボロボロだけど。私がじーっと見つめているのを何か思ったのか、
「あもいほ、どりど?」
「え?」
確かに今日本語の音が聞こえた。でもなんて言ってるのか全く分からない。すると男の人は周りをキョロキョロし、
「だかど?かかほ。ありなえいこ?」
「ありなえいこ?だ、誰?」
やばい。分からん。日本語覚えたての外国人ってわけでもなさそうだし。どうすればいいんだ。とりあえず話してみるか。
「わたし、さき、こもり さき。ここ、あなた、家?」
多分伝わってないだろう。眉間を寄せて何言ってんだこいつみたいな顔で見てきた。このまま帰ってもいいかな…名前は言ったし。
「あもい、さき?」
…‼。さきって言った。
「あもい、違う。私、こもり。」
駄目だ伝わってねぇ〜さっきとおんなじ顔をしてきた。どうしよう。……よし。
「明日、私、ここ、来る。今日、バイバイ。」
……伝えたから帰るか。
「バイバイ。また、明日。」
その人はポカーンとしたまま、多分私を見送ってくれていた。
ふぅ。とりあえず乗り越えた〜。
でもあの人本当になんなんだろう。コスプレイヤーさんと信じよう。 まさか鬼が今の時代にいるわけないし、多分実在してないから。うん。大丈夫。
……帰り道どこだ?
第2話まで読んでくださったのですね(嬉泣)
大感謝です(嬉泣)
次回もお楽しみに!!




